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富山大和跡地の再開発「西町南地区市街地再開発」が始動、総事業費178億で14年度末完成へ!

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富山市西町南地区市街地再開は、総曲輪通り南地区へ移転した大和百貨店の跡地で行われている再開発計画です。再開発施設の規模はS造地下1階地上10階建て、延べ約2万6700㎡の規模で、富山第一銀行の業務床、市の公益施設となるガラス美術館、図書館、公文書館、駐車場などが整備されます。建築の外観は、富山市の東西方向の景観軸である立山連峰や、高層建物が並ぶ西町交差点の都市景観・スカイラインに配慮しており、各用途の個性を石、ガラス、アルミによる異素材の組み合わせにより表現します。重厚感を継承した象徴的なデザインと市民に開かれた開放的なデザインの両立と融合を意図しています。また、数多く大きな孔(テラス)を設けることで内外の空気や雰囲気が感じられる、街と一体になったデザインとしています。

設計は、アール・アイ・エー・隈研吾建築都市設計事務所・三四五建築研究所JVが担当。
自然素材を生かした建築や、格子を多用したデザインが特徴的な作品を手がけてきた隈研吾さん参画しており、この再開発施設の外観も同氏のテイストが感じられるデザインとなっています。


【スペック】
名称:富山市西町南地区第一種市街地再開発事業
所在地:富山市西町、太田口通り一丁目、上本町の各一部
階数:地上10階、地下1階
高さ:
構造:鉄骨造
杭・基礎 :—
主用途:美術館、図書館、銀行、駐車場、外向店舗
総戸数:642戸
敷地面積:4,145㎡
建築面積:3,400㎡
延床面積:26,700㎡
建築主:西町南地区市街地再開発組合
設計者:アール・アイ・エー・隈研吾建築都市設計事務所・三四五建築研究所JV
施工者:清水建設・佐藤工業JV
総事業費:約178.5億円
着工:2013年5月
竣工:2014年度末(予定)










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再開発施設が建設される西町は、富山市の古くかからの繁華街ですが、近年、郊外に巨大なSCが続々と建設された為に同地区の空洞化が進んでいます。これは多くの地方都市で見られる行き過ぎたモータリゼーションによる中心市街地の空洞化現象なのですが、富山市の特に商業施設の空洞化は特に深刻なレベルで、メインの商店街である総曲輪通りはシャッター街化が著しく、路面電車の電停前にあったマクドナルドやロッテリアすら撤退してしまう有り様です・・・。



富山市を取り巻く課題は・・・
①人口減少と超高齢化、
②過度なな自動車依存による公共交通の衰退
③中心市街地の魅力喪失、
④割高な都市管理の行政コスト、
⑤CO2排出量の増大


などが挙げられます。富山市は、これらに対応出来る地方都市の1つの未来像を提示する「コンパクトシティ戦略」を打ち出し、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを推進しています。コンパクトシティ戦略とは、鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に住居、商業、業務、文化等の諸機能を集積させる事により公共交通を軸とした拠点型集中型のコンパクトなまちつくりを実現し、都市管理の行政コストを削減、持続可能な都市経営を目指す取り組みです。


幸いにして、富山市の都心部には路面電車があり、郊外にある富山大学前から~官庁街~JR富山駅~オフィス街~繁華街~南富山駅(郊外鉄道と接続する駅)という奇跡的な配置の市内路線が存在しています。また、LRTの成功例として全国的に有名なした富山ライトレール市北部に向けて整備済みで、沿線ではすでに地下鉄的な利用がされている他、北陸新幹線の開業に向けて、ライトレールが市内環状線に乗り入れる計画が進んでいます。富山市の鉄軌道インフラの基本配置は全国の地方都市で1番恵まれているかもしれません。



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建物内部にはエントランスから斜め奥に配置される公益施設に向かい、吹き抜け空間「スパイラルパサージュ」設けられ、ガラス美術、書物などに触れながら、ゆっくり本を眺めていられる場・小径が作られます。















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富山市では、今後も路面電車のLRT化や郊外路線の都心部乗り入れなど、公共交通機関は大幅に刷新されて行きますが、
これだけで中心市街の空洞化が解消されるほと状況は甘くはありません。コンパクトシティ戦略が始まってから西町では地域NO.1百貨店である富山大和が建て替えられた他、数棟の再開発高層マンションが建設されましたが中心商業地の変化はあまり感じられず、地域全体に再開発効果が波及しているとは言いがたい状況です。特に総曲輪通りのシャッター街化は深刻で、地元の中学生数人に「最近、西町に行ってる?」と聞くと「西町って、どこ?あ、大和のある所か!」と言い出す有り様でした。若者から見た西町の存在感の無さは驚きです。この十数年間で富山市西町の空洞化は決定な所まで進んでしまいました。回の旧大和跡地の再開発により、図書館や美術館が整備されると少しは賑わいが戻るかもしれませんが、根本的な解決に向けて好循環が始まるまでは至らないと思います・・・。












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しかし、行政は諦める訳には行きません。今後も中心市街地に高層マンションをコツコツと建設し中心市街地の定住人口を増やす、パーク・アンド・ライドを推進する為郊外駅前に無料駐車場を建設する、金沢フォーラスの様な広域集客が見込める大規模ファッションビルをなんとか勧誘する、商店街に新規出店する事業者にインセンティブを付けるなど、富山市は今後も地道な取り組みを腰を据えて続けて行く事になりそうです。


現状は相当厳しいですが、富山市には持続可能な都市経営のあり方の一つとして「コンパクトシティ戦略」をなんとか軌道にせて欲しい、西町の空洞化対策に取りみを見てそう思いました。





2 COMMENTS

iskw

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元金沢市民の現富山の人です。
あくまで過度な車依存から抜け出し、車なくても暮らせる街目指しての施策で
企業誘致とか極端な都市化は進めてないですよ。
背伸びしない身の丈にあった暮らし。多分その辺は金沢の人とは感覚が違います。
大昔ならいざしらず地元の人には西町なんていうより総曲輪の方が通じますよ(汗)
それに学生さんは市電で駅前に行っちゃいますからね。
金沢は富山が過去やって失敗した道たどってます(道路を沢山作って郊外化、箱物を分散配置)
富山の人はそれがいかに愚かな事か身をもって知ってるから、金沢をモデルになんてしないと思いますよ。
それに風土が異なる富山で同じことしたって上手くいくわけでもないですから。

koko

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地方都市の抱える問題は多岐にわたりますが、今後は地方の政令指定都市も同様の問題を抱える(既に抱えている)ことになると思われます。
そういう意味でも、先進的な取り組みをなされている富山市にはぜひ成功をおさめていただき、他の地方都市の見本となって頂きたいですね!
富山市の今後が楽しみです。

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