中部国際空港島50haのIR構想が前進!民間事業者が正式参加表明、Aichi Sky Expo売却を前提に2027年春の事業者選定へ



愛知県は2026年10月7日、中部国際空港(セントレア)の空港島で検討している統合型リゾート(IR)計画について、民間事業者から参加表明書の提出があったと発表しました。応募事業者の数と名称は、競争環境の確保を理由に非公表としています。

計画地は常滑市セントレア4・5丁目の約50ha。既存の愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」を核に、国際会議場、ホテル、エンターテインメント施設、カジノなどを集積する構想です。

2027年3月23日までに具体的な事業提案を受け付け、同年春頃に候補事業者を選定する見通しです。国際空港に直結する立地を生かせる一方、特殊な土地形状や建築物の高さ制限、既存施設の権利関係など、事業化に向けた課題も抱えています。

応募事業者は何社?事前調査では4者がIR事業への参入に関心

愛知県は2026年4月1日から具体的な事業提案の募集を開始しました。当初7月31日だった参加表明期限は、事業者からの要望を踏まえて9月30日まで延長され、今回、正式な参加表明が確認されました。

これに先立つ2〜3月の意見募集には計15者が回答。内訳は、IRの整備・運営主体になることに関心を持つ4者と、関連するノウハウ・知見を持つ11者でした。

ただし、事前調査で関心を示した4者が正式に応募したとは限りません。今回の参加表明は少なくとも1者からあったことを示すもので、実際の応募者数や競争状況は明らかになっていません。

中部国際空港島IR計画の概要



愛知県は国際空港と大規模展示場が隣接する立地を生かし、MICE(国際会議・展示会など)を核とした国際観光都市の形成を目指しています。中部圏の産業集積を背景に、国際会議や展示会で訪れるビジネス客を宿泊・観光需要につなげる構想です。
項目 計画内容
事業名称 中部国際空港島特定複合観光施設設置運営事業
所在地 愛知県常滑市セントレア4・5丁目
計画区域 約50ha(約50万㎡)
既存施設 Aichi Sky Expo(延床約9万㎡)
国際会議場 最大会議室3,000人以上、全会議室合計は最大会議室の2倍以上
展示施設 展示面積6万㎡以上
宿泊施設 全客室の床面積合計おおむね10万㎡以上
その他施設 観光・文化、エンターテインメント、送客施設など
カジノ ゲーミング区域はIR施設全体の床面積合計の3%以下
事業期間 35年間(延長可能)
土地利用 県有地などを貸付または売却
投資額・開業時期 未定

愛知県は、Aichi Sky Expoの建物をIR事業者へ売却する方針



今回の計画の特徴は、2019年に開業したAichi Sky ExpoをIR区域に組み込み、既存の展示機能を活用することです。

同展示場は延床面積約9万㎡、展示面積6万㎡を備える国内最大級の展示施設です。愛知県は国によるIR認定後、建物を設置運営事業者へ売却する方針を示しています。

一方、展示場にはコンセッション方式による既存の運営契約があります。愛知国際会議展示場株式会社(AICEC)が2035年3月31日まで公共施設等運営権を保有しており、建物を取得するIR事業者と現運営会社との間で、展示場の運営条件を調整する必要があります。

県の募集要項に対する質問回答では、展示場の取得価格や既存施設の改修資料、将来の運営条件についても質問が寄せられています。建物の売却価格は一般公表されておらず、具体的な条件は守秘義務対象資料や競争的対話などで確認する仕組みです。

稼働中の大型展示場を取り込むことでMICE機能を早期に確保できる一方、既存施設の取得費用と運営上の権利関係が、事業計画を組み立てるうえで重要な要素となります。

約50haでも開発の自由度は限定的。土地形状・高さ制限・事業リスクが課題



中部国際空港島の計画区域は南北に細長く、中央部で敷地がくびれる特殊な形状です。約50haの区域にはAichi Sky Expoが含まれ、周辺の既存ホテルなども提案対象地から除外されています。

さらに、航空法による建築物の高さ制限があり、大規模な宿泊施設やエンターテインメント施設をどのように配置するかが重要になります。

IR予定地が抱える主な制約

課題 具体的な内容
土地形状 南北に細長く、中央部がくびれた区域を一体的に利用する必要
高さ制限 航空法に基づく45mの制限表面があり、超高層建築には制約
区域内の移動 南北を結ぶ歩行者動線などについて、県による新たな整備予定はなし
既存建物 周辺の既存ホテル等は提案対象地に含まれず、施設配置に制約
防災 大規模地震・津波への対策と事業継続性の確保
投資採算性 建設費上昇への対応、交通需要の検証、長期的な収益確保
高さ制限について、県の実施方針は航空法上の制限を45mと記載しています。これは空港標点を基準とする制限表面であり、実際の建築可能高さは敷地の位置や地盤標高などによって異なります。

また、募集要項への質問では、南北に長い区域を結ぶ道路や歩行者動線などについて、県は新たな施設整備を予定していないと回答しました。IR全体の回遊性を確保するための施設配置と移動手段も、民間事業者による提案の重要な要素となります。

事業費の負担も大きな論点です。民間事業者からは、大規模地震・津波などの不可抗力リスクや建設費の上昇について、県による一部負担を求める質問が出されました。しかし、県はいずれも負担を想定していないと回答しています。

空港直結と既存展示場の活用は大きな強みですが、その優位性を事業収益につなげるには、限られた建築条件の中で施設の魅力と投資採算性を両立させる必要があります。

2027年春に候補事業者を選定、国へのIR認定申請へ


時期 進捗・予定
2026年2〜3月 民間事業者への意見募集、15者が回答
2026年4月1日 具体的な事業提案の募集開始
2026年6月17日 参加表明期限を9月30日に延長
2026年9月30日 参加表明書の提出期限
2026年10月7日 愛知県が参加表明を正式発表
2026年度冬頃まで 競争的対話
2027年3月23日 提案審査書類の提出期限
2027年春頃 候補事業者選定・基本協定締結の見通し
2027年5月6日〜11月5日 国への区域整備計画の認定申請期間
候補事業者の選定後は、常滑市と愛知県公安委員会の同意、県議会の議決などを経て、国に区域整備計画の認定を申請します。現段階では事業者の選定や建設が決定したわけではなく、施設計画や投資額、開業時期も未定ですが、今回の参加表明によって、愛知県のIR構想は民間事業者の具体的な提案を審査する段階へ進みます。

既存展示場を活用するという条件の下で、どこまで新たな宿泊・集客機能を整備できるのか。 2027年春に向けて、施設配置と投資規模、事業収支の実現性を備えた提案が示されるかが焦点となります。




出典・参考資料

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