名古屋鉄道は2024年3月24日、「名古屋駅地区再開発計画」の事業化を正式に発表しました。リニア中央新幹線の開業を契機に、名鉄名古屋駅の再整備と駅前エリアの大規模再開発を一体的に進める本プロジェクトは、中京圏における都市の構造を大きく変える再編の起点と位置づけられています。交通・ビジネス・交流の新たな結節点としての機能強化が図られ、名古屋の都市力が大きく進化することになります。
再開発の背景とねらい
老朽化した駅施設と都市機能の限界、リニア開業が転機に
名鉄名古屋駅は、地上の名鉄百貨店やグランドホテルとともに長年使われてきましたが、施設の老朽化や機能的な制約が顕著となっていました。特に駅構内は地下に位置し、2線しかない構造が列車運行の柔軟性を妨げており、混雑・遅延の要因となっていました。さらにバリアフリー対応や乗換利便性の面でも、他都市の主要駅と比べて課題が残っていました。
そうした中、リニア中央新幹線の開業によって名古屋が日本の交通軸の中核に浮上することを見越し、駅機能の再構築と、駅周辺の都市機能の再定義が急務となりました。今回の再開発は、単なる建替えにとどまらず、名古屋という都市そのものの価値を刷新する取り組みと位置づけられています。
高層ビル2棟による大規模複合開発
オフィス・商業・ホテルを備えた名古屋の新ランドマークへ
再開発エリアは名古屋市中村区名駅一丁目2番ほかで、名鉄百貨店本店や名鉄グランドホテルなどが含まれます。敷地面積は約32,700㎡、延床面積は約520,000㎡。当初は3棟案も検討されていましたが、最終的に2棟構成に集約されました。
建設される高層ビルは、北側（JR名古屋駅寄り）が地上31階・高さ172m、南側が地上29階・高さ170m。商業施設、高級ホテル、広いオフィスフロア、バスターミナルを内包する大規模複合施設として整備されます。共同事業者は、名古屋鉄道、名鉄都市開発、日本生命保険、近畿日本鉄道、近鉄不動産の5社です。
駅機能の再構築と空港アクセス強化
名鉄名古屋駅が4線化、新改札・ターミナルスクエアも整備
名鉄名古屋駅では、現在の3面2線を4線に拡張し、「空港アクセスホーム」を新設します。これにより中部国際空港への直結性が高まり、アクセス列車の利便性も向上します。段差の解消、ホームドア設置、停車時間の最適化など、快適性と安全性も大幅に向上する見込みです。
また、名古屋市が整備を進める広場「ターミナルスクエア」との接続や、笹島交差点付近に新たに設けられる改札口によって、リニア中央新幹線や地下鉄、JRとの乗換動線も整理され、都市全体の交通効率が高まります。
2033年度に一部開業、段階的に都市機能を拡張
スケジュールと総投資額、名鉄史上最大級のプロジェクト
2026年度に名鉄百貨店（2月末）、名鉄グランドホテル（3月22日）、名鉄バスセンター（3月中）の営業が終了し、施設の解体に着手。2027年度より新築工事が始まり、2033年度に第1期開業としてオフィス、商業施設の一部、ホテル、バスターミナルが順次オープンします。
その後、2040年代前半には第2期として商業エリアの全面開業と、鉄道施設の4線化が完了する予定です。名鉄単体での開発事業投資額は約5,400億円に達し、同社にとって過去最大規模の都市開発となります。
名古屋都心部へ広がる波及効果
名駅から栄・ささしまへ──都市回遊性の再構築を目指して
再開発は名駅周辺にとどまらず、都心全体に広がる影響が見込まれます。特に注目されているのが、名古屋のもう一つの中心である「栄」エリアへの波及です。
近年、名駅への再開発集中によって東西バランスの偏りが課題とされていましたが、名鉄は「都心回遊性の向上」を掲げ、名駅南やささしまライブ、栄との面的な接続を意識した都市づくりを進めています。歩行者ネットワークや地上広場などが整備されることで、ビジネス・観光の動線が都心全体に拡張されることが期待されます。
また、栄では久屋大通公園の再整備や栄広場（仮称）の開発も進行しており、名駅との機能補完・連携による都市の多核化が進む可能性があります。
再開発がもたらす期待と課題
都市の進化と地域間バランス、空洞化リスクとの向き合い方
本再開発には大きな期待が寄せられる一方、懸念される課題もあります。名駅エリアに都市機能が集中することで、栄や大須といった既存エリアの求心力が相対的に低下するリスクや、地元中小事業者の淘汰、地価高騰による空洞化などが懸念されています。都市が洗練されていくなかで、名古屋らしい個性や多様性をどのように守り、活かしていくのか。面的な都市経営の視点が今後のカギとなります。
名古屋駅地区再開発は、都市の玄関口としての機能を再構築するだけでなく、名古屋という都市全体の未来像を示すプロジェクトでもあります。リニア時代の到来とともに、東京・大阪に次ぐ「第3の拠点都市」としての存在感を高めるための重要なステップとなるでしょう。都市間競争が激しさを増す中で、名古屋がいかに持続可能で多様性あるまちとして進化していくのか。今後の進捗に注目が集まります。
共同開発事業者に近鉄も名を連ねていますが、近鉄パッセが再開発始動に伴って閉館したあとはそのまま名古屋から店舗を撤退されるみたいですね。
今、愛知県の人口は社会減が定着した感があります。
その人口の流出先は東京、そして大阪なんだそうです。
愛知県、名古屋市は田舎ではない、しかし世界的大都市でもない、ちょっと中途半端な立ち位置のように感じます。
色んな要素があって都市は出来上がっています。雑多な都市でないと面白みがなくすぐに飽きられてしまいます。
それは名古屋も同じ。大須の様な昔ながらの商店街もあるから良いのであって。
ただ、昨今の名古屋は元気がありませんね。
ささしまも何だかなぁな開発になってしまいましたし。
名古屋駅前も高さがあっても開発されている範囲が狭く広がりがない。
すぐに雑居ビルだらけな街になってしまう。それに似た要素のビルばかりでは、ただ見た目だけの開発になってしまいます。
考えたらリニアが開通してもそこで下車する人間の数は変わりません。
逆に東京から近くなるだけ人を吸い上げられて名古屋が衰退するかもしれない。
そうならない為にも、リニアなど当てにしないで開発をし、名古屋自体を変えなくてはいけないのではないでしょうか?
わざわざ行きたくなる街にしなくては、リニア開通が名古屋衰退の始まりになってしまうかもしれない。それは残念すぎです。
名古屋は大阪のような雑多感がなく、街並みはスマートです。
が、逆に賑わいや街を歩く魅力が少ないかなと。。
何が？と言われると難しいところですが、札幌のススキノや福岡の天神を歩くとワクワクする
高揚感がなぜか出てこないんですよね。
ただ、クルマを走らせることに関しては間違いなく3大都市でもその他政令都市でも抜群に快適かも。