大阪府、大泉緑地・蜻蛉池公園・りんくう公園の次期管理者を公募!2028年から20年間の新制度へ、民間投資による魅力向上を目指す



大阪府は2026年11月4日、大泉緑地、蜻蛉池公園、りんくう公園の3公園について、20年間の長期運営を担う「PMO型指定管理者」の公募を発表しました。11月5日から募集要項を公開し、2028年4月から新体制へ移行する計画です。

最大の特徴は、民間事業者が長期投資に取り組みやすいよう、運営期間を従来の5年間から20年間に延長し、府への利益還元率を従来のPMO型制度等の50%から25%へ引き下げたことです。

公園の一部に収益施設を導入し、その収益を公園全体の整備・維持管理にも活用する仕組みです。背景には、全国で深刻化する公園施設の老朽化と、公共施設を維持するための財源確保という課題があります。

対象は合計188ha、年間約458万人が訪れる3公園


公園 所在地・特徴 開設面積 年間来園者数
大泉緑地 堺市など。森林、大芝生広場、スポーツ施設を備える広域公園 101.5ha 約300万人
蜻蛉池公園 岸和田市。大型遊具、花木園、スポーツ施設が充実 66.1ha 約105万人
りんくう公園 泉佐野市など。関西国際空港を望む海辺の公園 20.4ha 約54万人
合計 188.0ha 約458万人
※面積は大阪府公表の開設面積、来園者数は2023年度実績です。

大阪府は2006年度から府営公園に指定管理者制度を導入しており、今回の3公園も現在は5年間の「ソフト充実型指定管理者制度」で運営されています。

新たなPMO型は、清掃や植栽管理、イベント運営などに加え、民間事業者による施設整備や収益事業を組み合わせ、公園全体を長期的に管理する方式です。

現段階では運営事業者や具体的な商業施設は決まっておらず、今後の提案・選定によって各公園の整備内容が具体化します。

利益還元50%から25%へ。20年間で民間投資を促進

今回の公募では、収益事業への投資を促すため、事業条件が見直されました。
項目 従来の制度・運用 今回の新条件
指定管理期間 対象3公園は5年間 20年間
収益還元率 従来のPMO型制度等では利益の50% 利益の25%
公園への再投資 ― 利益全体の12.5%を上限に、還元分の一部を施設修繕・整備に充当可能
自動販売機 府が設置事業者を公募 指定管理者が設置・運営
申請受付 ― 2027年4月19~23日
指定期間 ― 2028年4月~2048年3月
※収益還元率50%は従来のPMO型制度等の条件であり、今回対象3公園の現行条件を示すものではありません。

飲食店や体験施設を新設する場合、事業者は建設費や設備投資を負担する必要があります。5年間では投資回収が難しくても、20年間の運営期間が確保されれば、長期的な事業計画を立てやすくなります。

大阪府は利益還元率を引き下げることで、事業者側の採算性を改善し、民間投資を呼び込もうとしています。府への還元額を増やすことよりも、新たな施設整備と公園の魅力向上を優先した制度設計といえます。

なぜ公園で稼ぐ必要があるのか? 年間3.7億円の管理費と施設老朽化



国土交通省によると、全国には約11万カ所の都市公園があり、約6割が設置から30年以上経過しています。10年後には約8割に達する見込みです。

公園は建設後も樹木の剪定、清掃、警備、遊具の点検、トイレや園路の修繕などに費用がかかります。設備の老朽化が進めば、まとまった更新投資も必要です。

大阪府が公表している現行協定を確認すると、今回の3公園には次の指定管理料が設定されています。
公園 2026年度の指定管理料
大泉緑地 約2億266万円
蜻蛉池公園 約9,001万円
りんくう公園 約7,823万円
合計 約3億7,100万円
※現行協定および2026年度変更協定に基づく概算。2028年度以降の指定管理料ではなく、大規模な更新工事費などをすべて含む数字でもありません。

公園は原則として誰でも自由に利用できる公共空間です。管理費をすべて利用者から回収することは難しく、基本的な維持管理には公費が欠かせません。

そこで、カフェやレストラン、スポーツ・体験施設などを一部に設け、民間事業者の収益と投資を公園の整備にも役立てる手法が広がっています。

今回の制度改革は、公園の管理費をすべて商業収益で賄うことを目指すものではありません。税金による基礎的な維持管理に、民間投資と新たな収益を組み合わせる取り組みです。

全国203公園に広がる民間活用。名古屋・東京・広島でも導入



公園の収益化は、大阪独自の動きではありません。2017年の都市公園法改正で創設された「Park-PFI」は、民間事業者が公園内に収益施設を整備し、その収益を公共施設の整備にも活用する制度です。

国土交通省の2026年3月末時点の資料では、全国203公園で公募設置等指針が公表され、131公園では対象施設が一部を含め供用されています。
都市・公園 商業施設の導入 公共空間の整備
名古屋市・Hisaya-odori Park 約35店舗。2020年開業 芝生広場、水盤、緑地を再整備
東京都新宿区・新宿中央公園 カフェ、レストラン、フィットネス施設 誰でも利用できるテラスや芝生広場
広島市・HIROSHIMA GATE PARK 8棟の商業施設。2023年開業 約6,500㎡のイベント広場、散策路
名古屋市の久屋大通公園では、飲食店や売店から得られる収益の一部が、公園施設の整備・管理費に充当されています。

大阪府でも2023年度から、服部緑地、浜寺公園、二色の浜公園で20年間のPMO型指定管理を導入しており、今回の3公園はその拡大に当たります。

Park-PFIと大阪府のPMO型は法制度上異なりますが、民間の収益事業を公共空間の整備・管理に結び付けるという考え方は共通しています。

「公園で金儲けをするな」という批判。公共性をどう守るのか



公園に商業施設を導入することに対しては、以前から反対意見もあります。

公園には、休息や子どもの遊び場としての機能だけでなく、防災、都市の暑さの緩和、生物多様性の保全など、売上では評価できない価値があります。収益性を優先するあまり、無料で過ごせる空間や自然環境が損なわれれば本末転倒です。

実際、大阪府の外部有識者会議では、民間から寄せられた提案に対し、自然保全区域への集客施設の設置、既存施設の機能への影響、周辺商業との競合、集客見込みの実現性などが課題として指摘されました。

一方、商業施設の導入を一律に否定しても、老朽化した設備の更新財源が確保できるわけではありません。維持管理費が不足すれば、遊具の撤去や施設の利用停止によって、公共サービスが縮小する可能性もあります。

重要なのは、商業施設の有無ではなく、収益事業によって無料の公共空間がどれだけ改善されるかという点です。民間投資額や収益還元額に加え、緑地の保全状況、施設の更新実績、利用者の満足度などを継続的に検証する必要があります。

すべての公園が稼げるわけではない

収益事業の成立可能性は、立地や来園者数によって異なります。人口が多い都市部や観光地では商業需要を期待できますが、住宅地の小規模公園や人口減少地域では、十分な売上を確保できない場合もあります。

大阪府は2024年11月から7公園を対象に市場調査を実施しましたが、PMO型への移行を決めたのは今回の3公園です。

山田池公園では長期契約を必要とする大規模投資の提案が見込めず、石川河川公園には事業者からの提案がありませんでした。住吉公園では提案内容に法令上の制約や周辺交通への懸念があり、従来型の管理を継続する判断となっています。

これは、民間活用がすべての公園に適しているわけではないことを示しています。商業収益が期待できる公園には積極的に民間投資を呼び込み、難しい公園には必要な公費を確保する。今後は、そうした公園ごとの特性に応じた運営が重要になりそうです。

公園を持続させるための一部商業化



今回の大阪府の取り組みは、公共施設を行政だけで維持する従来の仕組みに、民間の事業性を組み込むものです。

私としては、公園の一部に商業機能を取り入れ、その収益を公園全体の維持管理に活用する方向性は、今後さらに広がっていくと考えています。

ただし、商業施設はあくまで脇役であり、主役は公園そのものです。

民間投資によって緑地や公共施設の質を高め、誰もが自由に利用できる場所を次世代に引き継げるか。2028年から始まる3公園の新たな運営は、その可能性を試す取り組みとなりそうです。




出典

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