札幌市は、札幌駅の南口に計画している、北5条西1丁目及び西2丁目地区第一種市街地再開発事業について、札幌市環境影響評価条例に基づき、事業計画案の調査・予測・評価を実施し、その結果に対する事業者の考え方を取りまとめた「環境影響評価準備書」を作成、縦覧を行っています。※縦覧期間:2022年2月1日~3月2日
最新の計画案は、地上43階、地下4階、高さ約245m、延床面積約388,500㎡となっており、当初より少しだけ規模が縮小されています。それでも札幌都心部ではダントツの巨大開発である事は間違いありません。
出展元:
→札幌市> (仮称)札幌駅交流拠点北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業 環境影響評価準備書
これまでの経緯
JR北海道は2021年9月15日付けのニュースリリースで、札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発による新たな札幌の景観づくりの実現に向け、マスターアーキテクトとして建築家の内藤廣氏を招聘し、建物の設計業務を担う株式会社日本設計とともに、施設全体のデザイン監修を担当すると発表しました!【出展元】
→札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発の マスターアーキテクトの選定について
今回発表された新ビルの完成イメージパースです。詳細デザインはこれから行われるので、計画概要から導き出された「ドラフト案」です。既存のJRタワーが子供に見えるくらいの大きさで描かれており、新ビルの規格外の大きさが解ります。
今後は、施設の各箇所のデザイン体制を構築し、マスターアーキテクト、デザイナー、建築設計 者の協業により、建物デザインを具体化していく予定です。北海道の玄関口にふさわしい新た なシンボル空間や、周辺との一体感が感じられる景観形成に向け、新たな札幌の顔づくりに 取り組んで行く、としています。
これまでの経緯2
札幌駅南口では北海道新幹線の札幌延伸にあわせた再開発「札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発」が進められています。札幌市は2021年3月12日に、市やJR北海道などでつくる市街地再開発準備組合が昨年8月に示した新ビル構想2案のうち、高さ約255mの高層ビルの建設を軸としたA案に絞り込んだと明らかにしました。
【出展元】
→(仮称)札幌駅交流拠点北5西1・西2地区第一種市街地再開発事業 計画段階環境配慮書
新ビルは最大高さ約255mのA案と、約200m、約150mの2棟構成となるB案の2案が検討されてきましたが、札幌の玄関口にふさわしい新たなシンボル空間の創出を目指しシンボル性の高い拠点を目指す観点からA案に絞り込まれました
完成すれば道内で最も高いJRタワー(173m)を超え道内一の高さとなります。今後、5月までに詳細を固め、施設利用方針などを盛り込んだ基本計画が策定されます。
開発区域は北5西1、西2街区を合わせた約2.5ha。再開発は延べ約41.7万m²の規模で構想されています。新ビルは1階にバスターミナルを置き、2階から上階に商業やホテル、駐車場を配置。2街区をまたぐ低中層の基壇部を設け、その上に高層部が配置されます。A案は北5西1街区側に高層部を配置し、最大高さは約255mとなります。
再開発は都市再生特別地区の適用を想定し、容積率を1200-1500%に緩和し大規模な再開発ビルを実現させる計画で、2030年開催に向けて招致運動中の冬季五輪・パラリンピック前年の29年秋に完成させるため2023年度の着工を見込んでいます。
それにしても新ビルの延べ床面積41.7万㎡は札幌の都市規模から考えると破格の規模です。名古屋のセントラルタワーズが約41.6万㎡、グランフロント大阪が4棟で約56.7万㎡なので、他都市の再開発と比較すると、札幌駅の開発規模の大きさが解ると思います。
ちなみに三鬼商事の調べによると2019年の札幌ビジネス地区の、オフィスの総ストックを表す賃貸可能面積は168万㎡でした。今回の再開発は商業施設やホテルで構成される複合施設なので単純比較はできませんが、新ビルの41.7万㎡のインパクトの大きさが感じられると思います。
ここまで大規模な複合ビルを道内最高の集客ポイントである札幌駅前に建設すると札幌市全体の需給バランスが崩れる可能性がありまが、それでもなお、この規模の再開発を推し進める原動力はJR北海道の危機感ではないでしょうか。
JR北海道の鉄道事業は、その事業環境の厳しさから十分な収益を上げる事が難しく少子化などにより、今後益々経営環境が厳しくなる事が予想されています。その様な状況でJR北海道が生き残る為には『非鉄道部門の収益力強化』が必須です。今回の北5西1・西2地区の再開発は、考えられる最大級の計画で、最大の集客ポイントで最高の収益を上げたいJR北海道の意図が透けて見えます。
この計画は、JR北海道の生き残りをかけた、まさに背水の陣と言える計画だと思います。今後は札幌市や関係企業と連携して、この巨大開発が推し進められる事になります。
2021年7月の様子
現地の様子です。こちらは北5西2地区に所在する、建替えが計画されている札幌エスタの様子です。
エスタの開業当初は核店舗として百貨店の「札幌そごう」が入居していましたが、2000年に「札幌そごう」が閉店。2001年に後継テナントとして北海道内初出店となる家電量販店のビックカメラが入居しました。
北5西1地区の様子です。ここに高さ255mの超高層ビルが建設される予定です。
北西側から見た様子です。
撮影ポイントを変えてJRタワーから見た北5西1地区の様子です。
最後は引き気味で見た現地(5西1地区)の様子です。写真の右下に札幌エスタ(5西2地区)が見えています。再開発ビルは、2030年開催に向けて招致運動中の冬季五輪・パラリンピック前年の2029年秋に完成させるため2023年度の着工を見込んでいます。