三菱商事都市開発株式会社は2026年2月16日、大阪府東大阪市高井田中一丁目において、関西圏初となるマルチテナント型製造・研究開発施設「innoba(イノーバ)」の開発用地を取得したと発表しました。本計画は「(仮称)innoba東大阪」として事業化され、2027年1月着工、2028年4月の運営開始が予定されています。
「innoba」は、製造業・研究開発企業・スタートアップが一棟に集積する民設民営型の産業施設です。2023年に東京都大田区で開業したシリーズ第1弾「innoba大田」は現在満床で運営されており、本件はシリーズ第3弾、かつ関西初進出となります。
innoba(イノーバ)とは何か(施設の基本整理)
出展:innoba太田
innobaは、一般的な貸工場や工場付きオフィスとは異なり、最初から製造・研究開発用途を前提に設計されたマルチテナント型施設です。単に「床を貸す」ことを目的とせず、製造・R&Dに必要な機能をまとめて利用できる環境を提供します。
ハード面の特徴
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高床荷重仕様
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高電気容量
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大型機器搬入を想定した開口部・廊下幅
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荷捌き駐車場
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会議室・休憩スペースなどの共用部
一般的な賃貸オフィスでは対応が難しい製造・試作・研究用途を想定した仕様となっています。
ソフト面の特徴
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入居企業同士や外部企業との交流促進
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外部有識者とのネットワーク構築支援
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企業ステージに応じた個別支援
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民設民営による入居期間制限なし
innobaは、設備・空間・支援を一体で提供する製造・研究開発向けの共有インフラと位置づけられます。
計画地の立地特性(なぜ東大阪・高井田なのか)
計画地は、製造業の集積地として知られる東大阪市・高井田エリアに位置します。徒歩圏内に5駅3路線が集中し、加えて高速道路へのアクセスも良好です。
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近鉄奈良線「河内永和」駅:徒歩10分
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JRおおさか東線「JR河内永和」駅:徒歩10分
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Osaka Metro中央線「高井田」駅:徒歩13分
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阪神高速13号東大阪線「高井田」出口:車で約5分
通勤利便性、部材搬送、試作物流を同時に成立させやすい立地である点が、この計画の前提条件となっています。
4. 開発概要(計画段階)
※本内容は計画段階であり、今後変更となる可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名称 | (仮称)innoba東大阪 |
| 所在地 | 大阪府東大阪市高井田中一丁目37番1他 |
| 敷地面積 | 約3,500㎡ |
| 延床面積 | 約8,000㎡ |
| 構造・規模 | 鉄筋コンクリート造・地上4階建 |
| 着工予定 | 2027年1月 |
| 運営開始予定 | 2028年4月 |
事業の狙い(不動産から「機能」へ)
本事業の特徴は、製造業向け不動産を「機能単位」で提供する点にあります。
「持たない製造業」への対応
従来の町工場モデルでは、土地・建物・設備を自社で所有することが一般的でした。
一方で、近年のスタートアップや企業内R&D部門では、固定資産を極力持たず、必要な期間・規模で製造環境を利用したいというニーズが高まっています。
innobaは、こうしたニーズに対し、製造・研究開発機能を利用型で提供する受け皿として位置づけられます。
産業ネットワークの集積拠点
また、入居企業が一箇所に集まることで、
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技術分野の可視化
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事業連携や協業の可能性
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将来的な出資・提携検討の機会
といった側面も生まれます。innobaは、産業情報が集積する拠点としての役割も担います。
6. 地域への影響
期待される効果
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老朽化した製造・研究施設の更新手段
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単独では導入が難しい設備仕様の共有
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東大阪における製造密度・研究機能の維持
留意すべき点
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周辺地価や賃料への影響
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小規模事業者が参入しにくくなる可能性
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交流促進が実態として機能するかどうか
本施設は、すべての事業者を対象とした施策ではなく、一定の選別性を伴う都市型産業施設である点には留意が必要です。
7. まとめ
出展:innoba太田
innoba東大阪は、製造業・研究開発機能を「所有」から「利用」へと転換する動きを、不動産開発として具現化した事例といえます。
東大阪という既存の産業集積地において、
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老朽化対応
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機能更新
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研究・試作拠点の柔軟化
を同時に進める試みであり、2028年春の運営開始以降、その実効性が注目されます。
出典・参考資料
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三菱商事都市開発株式会社「東大阪で『innoba(イノーバ)』開発用地を取得」(2026年2月16日 プレスリリース)
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三菱商事都市開発株式会社 公式サイト(innoba 施設紹介ページ)





