関西電力と関電不動産開発は2026年4月21日、「中之島三丁目共同開発Ⅳ期計画」として、関電ビルディング東側で新たなオフィスビルの建設に着手したと発表しました。竣工は2028年11月の予定です。
この計画は、1997年から段階的に進められてきた「中之島三丁目共同開発」の最終段階にあたります。これまでに、第Ⅰ期として関電ビルディング、第Ⅱ期として中之島ダイビル、第Ⅲ期としてダイビル本館と「中之島 四季の丘」が整備されており、今回のⅣ期計画はその総仕上げとして位置づけられています。
木質ハイブリッド構造を採用した8階建てオフィスビル
計画地は大阪市北区中之島三丁目1番ほかで、京阪中之島線「渡辺橋」駅から徒歩4分、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅から徒歩5分です。建物は鉄骨造の木質ハイブリッド構造で、地上8階、高さ34.78m、延床面積は10,739.96㎡。設計は日建設計、施工は大林組、建築主は関電不動産開発です。
このビルでは、内外装に木質素材を採用するほか、構造面でもCLT耐震壁を活用します。都市部のオフィスビルとしては、木質素材の活用を比較的強く打ち出した計画であり、意匠面だけでなく、働く環境の質の向上も意識した設計となっています。
河川水を活用する地域冷暖房を導入
環境性能の高さも、この計画の大きな特徴です。空調システムには、堂島川と土佐堀川の河川水を有効活用する高効率地域冷暖房システムを採用します。大気中への排熱を抑えながら、効率的な冷暖房を行う仕組みです。
あわせて、高断熱性能や各種環境配慮技術の導入により、年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減する計画です。設計段階では、「ZEB Ready」認証と「CASBEE大阪みらい」の最高評価であるSランクも取得しています。木質デザインを特徴としつつ、環境性能でも高い水準をめざしている点が、このビルの特徴といえます。
歩行者デッキ整備で街区内の回遊性を向上
今回の計画では、建物本体に加えて、歩行者動線の整備も進められます。新たな歩行者デッキを設けることで、土佐堀川から堂島川へ抜ける南北動線を形成するとともに、大阪中之島美術館やNakanoshima Qross方面へつながる東西動線も整備します。これにより、中之島三丁目街区の回遊性向上と歩車分離による安全性向上が図られます。

中之島は、業務機能、文化施設、水辺空間が集積する都心エリアですが、今回のⅣ期計画では、街区内の動線を補完することで、エリア全体の利用しやすさを高める方向が示されています。これは単独ビルの整備ではなく、街区全体を再編する開発として見るべき内容です。
「中之島 四季の丘」と連続する緑地を整備
緑地計画も重要な要素です。関電ビルディングとの間には、新たにプロムナードを整備し、歩行者空間を拡充します。さらに、「中之島 四季の丘」と連続する植栽を導入し、街区内に緑地の連続性を持たせる計画です。サクラやモミジなど、季節の変化を感じやすい樹種を選定し、生物多様性にも配慮するとしています。広い街区全体を建物で埋めるのではなく、歩行者空間や緑地を組み合わせながら、街区全体の構成を整える計画であることが分かります。
注目点は「木のビル」ではなく街区全体の完成

今回の計画は「木質デザインのビル着工」という形で注目されていますが、計画の意義はそれだけではありません。木質デザイン、環境性能、歩行者動線、緑地整備を一体で進めることで、中之島三丁目共同開発を街区全体として完成させる点にあります。
近年の都心開発では、建物の規模や高さが強調されることが少なくありませんが、この計画では、回遊性や環境性能、歩行者空間の質といった要素が重視されています。中之島という大阪都心の重要なエリアにおいて、今回のⅣ期計画は、未整備部分を埋めるだけでなく、街区全体の完成度を高めるプロジェクトといえます。
計画概要
- 計画名称:中之島三丁目共同開発Ⅳ期計画
- 所在地:大阪市北区中之島三丁目1番 他40筆
- 交通:京阪中之島線「渡辺橋」駅徒歩4分、大阪メトロ四つ橋線「肥後橋」駅徒歩5分
- 構造・規模:鉄骨造(木質ハイブリッド構造)・地上8階
- 高さ:34.78m
- 用途:事務所
- 敷地面積:21,089.32㎡(街区全体)
- 建築面積:1,777.18㎡
- 延床面積:10,739.96㎡
- 基準階貸室面積:1,175.33㎡
- 設計:日建設計
- 施工:大林組
- 建築主:関電不動産開発
- 着工:2026年4月21日
- 竣工:2028年11月予定
出典元
- 関西電力・関電不動産開発「中之島三丁目共同開発Ⅳ期計画 木質デザイン×環境配慮型オフィスビルの着工」
- 朝日新聞デジタル「木質デザインのビル着工 大阪・中之島、30年近い開発が最終段階」







