阪急阪神百貨店 店舗別売上ランキング2025年度(2026年3月期)|阪急うめだ本店は3,487億円、次期4,000億円へ再加速


阪急阪神百貨店の2025年度店舗別売上ランキングでは、阪急本店が3,487億円で圧倒的な首位となりました。前年度比では4.5%減となったものの、2位の阪神梅田本店749億円、3位の博多阪急657億円を大きく引き離しています。

ただし、この減収だけを見て「百貨店事業の失速」と捉えるのは早計です。百貨店事業全体では、前年に急伸したインバウンド売上の反動減により減収となりました。一方で、インバウンドを除く国内顧客向け売上は、阪急本店のリモデル工事による売場閉鎖の影響を受けながらも過去最高を更新しました。

つまり2025年度は、百貨店需要そのものが弱くなったというより、インバウンドの急伸分が剥落する一方で、国内顧客向けの基礎体力が確認された年でした。第4四半期には百貨店セグメントも増収増益に転じており、2026年度に計画する阪急本店4,038億円への再加速に向けた下地が見えています。

阪急本店が圧倒的首位、阪神梅田本店は15.7%増

今回のランキングで目を引くのは、阪神梅田本店の伸びです。売上高は749億円、前期比15.7%増。2025年11月に改装が完了し、非食品を中心に売上を伸ばしました。

阪急本店が高感度・高付加価値・ラグジュアリーを担い、阪神梅田本店が食・日常性・非食品強化を担う。梅田エリアにおけるH2Oの二枚看板戦略が、より鮮明になっています。


順位 店舗名 2026年3月期売上高 前年比 2027年3月期予想 予想前年比
1 阪急本店 348,747百万円 ▲4.5% 403,861百万円 +15.8%
2 阪神梅田本店 74,947百万円 +15.7% 75,830百万円 +1.2%
3 博多阪急 65,691百万円 ▲5.3% 69,205百万円 +5.3%
4 神戸阪急 43,061百万円 +0.2% 45,200百万円 +5.0%
5 高槻阪急スクエア 25,579百万円 +2.9% 26,357百万円 +3.0%
6 西宮阪急 25,106百万円 +1.3% 25,641百万円 +2.1%
7 千里阪急 13,318百万円 ▲1.6% 13,060百万円 ▲1.9%
8 阪急メンズ東京 13,024百万円 ▲6.7% 13,214百万円 +1.5%
9 川西阪急スクエア 12,839百万円 +3.9% 13,717百万円 +6.8%
10 宝塚阪急 7,199百万円 +3.5% 7,238百万円 +0.5%
11 大井食品館 4,491百万円 +0.4% 4,263百万円 ▲5.1%
12 阪神・にしのみや 4,312百万円 +2.2% 4,261百万円 ▲1.2%
13 都筑阪急 3,197百万円 ▲0.5% 3,228百万円 +0.9%
14 あまがさき阪神 3,197百万円 +3.3% 3,283百万円 +2.7%
15 阪神・御影 568百万円 ▲9.4% 591百万円 +3.9%

※阪急本店は阪急メンズ大阪を含む。2027年3月期予想は会社計画。

博多阪急は前期比5.3%減となりましたが、2027年3月期は692億円、前期比5.3%増を計画しています。神戸阪急、高槻阪急スクエア、西宮阪急、川西阪急スクエアも増収。特に川西阪急スクエアは売上高128億円、前期比3.9%増、入店客数20.8%増となり、郊外型拠点の再編集にも成果が出始めています。

百貨店事業は減収減益、ただし国内顧客向け売上は過去最高

H2Oリテイリング全体では、2026年3月期の連結総額売上高が1兆1,624億円となり、3期連続で過去最高を更新しました。一方、営業利益は324億円、前期比7.0%減。当期純利益は300億円、同14.0%減となりました。

百貨店事業は、総額売上高6,210億円、前期比2.2%減。営業利益は238億円、同15.8%減でした。主因は、前年第1四半期に急伸したインバウンド売上の反動減、阪急本店のリモデル工事に伴う一部売場閉鎖、POSレジ刷新に伴う一時費用です。

一方で、国内顧客向け売上は過去最高を更新しました。阪急本店は売場閉鎖の影響を受けながらも、ラグジュアリーブランドファッションや宝飾品・時計など、高額商材への国内需要が年間を通じて堅調に推移しています。

さらに第4四半期には、百貨店セグメントの総額売上高が前年同期比2.9%増、営業利益が20.7%増となり、通期減益の中でも足元では回復の兆しが出ています。

商品別では食料品・雑貨が堅調、身の回り品は大きく減少

商品別売上では、食料品が1,606億円で構成比24.9%と最大。次いで、身の回り品が1,455億円、雑貨が1,454億円、衣料品が1,328億円となりました。


商品分類 売上高 前年比 構成比
食料品 160,558百万円 +1.9% 24.9%
身の回り品 145,513百万円 ▲11.1% 22.5%
雑貨 145,363百万円 +1.8% 22.5%
衣料品 132,762百万円 ▲1.3% 20.6%
食堂・喫茶 14,082百万円 +1.9% 2.2%
家庭用品 13,640百万円 ▲3.0% 2.1%
その他 30,739百万円 +24.5% 4.8%
合計 645,541百万円 ▲1.4% 100.0%

食料品は1.9%増、雑貨も1.8%増と堅調でした。一方で、身の回り品は11.1%減。バッグやアクセサリーなど、免税売上と結びつきやすい領域であり、前年に急伸したインバウンド需要の反動が表れた形です。

国内高額品の底堅さと、阪急本店の運営力

第4四半期の国内売上は、阪急・阪神両本店がけん引し、前年同期比7%増となりました。阪神梅田本店は改装完了後、非食品を中心に同27%増。阪急本店も売場縮小の影響があったものの、ラグジュアリーやジュエリーなどの高額品が同20%超の伸びを示しました。

阪急本店の強さは、立地やブランド集積だけではありません。2025年度はリモデル工事により一部売場が閉鎖され、催事の売場面積も大幅に縮小しましたが、期間中のブランド入れ替えによる鮮度維持やEC強化により、効率的な運営に注力しました。

限られた売場でも、催事、EC、ブランド編集、外商・VIP対応、高額品MDを組み合わせて顧客接点を維持する。こうした運営力が、来期の再加速を支える下地になっています。

阪急本店は4,000億円へ、リモデルが本格稼働

阪急本店の2026年3月期売上高は3,487億円、前期比4.5%減でした。しかし、H2Oは2027年3月期の売上高を4,038億円、前期比15.8%増と予想しています。背景にあるのが、2012年以降最大規模となるリモデルです。

2026年3月に概ね完了したこの改装では、阪急本店を「グローバルデパートメントストア」として再定義。ハイエンドMDの充実、ラグジュアリービッグメゾンのインストア旗艦店化、「HANKYU LUXURY」の展開、コンシェルジュカウンターの新設、個別商談スペースの拡大、多言語・多文化・ユニバーサル対応、デジタルを活用したパーソナル接客などを進めています。

狙いは、単なる売場改装ではありません。MD価値、店舗価値、顧客満足価値を掛け合わせ、客単価、滞在時間、ロイヤルティ、来店頻度を高めることで、LTVの最大化を目指す戦略です。阪急本店は、上位顧客との関係性を深め、継続的に選ばれる店へ進化しようとしています。

来期は、売上再加速とコスト吸収の両立が焦点

2027年3月期のH2Oは、連結総額売上高1兆2,450億円、営業利益325億円を計画しています。売上は7.1%増を見込む一方、営業利益はほぼ横ばいです。阪急本店の改装効果による売上押し上げを見込む一方、人件費・物流費・システム費などのコスト増、中国インバウンド減少、海外・富裕層・データビジネスへの投資性費用も織り込んでいます。来期の焦点は、阪急本店の4,000億円級店舗への再成長と、コスト増・成長投資の吸収を両立できるかにあります。

インバウンドは「人数」から「海外VIP顧客化」へ

2025年度のインバウンド売上は、前年の急伸から一転して調整局面に入りました。全店ベースでは1,039億円、前期比19.9%減。阪急本店は831億円、同20.8%減、博多阪急も122億円、同21.9%減となりました。特に中国客の減少が大きく、2025年12月以降は中国客数が前年同期比40%台の減少で推移しています。一方、中国以外の地域は前年実績を上回り、堅調でした。

ただし、インバウンド全体が減少する中で、海外VIP顧客売上は伸びています。2025年度のインバウンド売上は1,300億円から1,040億円へ減少しましたが、海外VIP顧客売上は390億円から407億円へ増加。インバウンド売上に占める海外VIP比率も30%から39%へ上昇しました。


指標 2024年度実績 2025年度実績 2026年度目標
インバウンド売上 1,300億円 1,040億円 1,150億円
海外VIP会員数 3.9万人 5.3万人 6.0万人
海外VIP顧客売上 390億円 407億円 500億円
海外VIP売上比率 30% 39% 43%

この数字が示すのは、インバウンド戦略の質的転換です。H2Oは、海外SNS、CRM、VIPアテンド、プレミアムコンテンツ、韓国・タイへのアライアンス拡大などを通じて、海外顧客を一過性の訪日客ではなく、継続顧客として囲い込む方向へ舵を切っています。寧波阪急も、この流れを補完する海外側の接点と見るのが自然です。

まとめ:阪急うめだ本店は4,000億円ステージへ

2025年度の阪急阪神百貨店店舗別売上ランキングでは、阪急本店が3,487億円で首位を維持しました。前期比では減収となりましたが、国内顧客向け売上は過去最高を更新し、第4四半期には百貨店セグメントが増収増益に反転しました。

来期の焦点は、阪急本店の4,000億円化です。H2Oは、2012年以降最大規模のリモデルを終えた阪急本店を、グローバルデパートメントストアとして再定義し、2027年3月期に売上4,038億円を目指します。

2025年度は、過去最高後の踊り場であると同時に、H2Oが百貨店ビジネスを次の成長モデルへ組み替える転換点でもあります。阪急うめだ本店が4,000億円ステージに到達できるか。その成否は、梅田エリアの商業集積が次の段階へ進めるかを示す重要な指標になりそうです。





出典:H2Oリテイリング「2026年3月期 決算補足資料」「2026年3月期 決算説明資料」「2026年3月期 決算短信」

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