夢洲第2期区域マスタープランVer.3.0案公表!大屋根リング約200mを展望台化、民間開発エリアには大型アリーナ・ウォーターパーク構想も

大阪府・大阪市は、「夢洲第2期区域マスタープランVer.3.0(案)」を公表し、府民・市民からの意見募集を開始しました。募集期間は2026年5月1日から6月1日まで。提出された意見は、大阪府・大阪市の考え方とあわせて2026年6月中旬ごろに公表される予定です。

今回のVer.3.0案は、2025年大阪・関西万博の跡地となる夢洲第2期区域について、万博レガシーの継承と、IRに隣接する国際観光拠点としての民間開発を一体的に整理したものです。対象地は外周道路を含めて約500,000㎡。第1期区域では大阪IRの整備が進み、第2期区域ではIRと連携しながら、大規模なエンターテイメント・レクリエーション機能を導入する方針が示されています。

ポイントは、夢洲第2期区域が単なる「万博跡地」ではなく、大屋根リングを核とした記念公園、約420,000㎡の民間開発エリア、ヘルスケア・ライフサイエンス、スマートシティ実証を組み合わせた次世代型の国際観光拠点として再設計されている点です。

夢洲第2期区域マスタープランの流れ


時期 出来事 内容
2014年10月 夢洲まちづくり構想検討会を発足 経済界、大阪府、大阪市で夢洲全体のまちづくり方針を検討
2017年8月 「夢洲まちづくり構想」策定 国際観光拠点・国際物流拠点としての方向性を整理
2019年12月 「夢洲まちづくり基本方針」策定 IR整備法成立、万博開催決定を踏まえ、具体的な土地利用方針を整理
2020年2月 第2期区域マーケット・サウンディング 万博跡地活用に関する民間意向・市場性を調査
2022年12月 サウンディング型市場調査 万博後の速やかな跡地活用に向け、民間需要を再確認
2023年4月 大阪IR区域整備計画が国に認定 第1期区域のIR整備が正式に始動
2024年9月 民間提案募集を実施 第2期区域の具体的なまちづくり提案を募集
2025年1月 優秀提案2件を決定 提案件数3件のうち2件を優秀提案に選定。最優秀提案は決定せず
2025年4月 Ver.1.0策定 優秀提案を参考に初期版マスタープランを策定
2025年5月〜9月 大屋根リング活用検討会 保存・活用方針を議論
2025年10月 Ver.2.0策定 大屋根リング、静けさの森、ヘルスケアパビリオン利活用を反映
2025年12月〜2026年4月 万博成果検証委員会 万博の成果・レガシーを検証
2026年5月1日 Ver.3.0案公表 成果検証委員会の議論等を踏まえ、記載内容を更新
2026年5月1日〜6月1日 パブリックコメント 府民・市民から意見募集
今後 開発事業者募集へ Ver.3.0に沿って事業者募集を開始

Ver.1.0は民間提案を踏まえた骨格づくり、Ver.2.0は大屋根リングや静けさの森などを反映したレガシー更新版、Ver.3.0案は万博成果検証を踏まえ、レガシーの継承・発信をより具体化した案といえます。大阪府も、Ver.3.0案について「政府の2025年日本国際博覧会成果検証委員会における議論等を踏まえ、記載内容を更新した」と説明しています。

Ver.2.0からVer.3.0案で何が変わったのか

最大の変更点は、万博レガシーの扱いが「保存・継承」から「発信・活用」へ進んだことです。


比較項目 Ver.2.0 Ver.3.0案 ポイント
計画の位置づけ 民間開発の前提条件とレガシー活用の整理 優秀提案と万博成果検証を踏まえた更新案 万博後の成果を反映
万博レガシー 「継承」中心 「継承と発信」へ拡張 保存だけでなく、情報発信・交流機能を重視
大屋根リング 北東部約200mを原型に近い形で残置する方向 約200mを残置し、展望台として改修 残すだけでなく、体験できる施設へ
公園・緑地 公園・緑地等として整備・維持管理を検討。検討区域は約33,000㎡ 記念公園ゾーン約29,000㎡として整理 検討区域から具体的な都市機能へ
記念館 記載は限定的 万博の記憶、最先端技術、ビジネス・文化交流の場として整備 レガシー発信拠点を追加
民間開発エリア 開発事業者募集予定区域は約420,000㎡ 約420,000㎡で産業ショーケース、技術実証、スマートプラットフォーム等を整理 万博レガシーとの接続を明確化
静けさの森 約23,000㎡、樹木約1,500本を残置し、緑地等として提案を求める 民間開発と一体となった緑地等として活用 保存から空間形成へ
大阪ヘルスケアパビリオン 約15,000㎡の跡地活用ゾーン。一部を残置または移築 先端医療・国際医療・ライフサイエンス機能と情報発信を継続 全体のレガシー発信構造に再配置

Ver.2.0では、大屋根リング約200mの残置や周辺の公園・緑地化が主な論点でした。Ver.3.0案では、記念公園ゾーンを約29,000㎡とし、大屋根リングを展望台として改修。さらに記念館を整備し、万博の記憶、最先端技術、ビジネス・文化交流を発信する場として位置づけています。

民間開発エリアは約420,000㎡、エンタメ・リゾート機能を導入へ

第2期区域の中核となるのが、約420,000㎡の民間開発エリアです。ここでは、大阪が強みを持つ産業や研究機関の成果などのショーケース機能、最先端技術の実践・実証、都市データ等を活用したスマートプラットフォーム、静けさの森の樹木を利活用した緑地整備などが想定されています。

土地利用方針では、夢洲駅前の「ゲートウェイゾーン」、大規模集客を担う「グローバルエンターテイメント・レクリエーションゾーン」、中核施設を想定する「スーパーアンカーゾーン」、人・情報の交流を促す「交流ゾーン」、IRと連携する「IR連携ゾーン」、大阪ヘルスケアパビリオン跡地活用ゾーン、記念公園ゾーンが設定されています。

ゲートウェイゾーンでは、駅前のにぎわい、ナイトアクティビティ、ガストロノミー体験、最先端技術やイノベーションに触れられる機能を導入。スーパーアンカーゾーンでは、国内外から集客できる大規模エンターテイメント・レクリエーション機能を導入する方針です。

優秀提案1は「大型アリーナ+モータースポーツ+自動車テーマパーク」

参考資料には、民間提案募集で選ばれた優秀提案2件の概要も掲載されています。提案件数は3件で、優秀提案は2件。最優秀提案は決定されていません。

優秀提案1の提案者は「夢洲第2期区域開発基本構想検討会」で、代表企業は大林組大阪本店です。構成員は大林組を含む7社ですが、一部は非公開です。

提案概要は、大型アリーナ、モータースポーツ関連施設、車をテーマとしたアミューズメントテーマパーク、ラグジュアリーホテルなどを複合的に導入するものです。

この案が具体化すれば、夢洲第2期区域は、大規模イベント、モビリティ体験、高級宿泊機能を組み合わせたエンターテイメント拠点になります。大型アリーナは音楽ライブ、国際スポーツイベント、eスポーツ、企業イベント、MICE関連催事に対応でき、IRのMICE・宿泊機能との連携も期待できます。

優秀提案2は「ラグジュアリーホテル+ウォーターパーク+駅前商業」

優秀提案2の提案者は「夢洲まちづくり提案グループ」です。構成員は、関電不動産開発、京阪ホールディングス、住友商事、竹中土木、南海電気鉄道、吉本興業ホールディングスです。

提案概要は、特徴的なラグジュアリーホテルとウォーターパークによる複合リゾート施設を中心に、駅前ではにぎわいを創出する商業機能を導入する内容です。

優秀提案1がイベント・モビリティ・大型エンタメ寄りだとすれば、優秀提案2はリゾート、ファミリー、滞在型観光に軸足を置いた案です。ウォーターパークは家族連れや若年層を呼び込みやすく、ラグジュアリーホテルとの組み合わせにより、日帰りだけでなく宿泊需要にも対応できます。


提案 主な機能 方向性
優秀提案1 大型アリーナ、モータースポーツ関連施設、自動車テーマのアミューズメントテーマパーク、ラグジュアリーホテル イベント・モビリティ・高級滞在型エンタメ
優秀提案2 ラグジュアリーホテル、ウォーターパーク、複合リゾート、駅前商業 ファミリー・観光・滞在型リゾート

両案に共通するのは、単独施設ではなく、ホテル、商業、レジャー、エンターテイメントを複合化している点です。夢洲第2期区域では、IRと連携し、万博レガシーを活かしながら、国内外からの来訪者が長く滞在できるエンタメ・リゾート街区をめざしていることが見えてきます。

万博レガシーを、次の都市価値につなげられるか

Ver.3.0案の焦点は、大屋根リングを残すかどうかだけではありません。万博で生まれた「場の記憶」を、民間開発エリアの集客力、事業性、都市ブランドにどう接続するかが重要になります。

大屋根リング約200m、記念公園、記念館により、万博の記憶をたどる場所は生まれます。そこに大型アリーナ、モータースポーツ、ウォーターパーク、ラグジュアリーホテル、駅前商業、ヘルスケア・ライフサイエンス、スマートシティ実証がどう組み合わさるか。さらに、IRとの動線、夢洲駅からの回遊性、将来的な第3期区域との接続、USJ・海遊館・天保山を含む大阪ベイエリア全体との連携も、今後の見どころです。

大阪府・大阪市は、今後このマスタープランに沿って開発事業者の募集を開始し、開発事業者を決定する方針です。今回のVer.3.0案は、夢洲第2期区域を具体化する前段階の設計図といえます。

夢洲第2期区域は、万博閉幕後の跡地活用であると同時に、2030年代の大阪ベイエリアの成長戦略でもあります。大屋根リングを核とした記念公園、約420,000㎡の民間エンタメ・リゾート開発、IRとの連携、未来技術の実装。これらが段階的に形になれば、夢洲は万博会場から、大阪の新たな国際観光拠点へと姿を変えていくことになりそうです。





出典
大阪府「『夢洲第2期区域マスタープランVer.3.0(案)』に対する府民意見等の募集について」
大阪府・大阪市「夢洲第2期区域マスタープランVer.3.0(案)」

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