
神戸港の新港第1突堤と第2突堤の間で整備が進む大型ヨット専用マリーナ「SUPER YACHT BASE KOBE(スーパーヨットベース神戸)」の開業スケジュールが具体化しました。2027年春にマリーナ機能を先行開業し、2028年にはクラブハウスや飲食施設などを含めた全面開業を目指します。
本計画は、海外の富裕層が所有する大型クルーザー「スーパーヨット」の受け入れ拠点を神戸の都心ウォーターフロントに整備するものです。係留施設に加えて飲食・交流機能を設け、神戸での滞在と瀬戸内海への周遊観光を促進します。
当ブログでは、2024年12月に事業者の選定、2026年6月に陸上部分の整備計画を紹介しました。今回の発表では、マリーナの先行開業と陸上施設の完成を分けた、段階的な整備工程が明らかになりました。
2027年春にマリーナ先行開業、2028年に全面開業

計画地は、神戸市中央区新港町の新港第1突堤と第2突堤に挟まれた水域です。大型ヨットの係留施設を整備するとともに、第1突堤側にはクラブハウスや飲食施設、一般来訪者も利用できる水辺の交流空間を設けます。
| 項目 | 計画概要 |
|---|---|
| 施設名称 | SUPER YACHT BASE KOBE |
| 所在地 | 神戸市中央区新港町・新港第1突堤~第2突堤間 |
| 事業主体 | SUPER YACHT BASE KOBE株式会社 |
| 2027年春 | マリーナ機能を一部開業し、大型ヨットの受け入れを開始 |
| 2028年 | クラブハウスや飲食施設などを含め全面開業予定 |
| 主な施設 | 大型ヨット係留施設、ビジターバース、コンシェルジュ、レストラン・カフェ、オーナーズラウンジ、イベントスペース、親水プロムナードなど |
| 港湾緑地の事業区域 | 新港第1突堤の約7,400㎡ |
| 港湾緑地の事業期間 | 2027年10月1日~2057年9月30日(30年間) |
2024年の事業者選定時には、オーナー向け約20隻、ビジター向け約10隻の係留施設が提案されていました。ただし、今回の発表では最終的な収容隻数は明らかにされていません。
神戸を選ぶ理由は「港と都心の近さ」

スーパーヨットは、富裕層が長期間のクルージングや滞在に利用する大型のプライベート船舶です。一般的なプレジャーボートよりも大規模な係留設備を必要とし、給電・給水、船舶管理、乗員へのサービスなど、滞在を支える機能も求められます。
日本には優れた沿岸景観や観光資源がある一方、こうした大型艇を継続的に受け入れる専用インフラは限られています。SUPER YACHT BASE KOBEは、その不足を補い、海外のスーパーヨットが日本を寄港地として選びやすい環境を整える事業です。
神戸の強みは、大型ヨットを大都市の中心部に停泊させ、乗客の滞在をそのまま都市観光につなげられることです。
計画地の周辺にはホテル、飲食店、商業施設が集まり、隣接する新港第2突堤には「GLION ARENA KOBE」が開業しています。三宮方面へのアクセスにも優れており、海上から到着した乗客が神戸の都市機能を利用しやすい立地です。
富裕層向けマリーナと公共の水辺を一体化
本計画が掲げるコンセプトは「海の劇場型マリーナ」です。大型ヨットの利用者に向けた専用サービスを提供する一方、陸上にはレストランやカフェ、イベントスペースを整備。プロムナードや展望テラスを通じて、一般市民や観光客も海辺の景観を楽しめる空間を目指します。
| 視点 | 一般的なプレジャーボート向けマリーナ | SUPER YACHT BASE KOBE |
|---|---|---|
| 主な対象 | 小・中型のプレジャーボート | 国内外の大型スーパーヨット |
| 中核機能 | 係留・保管・出入港支援 | 大型艇の受け入れと滞在支援 |
| 陸上施設 | 船舶利用者向けの機能が中心 | 飲食・交流・イベント機能を併設 |
| 都市との関係 | マリンレジャーの活動拠点 | 都心観光や商業施設と連携 |
| 広域的な役割 | 周辺海域でのレジャー利用 | 瀬戸内海への周遊観光拠点 |
陸上部分には、民間事業者が港湾緑地を長期的に活用し、収益施設と公共空間を一体的に整備・運営する「みなと緑地PPP」を導入します。
富裕層向けの専用施設と、誰もが利用できる水辺の公共空間を組み合わせることが、一般的な係留施設との大きな違いです。
神戸を「瀬戸内の東の玄関口」に

SUPER YACHT BASE KOBEが目指すのは、神戸への寄港需要だけではありません。淡路島、小豆島、高松、尾道など、瀬戸内海の島々や沿岸都市を結ぶ周遊観光の拠点となることも重要な目的です。
2026年10月19日には、せとうち観光パートナーズが運営する「せとうち観光活性化2号投資事業有限責任組合」が事業会社への出資を発表しました。神戸を瀬戸内観光の「EAST GATEWAY(東の玄関口)」と位置付け、寄港地のネットワーク形成や観光商品の開発につなげる方針を示しています。
スーパーヨットの受け入れによって期待されるのは、マリーナの利用料だけではありません。宿泊・飲食・買い物に加え、船舶への物資補給やメンテナンスなど、複数の産業への需要波及が想定されます。
| 分野 | 期待される効果 |
|---|---|
| 観光・商業 | ホテル、飲食店、商業施設などへの消費波及 |
| 船舶関連産業 | 燃料・物資の補給、メンテナンス、船舶管理などの需要創出 |
| 瀬戸内地域 | 寄港地の拡大と広域周遊、滞在型観光の促進 |
| ウォーターフロント | 一般来訪者の増加、周辺施設との回遊性向上 |
神戸港の新たな観光インフラとして

計画地の水域では係留施設の整備が進み、現地では水面から複数の構造物が立ち上がる様子も確認されています。構想段階にあった計画は、開業に向けた本格的な整備段階へと移りました。
今後の焦点は、海外のスーパーヨットを継続的に誘致し、その滞在を神戸市内での宿泊・飲食・買い物や、瀬戸内各地への周遊につなげられるかです。施設の充実に加え、海外の船舶オーナーや運航事業者との関係構築、質の高い受け入れサービスが重要になります。
国際港湾都市・神戸の都市機能と、瀬戸内海の豊富な観光資源を結び付ける「SUPER YACHT BASE KOBE」。 新たな海上観光の拠点として、どれだけの寄港需要と地域経済への波及効果を生み出せるのか。開業後の展開に注目したいと思います。
出典・参考資料
Visited 82 times, 82 visit(s) today
