ユーロモニターインターナショナルは2025年12月4日、「Top 100 City Destinations Index 2025」を発表しました。このレポートは、世界100都市の観光魅力度を経済・ビジネス、観光パフォーマンス、観光政策、インフラ、衛生・安全、持続可能性の6分野・55指標で評価するものです。
日本の3都市がトップ20入り
2025年の総合ランキングは以下のとおりです。
東京は前年に続き3位を維持し、アジア勢では最上位となりました。大阪は16位から11位へ、京都は27位から19位へと順位を上げています。トップ20に3都市が入ったのは日本のみで、日本の観光産業の国際的な地位向上を如実に示す結果となりました。
| 順位 | 都市 | 国 |
|---|---|---|
| 1 | パリ | フランス |
| 2 | マドリード | スペイン |
| 3 | 東京 | 日本 |
| 4 | ローマ | イタリア |
| 5 | ミラノ | イタリア |
| 6 | ニューヨーク | 米国 |
| 7 | アムステルダム | オランダ |
| 8 | バルセロナ | スペイン |
| 9 | シンガポール | シンガポール |
| 10 | ソウル | 韓国 |
| 11 | 大阪 | 日本 |
| 15 | 台北 | 台湾 |
| 17 | 香港 | 中国(香港) |
| 18 | ロンドン | 英国 |
| 19 | 京都 | 日本 |
| 50 | 札幌 | 日本 |
| 64 | 福岡 | 日本 |
■世界旅行市場は2030年に6.7兆ドル規模へ
ユーロモニターのナデジダ・ポポバ氏は次のようにコメントしています。
「経済の逆風や地政学的不安が続く中でも、海外旅行者数は前年比4%増となり、都市観光の強靭さが確認されました。」
旅行市場は今後も拡大し、海外・国内旅行支出は2030年までに6.7兆ドルに達する見込みです。
インバウンドはバンコクが首位、東京11位・大阪13位──大阪はトップ10目前に
国際到着数ランキングでは、バンコクが3,030万人で首位を維持。日本では東京が11位、大阪が13位となり、特に大阪は前年比37%増という大幅な伸びを記録しました。
大阪の急成長は、
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国際線ハブとしてのKIXの回復・拡大
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関西広域観光ハブという地理・交通の優位性
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USJを中心とした強いコンテンツ
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万博の開催・IRなど将来投資を見込んだ期待値
といった複数要因が重なった「構造的な結果」だと考えられます。
▼【国際到着数ランキング(日本の都市を含む)】
| 順位 | 都市 | 国 | 国際到着数 |
|---|---|---|---|
| 1 | バンコク | タイ | 30.3M |
| 2 | 香港 | 中国(香港) | 23.2M |
| 3 | ロンドン | 英国 | 22.7M |
| 4 | マカオ | 中国(マカオ) | 20.4M |
| 5 | イスタンブール | トルコ | 19.7M |
| 6 | ドバイ | UAE | 19.5M |
| 7 | メッカ | サウジアラビア | 18.7M |
| 8 | アンタルヤ | トルコ | 18.6M |
| 9 | パリ | フランス | 18.3M |
| 10 | クアラルンプール | マレーシア | 17.3M |
| 11 | 東京 | 日本 | 前年比 +12% |
| 13 | 大阪 | 日本 | 前年比 +37% |
今後のトップ10は「年間2000万人」が基準になる可能性

2025年の国際到着数ランキングでは、10位のクアラルンプールが約1730万人でした。今後、国際到着数ランキングのトップ10ラインが年間2,000万人規模に近づくと予測される中で、大阪がそこに到達できるかどうかは、
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大阪での体験価値のさらなる向上
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宿泊・交通のキャパシティ拡張
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富裕層の取り込み
- ナイトタイムエコノミーの創出
といったテーマにどう向き合うかにかかっていると考えられます。
分野別評価:日本の強みと課題
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強み:東京・大阪・京都は「観光インフラ」「衛生・安全」で高評価。
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課題:持続可能性の分野は欧州都市が先行しており、日本は改善の余地があるとされています。
欧州ではマドリード、パルマ・デ・マヨルカ、バレンシア、セビリアが高い評価を獲得。北欧のヘルシンキ、オスロも優れた環境取り組みで注目されています。
都市競争力を高める要素
レポートでは、今後の都市観光を左右する要素として次の点が挙げられています。
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持続可能性の強化
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AI活用による観光管理の高度化
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インフラ投資の継続
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多様な文化・エンタメ資源の磨き上げ
これらが都市の国際競争力に影響を与えると分析されています。
まとめ
2025年のランキングでは、東京・大阪・京都の評価が総じて上昇しました。特に大阪はインバウンド旅行者数の増加が顕著で、今後トップ10入りが期待される位置にあります。
大阪は、世界トップクラスの国際観光都市となる段階が目前に迫っており、日本の人口減少という不可逆的な状況下において、観光が重要な経済産業として成長しています。さらに、2030年秋にはMGM大阪(大阪IR)が開業予定であり、今後も成長が続く見通しです。
「勝てるときに勝っとけ!」ではありませんが、慢心する事なく、今後も地道な取り組みを続けていく事が重要だと感じました。
【出典元】
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ユーロモニターインターナショナル
Top 100 City Destinations Index 2025 -
Business Wire
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CNN Travel







