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JR九州電気システム、データセンター事業に参入 !東大発スタートアップ「みちびき株式会社」と協業、スモールスタートで技術・事業モデルの確立を目指す


JR九州グループの電気・通信事業を担うJR九州電気システム株式会社(以下、KDS)は、2025年10月29日、データセンター事業への参入を正式に発表しました!

同社として初めてとなるこの新規事業は、東大発スタートアップ「みちびき株式会社」との協業により、福岡県久留米市でモジュール型データセンター「MICHIBIKI DC」を建設するものです。2025年11月に着工し、2027年3月に完成、4月の運用開始を予定しています。

プロジェクトの概要

今回の施設は、総受電容量1MW・延床約180㎡・1階建て免震構造の小規模なデータセンターです。建物の耐荷重は1.5t/㎡で、AIやクラウド向けの高発熱サーバにも対応できる仕様となっています。KDSが保有する新幹線光ファイバ通信網を活用し、低遅延・高品質の通信インフラを提供します。

この取り組みは、東京・大阪など大都市に集中しているデータセンター機能を地方に分散させる狙いがあります。同時に、九州地域での生成AIやクラウド基盤の整備を加速させる重要な一歩となります。

採用された「MICHIBIKI DC」とは

出展:みちびき株式会社

みちびき株式会社が開発した「MICHIBIKI DC」は、特許出願済のモジュール型データセンターです。東京大学グリーンICTプロジェクトの研究成果をベースに、環境負荷を抑えながら高効率運用を実現する設計が特徴です。

出展:みちびき株式会社

MICHIBIKI DCは、建築・電源・冷却・通信などの要素を独立モジュールとして構成します。必要な機能を組み合わせることで、立地や目的に応じた柔軟な構築が可能です。従来の大型データセンターと異なり、モジュールを工場で製造して現地で組み立てるため、建設期間を大幅に短縮できます(約15ヶ月〜)。また、需要に応じた段階的な増設も容易です。

冷却方式は液冷・空冷の両方に対応し、生成AIやGPUサーバなど高密度運用が求められる環境でも安定稼働が可能です。免震構造・長期耐用設計を採用し、仮設ではなく恒久的な商用インフラとして運用できることがポイントです。

スモールスタートで挑む「実証型プロジェクト」


観点 JR九州電気システム みちびき株式会社
目的 新たな収益源の創出/鉄道通信インフラの再活用 特許技術の社会実装/実績確立
得られる効果 安定したリカーリング収益/地方分散DCの実証モデル構築 製品信頼性の向上/全国展開に向けた商用テンプレート確立
共通点 地方分散型データセンターのモデル化・社会実装
今回の久留米データセンターは、商用施設としては小規模ですが、意図的に“スモールスタート”で設計されています。まず1MW級の施設で実証を行い、運用ノウハウ・技術的信頼性・事業性を確認した上で、今後の拡張を視野に入れています。これは、JR九州電気システムとみちびき社の双方にとって「Win-Win」な試みと言えます。

KDSにとっては、鉄道インフラを情報インフラとして再定義し、“鉄道+通信+電力”による新しい収益モデルを生み出す第一歩となります。
一方のみちびき社にとっては、案件実績によって技術信頼性を高め、全国展開の足がかりを得ることができます。

まとめ:1MWから始まる地方デジタル革命


久留米データセンター計画は、スケールこそ小さいものの、「鉄道インフラ × 大学発技術」という新しい組み合わせによる挑戦です。JR九州電気システムは鉄道という社会インフラを情報基盤へと拡張し、みちびき社は日本発のモジュール型DC技術を社会実装します。

両者の協業は、地方が自らデジタル基盤を構築する新しいモデルケースとなります。“1MWの挑戦”が成功すれば、九州全域にRail × DC × Edgeという新たなネットワークが広がり、地方分散時代を象徴する実証モデルとして全国的に注目を集めることになりそうです。

出典元


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