高島屋大阪店(本店)の2017年度の売上高が全店1位となる1414億円を記録!

 


 

66年振りに全店売上1位に返り咲いた高島屋大阪店(本店)

百貨店大手の高島屋は2018年4月9日付のニュースリリースで、平成30年2月期の店舗別の売上高で、大阪店(本店)が昨年度1位の東京・日本橋店を抜いて国内17店舗でトップになったと発表しました。大阪店が全店1位になるのは66年ぶりで、今年度も大阪店がトップになる見通しとの事です。

大阪店の売上高は前期比8.8%増の1414億円。このうち免税売上高は約6割増の240億円でした。高島屋の国内店合計免税売上の約半分を大阪店が叩き出しています。中国人客向けに決済手段を充実させた事、外商顧客の新規開拓などで富裕層向け販売も好調でした。

【出典元】
高島屋 決算短信・四半期業績(PDF)

 

 



 

 

 

 

タカシマヤブランドの売上トップは「ジェイアール名古屋タカシマヤ」

株式会社高島屋の決算書には記載がありませんが、名古屋駅にある「ジェイアール名古屋タカシマヤ」の売上が凄い事になっています。同店はJR東海と髙島屋の合弁企業の為、高島屋の決算書には実績の記載がありません。昨年増床し2館体制となった同店の2017年(暦年)の売上高は1,514億円で、前年比18%増加しました。タカシマヤ・ブランドとして考えると、売上げトップは大阪店ではなく、JR名古屋タカシマヤがトップになりました。昨年度の売上高ランキングに照らし合わせて見ると、JR名古屋タカシマヤの売上高は第5位に相当します。

余談ですが、ランキング1位の伊勢丹新宿本店売上には、三越伊勢丹グループの「法人外商事業・EC事業」の売上を含んでいます。以前は三越本店に付けられていた売上が伊勢丹との経営統合により新宿店に付けられる様になりました。店舗販売では伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店は僅差もしくは阪急が勝っていると言われています。

<2017年度・高島屋売上高トップ5>
1.大阪店:    1414億 +8.8%(前年比)
2.日本橋店:1342億 +1.0%
3.横浜店:    1316億 +1.7%
4.京都店:      881億 +3.9%
5.新宿店:      733億 +3.5%

※JR名古屋タカシマヤ 1,514億円、前年比+18%

 

順位 店舗名     売上高   対前年比
1位 伊勢丹新宿本店 2,685億円(-1.4%)
2位 阪急うめだ本店 2,205億円(+1.0%)
3位 西武池袋本店  1,865億円(-1.8%)
4位 三越日本橋本店 1,651億円(-1.9%)
5位 JR名古屋高島屋   1,514億円(+18%)
6位 高島屋大阪店  1,414億円(+8.8%)
7位 高島屋日本橋店 1,342億円(1.0%)
8位 高島屋横浜店  1,316億円(1.7%)
9位 松坂屋名古屋店 1,206億円(-3.3%)
10位 あべのハルカス近鉄本店 1,176億円(+15%

日経流通新聞(日経MJ)2017年8月16日号のランキングに高島屋と近鉄百貨店の速報売上を加えた暫定ランキングで、伊勢丹、阪急などの数値は昨年実績です。

 



 

 

インバウンド需要に湧く大阪・京都の百貨店

高島屋大阪店が東京・日本橋店の売上高上回った事は、非常にエポックメイキングな出来事で、大阪・京都エリアの百貨店の好調さを象徴しています。好調の要因は、関西空港に就航する格安航空会社(LCC)の増便を背景に、訪日外国人客向けの販売が拡大したことなどが大きいです。2017年に大阪府を訪れた訪日外国人客数は約1100万人、消費額は1兆1731億円。大阪観光局によると、訪日客1千万人、消費額1兆円超えは統計開始後初との事です。国内全体の訪日外国人客数は2869万人で、実に3人に1人以上が大阪を訪れたことになります。

 

 

 



 

大阪2011年問題を乗り越え、インバウンド需要の取り込みに成功

大阪の百貨店といえば、建替え、増床、リニューアルが集中しオーバーストアによる共倒れ懸念が叫ばれた「大阪2011年問題」が思い出されます。2011年問題は、大阪ステーションシティにJR西日本三越伊勢丹が出店する事に端を発する事となり、在阪百貨店らが対抗策として「建て替え、増床、リニューアル」を実施しオーバーストアが懸念されました。梅田阪急百貨店建替えを筆頭に、梅田大丸増床、あべのハルカス近鉄本店建替え、高島屋大阪店増床リニューアル、現在でも大丸心斎橋店と、阪神百貨店が建替え中となっています。

しかし、2011年問題は杞憂に終わりました。在阪百貨店各店は対抗策として自店舗のブラッシュアップや、リブランディング(立ち位置の明確化、差別化)などを行った結果、百貨店全体のキャパシティが増えただけではなく、売り場の磨き込まれ全体的にレベルアップする事となりました。結果、殴り込んできた伊勢丹が逆にはじき出されてしまいました。さらに受け皿が整ったタイミングにインバウンド需要の高まりが上手くハマり、現在の好調に繋がっています。