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JR向日町駅、10月に西口自由通路を供用開始!東口では130m級タワーを核とする再開発始動


JR西日本は2025年8月26日、京都線・向日町駅で進めていた改良工事の一部を完了し、2025年10月18日から西口自由通路と橋上駅舎の一部を供用開始すると発表しました。併せて、駅東口側で進められる「JR向日町駅周辺地区第一種市街地再開発事業」が本格着工しました。計画では38階建て・高さ約130mの住宅棟を中心に、駅ビルや駅前広場を備えた大規模プロジェクトが動き出します。


西口自由通路、2025年10月18日に開放


今回供用が始まるのは、幅員5mの歩行者専用通路(改札から西側に延びる自由通路)と橋上駅舎の一部です。西口にはエレベーター1基と階段が設置され、橋上駅舎部分には各ホームにエレベーター1基ずつ、計2基の階段、自動改札4通路、券売機3台、店舗も整備されます。

既存駅舎は前日の10月17日終電後に閉鎖され、新施設に切り替わります。西口エスカレーターやトイレは第Ⅱ期工事で整備され、2026年度冬頃の完成を予定しています。


東口再開発:住宅タワーと駅ビルが核


駅東口では「JR向日町駅周辺地区第一種市街地再開発事業」が始まりました。計画の概要は以下の通りです。


  • 住宅棟:鉄筋コンクリート造38階建て、住戸数約340戸、高さ約130m、施工は大林組

  • 駅ビル棟:鉄骨造5階建て、延床面積約5,700㎡(店舗等を計画中)、施工は大鉄工業

  • 駅前広場:面積約2,400㎡、自由通路と直結し、階段・エレベーター・エスカレーターを設置

  • 設計・監理:アール・アイ・エー

  • 工期:2025年8月1日~2028年度(予定)。2026年度冬頃には東口開設を一部供用予定

この再開発により、駅東口は住宅・商業・公共空間が一体化した拠点へと進化します。


「京都なのに130mタワー」規制都市と隣接都市の対比


今回注目されるのは、高さ130mの超高層住宅棟が建設される点です。京都というと景観規制や高さ制限が厳しいイメージがありますが、実際には計画地は京都市ではなく隣接する向日市にあります。

京都市中心部では景観保全のため31m・45m程度の高さ制限が設けられ、130m級の建築は実現できません。しかし、向日市は京都市の規制を直接受けず、さらに今回は第一種市街地再開発事業として都市再開発法の特例が適用され、容積率や高さ制限の緩和が可能となりました。そのため、「京都市内では不可能な高さを、隣接都市の再開発事業で実現した」という点が、この計画の大きな特徴といえます。


京都都市圏における新しい重心

向日町駅はJR京都線の主要駅で、京都駅まで数分、大阪方面へも直結する利便性があります。今回の再開発により東西両口が整備され、駅の「裏表」が解消されます。さらに、高層住宅や商業、公共広場が一体となることで、駅前に新しいにぎわいが生まれることが期待されます。

京都市が厳しい高さ制限を維持する一方で、周辺都市が高層開発の受け皿となる流れは、京都都市圏の都市構造を変化させる可能性があります。特に、京都市の「低層景観維持」と隣接都市の「住宅需要受け皿」という役割分担は、今後ますます鮮明になると考えられます。


成功のカギは「生活利便性」と「広場運営」

再開発の成果を左右するのは、駅ビルと広場の活用です。


  • 駅ビルは延床約5,700㎡とコンパクトですが、駅直結という立地を活かし、食品やカフェ、ドラッグストアなど日常利用しやすいテナントが入ることで地域に定着する可能性があります。

  • 駅前広場(約2,400㎡)は単なる通過空間にとどまらず、マルシェやイベントを開催できる「滞留空間」として活用することが求められます。

住宅供給と交通結節に加え、日常生活を支える仕組みをどこまで作り込めるかが、向日町駅前の価値を高めるポイントになります。


まとめ

  • 2025年10月18日に西口自由通路と橋上駅舎の一部を供用開始

  • 東口再開発では130mのタワーマンション、駅ビル、広場を整備

  • 京都市内では実現できない高さを、隣接する向日市の再開発で可能に

  • 駅前の「裏表」解消と生活利便性の強化により、新しい拠点形成が期待される

向日町駅の再開発は、京都都市圏における都市のあり方を象徴するプロジェクトといえます。






出典元

「JR京都線 向日町駅 自由通路(西口)・橋上駅舎の一部供用開始及び東口における再開発事業の工事着手について」ニュースリリース(2025年8月26日)

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