梅田のど真ん中で警察署を建替えへ 曾根崎警察署建替え事業、大林組・大建設計JVに決定



大阪府都市整備部が条件付き一般競争入札を行った「大阪府曾根崎警察署建替え事業(その2)」で、施工者が決まりました。

落札者は大林組・大建設計共同企業体。落札額は162億6,500万円、予定価格は178億5,466万7,000円で、落札率は約91.1%です。開札は2026年5月22日に行われました。低入札調査基準価格は163億6,125万9,000円、特別重点調査基準価格は146億2,874万8,000円。落札額は、低入札調査基準価格を約9,626万円下回る水準となりました。

『大阪府曽根崎警察署』を現地で建て替え!施設老朽化及び浸水対策への課題に対応【2030年度完成予定】


梅田の成長を支える、見えにくいインフラ


出展:Wikipedia

曾根崎警察署は、大阪市北区曾根崎二丁目に位置する大阪府警の中核警察署です。周辺にはJR大阪駅、阪急大阪梅田駅、阪神大阪梅田駅、大阪メトロ梅田・東梅田・西梅田駅、北新地駅が集まり、地下街、百貨店、ホテル、オフィス、飲食街、歓楽街が重なります。大阪府警の公式情報では、管内の鉄道・バスターミナルの乗降客数は1日約270万人に達するとされています。

梅田では、うめきた2期、JR大阪駅西側、阪急阪神エリアなど、大型再開発が相次いでいます。新しいビルが建ち、人の流れが変わり、街の重心も少しずつ動いています。

ただ、都市はビルだけで成長するわけではありません。人流が増え、滞在時間が伸び、観光客が増えれば、警察、消防、防災、道路、地下街管理といった基盤にかかる負荷も増えます。表舞台の再開発が進むほど、足元のインフラ更新が重要になります。曾根崎警察署の建替えは、その負荷に対する更新投資です。派手な再開発ではありませんが、梅田の都市機能を支える重要な案件といえます。

計画概要


項目 内容
事業名 大阪府曾根崎警察署建替え事業(その2)
発注者 大阪府都市整備部
所在地 大阪市北区曾根崎二丁目
入札方式 条件付き一般競争入札(WTO対象)
落札者 大林組・大建設計共同企業体
落札額 162億6,500万円
予定価格 178億5,466万7,000円
落札率 約91.1%
低入札調査基準価格 163億6,125万9,000円
特別重点調査基準価格 146億2,874万8,000円
事業方式 DB方式
工期 2032年5月31日まで
新庁舎 地下2階・地上10階、延床面積13,352㎡
構造 S造、一部SRC造・RC造
旧庁舎 地下3階・地上11階、延床面積13,477㎡
主な業務範囲 実施設計、新築工事、杭工事、電気・機械・昇降機設備、外構、植栽、既存庁舎撤去、既存杭撤去、アスベスト除去、工事監理
今回の事業は、設計と施工を一体で進めるDB方式です。基本設計は安井建築設計事務所が担当しており、大林組・大建設計JVは実施設計、施工、既存庁舎撤去などを担います。

築50年超、梅田の変化に庁舎が追いつかなくなった

現庁舎は1973年5月に現在地で改築竣工しました。すでに築50年を超えています。大阪府警の事前評価資料では、地下階の漏水や柱のクラックなど、老朽化の進行が指摘されています。建替えの目的は、老朽化対策に加え、浸水対策、警察機能の強化、府民サービスの向上、勤務環境の改善です。

1973年当時の梅田と、2030年代の梅田では、街の役割が大きく変わっています。巨大ターミナル、地下街、オフィス、商業、ホテル、観光、ナイトタイムの人流が重なり、梅田の都市密度は格段に上がりました。

古い庁舎を修繕しながら使い続けるだけでは、街の変化に対応しきれません。今回の建替えは、老朽化への対応であると同時に、梅田の都市機能を2030年代仕様へ更新する事業でもあります。

事前評価段階の全体事業費は約218億円

大阪府警の令和6年度事前評価段階では、全体事業費を約218億円と見込んでいました。内訳は、工事費等が約182.9億円、設計費等が約1.6億円、CM業務が約2.6億円、仮庁舎リース等が約30.9億円です。

一方、今回の落札額162億6,500万円は、入札対象となった実施設計、新築工事、旧庁舎撤去工事などの金額です。仮庁舎リースやCM業務などを含む全体事業費とは範囲が異なります。

また、大阪府の2026年度予算資料では、曾根崎警察署建替整備工事について、令和8年度から令和14年度まで、限度額197億9,350万2,000円の債務負担行為が設定されています。CM業務委託にも2億3,447万1,000円の限度額が設定されており、長期にわたる大型公共建築事業であることが分かります。

時系列で見る曾根崎警察署建替え事業


時期 動き
1973年5月 現庁舎が現在地で改築竣工
2023年度 新庁舎基本計画を策定
2024年2月15日 基本設計業務の公募型プロポーザルを公示
2024年3月26日 基本設計業務の二次選定を実施
2024年4月3日 安井建築設計事務所を基本設計の最優秀提案者に選定
2024年9月 サウンディング型市場調査を実施
2024年12月5日 サウンディング結果を公表。個別対話参加は10社
2025年5月 初回の入札公告。参加者がなく取り止め
2026年3月26日 「大阪府曾根崎警察署建替え事業(その2)」として再公告
2026年4月22日 参加申請締切
2026年5月20〜21日 入札書提出
2026年5月22日 開札
2026年6月17日 大林組・大建設計JVへの決定が報じられる
2032年5月31日 工期末

工期末は2032年、梅田はその間にも変わり続ける



工期末は2032年5月31日です。新庁舎の完成までにはまだ時間があります。

その間にも、梅田周辺の再開発は進みます。うめきた2期は街として成熟し、JR大阪駅周辺の人流も変わります。インバウンドの戻りも含め、梅田の滞在人口はさらに増える可能性があります。街の更新は、目に見える再開発から先に進みます。しかし、本当に差が出るのは、その後です。増えた人流を、安全に、安定して、日常的に回せるか。そこに行政インフラの実力が出ます。

曾根崎警察署の建替えは、梅田の華やかな再開発の陰にある地味なニュースに見えます。ですが、梅田が次の段階に進むためには、こうした地味な更新こそ避けて通れません。ビルが新しくなるだけでは、都市は強くなりません。増え続ける人の流れを受け止める基盤まで更新されて、はじめて街は次の時代に進めます。




出典元

・大阪府/大阪府曾根崎警察署建替え事業(その2)公告資料
・大阪府警察本部/令和6年度 事前評価点検表(大阪府曾根崎警察署建替整備事業)
・大阪府/令和8年度当初予算 曾根崎警察署建替整備事業費
・大阪府/大阪府曾根崎警察署建替え事業に関するサウンディング型市場調査
・大阪府/大阪府曾根崎警察署改築工事基本設計業務 二次選定結果
・大阪府警察/曽根崎警察署 公式ページ
・建通新聞電子版
・建設ニュース
・建設通信新聞

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