山手幹線が大阪へつながる!三国塚口線「最後の420m」を4車線化、阪急神戸線670mを高架化へ



大阪府が、豊中市南部の都市計画道路「三国塚口線」と、交差する阪急神戸線の都市計画変更を進めています。

最大のポイントは、従来の「道路高架・鉄道地平」から「道路平面・鉄道高架」へ交差方式を転換することです。

未整備となっている三国塚口線約420mを幅員25m・4車線の平面道路として整備し、阪急神戸線は大阪池田線付近から旧猪名川右岸付近まで約670mを高架化。庄本踏切道と旧庄本踏切道の2カ所を除却します。

完成すれば、三国塚口線は旧猪名川を橋梁で越え、尼崎市側の山手幹線と接続します。

距離はわずか420mですが、大阪・兵庫府県境で途切れている東西幹線道路をつなぎ、阪急神戸線の踏切を除却し、沿道市街地の再編にもつなげる重要なプロジェクトです。

三国塚口線「残り420m」を整備



三国塚口線は、豊中市南部を東西に横断し、国道176号から兵庫県境の旧猪名川までを結ぶ延長約1.5kmの都市計画道路です。豊中市南部の東西交通を強化するとともに、国道2号・43号を補完する阪神間の広域道路ネットワーク、災害時の緊急輸送路として位置付けられています。国道176号~大阪池田線の約1.05kmは整備が完了し、2026年6月26日に交通開放されました。今回具体化するのは、その西側に残る大阪池田線~旧猪名川間の約420mです。
項目 計画内容
路線 都市計画道路 三国塚口線
区間 豊中市庄内宝町2丁目~庄本町1丁目
延長 約420m
幅員 25m
車線数 4車線
構造 平面道路
西側 旧猪名川を橋梁で越え、山手幹線へ接続
出典:大阪府
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/133939/setsumeikai_siryou_2.pdf

「道路を上げる」計画から「鉄道を上げる」計画へ



今回の都市計画変更で最大の転換点となるのが、阪急神戸線との交差方式です。

従来は三国塚口線を高架化し、地上を走る阪急神戸線を道路が跨ぐ計画でした。しかし大阪府、阪急電鉄、豊中市などの協議を経て、道路を平面化し、阪急神戸線を高架化する方式に改めます。

道路も将来交通量を踏まえ、従来計画の2車線から4車線へ変更します。道路高架案では、沿道から本線へ直接アクセスしにくいことに加え、踏切廃止後も鉄道による地域分断が残ることが課題でした。

鉄道を高架化すれば、道路を地上の都市街路として整備しながら踏切を除却でき、高架下や既存鉄道用地を市道改良、地域交流、沿道まちづくりなどに活用する余地も生まれます。建通新聞によると、大阪府、阪急電鉄、豊中市は2024年3月、鉄道高架方式とすることなどで合意し、覚書を締結しています。

幅員25mに4車線、歩道、自転車通行空間を配置



道路幅員は25mで、従来計画から変わりません。一方、道路高架を取りやめることで断面構成は大きく変わります。変更案では4車線の車道に加え、両側に幅3mの歩道と幅1mの自転車通行空間を配置。中央部には中央帯や右折車線を設けます。「高架道路+側道」ではなく、沿道との接続性を持つ都市幹線道路として整備されることになります。

阪急神戸線約670mを高架化、踏切2カ所を除却



三国塚口線の平面化に伴い、阪急神戸線は約670mを高架化します。
項目 計画内容
路線 阪急電鉄神戸線
区間 大阪池田線交差付近~宇津和架道橋付近
延長 約670m
構造 鉄道高架
除却踏切 庄本踏切道、旧庄本踏切道
新駅 計画なし
高架区間の最高部は三国塚口線との交差付近で、道路面から約5mとなる計画です。構造物は最新の耐震基準に適合させます。

高架化により、庄本踏切道と旧庄本踏切道の2カ所を除却。特に旧庄本踏切道では遮断時間の長さによる交通渋滞が課題となっており、踏切事故リスクの解消と地域交通の円滑化が期待されます。

なお、今回の高架化に合わせた新駅設置は検討されていません

出典:大阪府
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/133939/omonasitugi_2.pdf

高架化は「別線方式」を想定



大阪府が示した施工イメージでは、阪急神戸線の高架化に別線方式を想定しています。現在の線路に隣接してまず1線分の高架橋を建設し、列車を新線へ切り替えます。その後、残る1線分の高架橋を建設して2線とも高架へ移す方法です。現時点では施工イメージであり、具体的な工法は今後の設計で決まります。

道路地下化は事業費や地盤条件から採用せず

地元説明会では、鉄道を高架化せず、道路を地下化する案についても質問が出ました。

大阪府は地下方式について、旧猪名川への影響に加え、地下水や軟弱地盤への対策が必要となり、建設費も大きくなると説明しています。

施工性、維持管理、沿道まちづくりへの効果などを総合的に比較し、道路平面+鉄道高架方式を採用しました。

山手幹線の「ミッシングリンク」を解消



この事業の重要性は、420mという整備距離だけでは測れません。

西側で接続する山手幹線は、阪神間を東西に結ぶ主要幹線道路です。兵庫県側は2010年度までに整備されていますが、東端は大阪府境付近で止まり、三国塚口線とはつながっていません。

兵庫県も国への予算提案で、山手幹線に接続する大阪府側の三国塚口線について早期事業化への支援を求めています。大阪府側では旧猪名川を渡る橋梁を新設し、山手幹線へ直結する計画です。

橋梁だけを先行整備する案について、大阪府は接続先道路の容量不足による渋滞や事故の恐れがあるとして、約420mの道路全体を一体的に整備する方針を示しています。

今回の未整備区間は、大阪・兵庫府県境に残る広域道路ネットワークの「最後のピース」といえます。

庄本地区のまちづくりにも波及

豊中市は道路整備と並行して、庄本町1丁目周辺のまちづくり構想を検討しています。阪急神戸線を高架化すれば踏切がなくなるだけでなく、高架下や既存鉄道用地の活用、市道の再編など、地域の空間構造そのものを見直せるようになります。

大阪府も鉄道高架化の効果として、既存鉄道用地などを活用したまちづくりや市道改良による地域活性化を挙げています。今回の事業は、道路整備と鉄道立体化を同時に進め、周辺市街地の再編につなげる点にも特徴があります。

2027年3月の都市計画変更を予定

今後は都市計画変更の法定手続きが進みます。
時期 予定
2026年7月9日・12日 地元説明会
2026年8月17日 大阪府都市計画公聴会
2026年11月上旬 都市計画案の縦覧・意見書提出
2027年2月頃 大阪府都市計画審議会
2027年3月頃 都市計画変更告示予定
2030年度まで 事業着手を目標
ここで注意したいのは、2030年度までという時期は完成目標ではなく、事業着手の目標であることです。

大阪府によると、一般的には都市計画変更から事業着手まで1~2年程度、事業着手後の測量・設計に2~4年程度を要し、その後に用地取得を進めます。工事着手は用地取得の進捗にも左右され、事業全体については10年以上を要する規模になるとの見通しです。総事業費は現時点で明らかにされておらず、今後の建設事業評価や設計の進展が注目されます。

わずか420m、しかし都市構造への効果は大きい

三国塚口線の未整備区間は約420mに過ぎません。しかし、その完成には阪急神戸線約670mの高架化、踏切2カ所の除却、旧猪名川への新橋建設が必要です。その先では、兵庫県側の山手幹線と直結します。さらに、従来の道路高架方式を鉄道高架方式へ転換することで、道路ネットワークの完成、踏切問題の解消、庄本地区のまちづくりを一体的に進めます。

2026年6月には東側の国道176号~大阪池田線が開通しました。残された「最後の420m」が埋まれば、三国塚口線は大阪府内の都市計画道路という枠を超え、阪神間を東西につなぐ道路ネットワークの一部として本来の機能を発揮することになります。




出典・参考資料

公式資料

報道

Visited 9,241 times, 9,241 visit(s) today