【再都市化ナレッジデータベース】←新規情報やタレコミはこちらのコメント欄にお願いします!

【2018年10月から治療開始】大阪重粒子線センターの加速機は世界最小サイズの直径 17m!



大阪重粒子線センター(愛称 OSAKA HIMAK)は、 世界最小サイズの重粒子線治療装置による大阪初の都心型重粒子線がん治療施設です。2018年2月16日に施設が完成し、同年10月から重粒子線治療を開始しました。

 

 

 

 

 

重粒子線がん治療とは?


出典:https://www.saga-himat.jp/actual.html

重粒子線がん治療は、原子核を加速し『がん病巣』に照射して治療する粒子線治療の一種で、炭素イオンを加速器で光速の約70%まで加速し、がん病巣に狙いを絞って照射する最先端の放射線治療法です。従来の放射線治療で使用されるエックス線やガンマ線は、がん病巣に対して体外から照射すると体の表面近くで放射線量が最大となり、それ以降は次第に減少していき、体の深い所にあるがん病巣に十分なダメージを与えることができませんでした。また、がん病巣以外の正常細胞にもダメージを与えてしまいます。

一方、重粒子線及び陽子線は、体の表面では放射線量が弱く、がん病巣において放射線量がピークになる特性(ブラッグ・ピーク)を有しています。このため、がん病巣をピンポイントで狙い撃ちすることができ、がん病巣にダメージを十分与えながら、正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能です。特に重粒子線は、陽子線よりもさらに線量集中性が優れ、がん細胞に対する殺傷効果が2~3倍大きいとされているため、照射回数をさらに少なく、治療期間をより短くすることが可能です。

 

粒子線治療のメリット

早期であれば、がんの根治が可能
従来、治療困難とされたがんに適用となる場合がある
照射による痛みがほとんどない
手術と比較して、合併症のリスクが少ない
他の放射線治療と比較して、がん周辺の臓器・組織への影響が少ない
体に負担が少ないので、高齢者も受けやすい
治療期間が短く、社会復帰がしやすい


粒子線治療のデメリット
医療用の専用加速器など、巨大な専用施設が必要
実施している医療機関が限られる
治療費用が高額

 

 

重粒子線治療施設は全国に6ヵ所


出典:http://www.hirt-japan.info/facility/

 

現在、日本には粒子線がん治療施設が22ヵ所あり、そのうち重粒子線治療施設は6ヵ所となっています。※2019.03末時点

① 放射線医学総合研究所病院 (千葉市)
② 神奈川県立がんセンター(横浜市)
③ 群馬大学医学部附属病院(前橋市)
④ 大阪重粒子線センター(大阪市)
⑤ 兵庫県立粒子線医療センター(兵庫県たつの市)
⑥ 九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)

 

 

 

 

大阪重粒子線センターの加速器は直径 17m、世界最小サイズ

 


出典:https://www.osaka-himak.or.jp

加速器は、荷電粒子(電気を帯びた粒子)に電圧を加え、方向と速さの揃った高いエネルギーの粒子(ビーム)を作り出す装置です。重粒子線治療のためには、荷電粒子を腫瘍に届くエネルギーまで加速させる必要があります。大阪重粒子線センターの加速器システムの主加速器には、シンクロトロン(直径 17m、世界最小サイズ)が採用されました。

 

 

 


出典:https://www.osaka-himak.or.jp

シンクロトロンは重粒子線を1周約 57mの円形軌道上で数百万回/ 秒、周回させて治療に必要なエネルギーまで高周波で加速する装置です。加速された重粒子は最大で光速の約70%に到達し、ここから炭素イオン3つの治療室に送り込みます。

 

 

 

大阪重粒子線センターの治療実績

 



2018年10月から重粒子線治療を開始し、2019年2月末までに110名の治療が始まりました。詳細は、前立腺がん85名、頭頸部がん9名、骨軟部腫瘍1名、肺がん5名、肝臓がん3名、腎がん1名、すい臓がん2名、転移性リンパ節3名、大腸がん1名となっています。

計画では、初年度は300人程度、2019年度から年間800~1200人の患者を受け入れ、隣接する大阪国際がんセンターとも連携し、総合的ながん治療を提供していく予定です。

 

 

 

公的保険の適用範囲が拡大。さらに検証を進め一般的な治療法を目指す

 



粒子線治療は公的保険の適用を前提とした「先進医療」で自己負担額が300万円以上かかっていましたが、2016年4月から骨軟部がん(切除非適応の骨軟部腫瘍)、2018年4月から前立腺がんと頭頸部がん(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)について公的医療保険が適用される様になりました。それ以外の治療については、先進医療として継続されます。切らずに、痛みもなく、高齢者にもやさしい治療方法である「重粒子線がん治療」は仕事や日常生活を続けながら外来での治療も可能です。

まだこの治療法の有効性が立証された癌は少ないですが、さらに検証が進み多くの癌に対する有効性が立証され、公的医療保険の対象が広がり、癌で苦しむ人が少しでも減る事が望まれます。

2 COMMENTS

からや

沖縄県の琉球大学病院にも西普天間移転に伴い設置予定です。

アリー my dear

この治療がこれから最大限の効果をあげることを期待したいですね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です