
ヒルトンは、広島県廿日市市・宮島口で計画しているラグジュアリーホテルの正式名称を、「Umiuta Hiroshima, LXR Hotels & Resorts(ウミウタ ヒロシマ エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ)」に決定しました。
同ホテルは、宮島開発合同会社が開発し、ヒルトンが運営する計画です。2026年7月6日に起工式が行われ、2026年8月に着工、2028年6月の竣工、2028年中の開業を予定しています。ヒルトンにとっては、2022年9月に開業した「ヒルトン広島」に続く広島県内2軒目のホテルであり、同社のラグジュアリーブランドとしては広島県初進出となります。
計画地は、世界遺産・厳島神社大鳥居を望む宮島口のウォーターフロントです。客室数は61室で、料飲施設、スパ、屋内プール、フィットネスセンターなどを備える予定です。
LXRホテルズ&リゾーツとは?

ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts
LXRホテルズ&リゾーツは、ヒルトンが展開するラグジュアリーコレクションブランドです。ウォルドーフ・アストリアやコンラッドのように、ブランド共通の世界観を前面に出すホテルとは少し性格が異なります。LXRは、世界各地の個性的な高級ホテルを束ねるコレクション型のブランドで、各ホテルは、その土地の歴史、文化、自然、地域体験を重視し、立地ごとに異なる物語を宿泊体験に反映させる点に特徴があります。
日本では、2021年に「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」が京都に開業しました。今後は東京、箱根強羅、ニセコでの開業も予定されています。Umiuta Hiroshimaでは、瀬戸内海と厳島神社への玄関口という、宮島口ならではの立地がブランド体験の核になります。
「Umiuta」に込められた瀬戸内海のリズム
ホテル名の「Umiuta」は、「Umi(海)」と「Uta(詩)」を組み合わせた名称です。ヒルトンは、海を単なる景色ではなく、やがて声となり、魂に響く一つの詩になるという世界観を込めたと説明しています。また、「Umiuta」は、たおやかに高まり、そして静まっていく潮の満ち引きの詩的な美しさを表現した名称とされています。
瀬戸内海の穏やかな水面、宮島へ向かう船の往来、厳島神社大鳥居を望む景観。今回の名称は、こうした瀬戸内海の風景や潮のリズムを、ホテルの世界観として表現したものといえます。
なぜ宮島口にLXRなのか

宮島口にLXRが進出する理由は、単に観光客が多いからではありません。
宮島口は、世界遺産・厳島神社大鳥居を望む景観、年間約500万人規模の来島需要、JR・広電・フェリーが集まる交通結節点という強みを持っています。一方で、廿日市市の観光政策上は、日帰り観光が主流で、滞在時間が短く、1人あたりの観光消費額が伸びにくいことが課題とされてきました。
つまり宮島口は、世界級の観光資産がありながら、宿泊・飲食・体験消費を十分に取り切れていない場所です。LXRは、そのギャップを埋めるブランドとして投入されると見ることができます。
| 宮島口の条件 | 現状・課題 | LXR進出の意味 |
|---|---|---|
| 世界級の景観資産 | 瀬戸内海と宮島を望む眺望が国際的な観光資産 | 客室・料飲・スパ・体験を通じて、高単価な滞在価値に転換できる |
| 年間約500万人規模の来島需要 | 2025年の宮島来島者数は496万7,481人 | 既存の観光需要を、宿泊・食事・滞在体験へ誘導できる |
| 日帰り観光中心の観光構造 | 滞在時間が短く、1人あたりの観光消費額が伸びにくい | 高級ホテルが滞在目的をつくり、観光消費の質を引き上げる |
| 対岸側の宮島口立地 | 島内は文化財・景観・土地利用の制約が大きい | 宮島を望む立地を活かしながら、都市的なホテル開発がしやすい |
| JR・広電・フェリーが集まる玄関口 | 宮島へ渡る前後の通過動線になりやすい | 交通結節点を、滞在型観光拠点へ転換できる |
| 国交省による事業認定 | 観光拠点整備として政策的にも位置付け | 民間ホテル開発でありながら、地域観光活性化の都市開発案件になる |
| ヒルトン広島との補完関係 | 広島市内には既にヒルトン広島が開業済み | 都市型ホテルと、瀬戸内・世界遺産型ラグジュアリーを県内で分担できる |
同計画では、厳島神社大鳥居を望む客室に加え、広島の四季を感じる食事、スパ、広島・宮島の魅力に触れるアクティビティなどの提供が想定されています。また、ホテルに隣接する緑地も整備され、観光客や近隣住民が自由に散策できる空間づくりも計画されています。
計画概要

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | Umiuta Hiroshima, LXR Hotels & Resorts |
| 読み | ウミウタ ヒロシマ エルエックスアール ホテルズアンドリゾーツ |
| ブランド | LXRホテルズ&リゾーツ |
| 開発担当 | 宮島開発合同会社 |
| 運営 | ヒルトン |
| 所在地 | 広島県廿日市市宮島口西1-266-3 他 |
| 敷地面積 | 15,864.82㎡ |
| ホテル延床面積 | 12,106.99㎡ |
| 建物規模 | 地上7階、地下1階 |
| 客室数 | 61室 |
| 付帯設備 | 料飲施設、スパ、屋内プール、フィットネスセンター等 |
| 設計・監理 | 五洋建設株式会社 中国支店一級建築士事務所 |
| 基本設計・デザイン監修 | 有限会社永山祐子建築設計 |
| 施工 | 五洋建設株式会社 中国支店 |
| 着工 | 2026年8月 |
| 竣工 | 2028年6月予定 |
| 開業 | 2028年予定 |
筆者の視点:宮島口のホテル地図が変わる

Umiuta Hiroshimaの正式名称決定は、宮島口LXR計画が構想段階から実行段階へ進んだことを示す大きな節目です。
この立地に小規模・高単価型のLXRを置く意味は明確です。大規模な団体客を大量に受け入れるホテルではなく、世界遺産の景観、瀬戸内海の時間、広島・宮島の食と文化を丁寧に組み合わせ、高単価の滞在商品として成立させる。これは、宮島口の観光構造を「人数」から「滞在価値」へ移していく試みです。
「Umiuta Hiroshima」という名称は、その方向性をよく表しています。2028年の開業に向けて、宮島口のウォーターフロントは、新しいホテル地図を描き始めました。
出典
- ヒルトン:Umiuta Hiroshima, LXR Hotels & Resorts 名称決定・起工式・計画概要発表
- ヒルトン:LXRホテルズ&リゾーツ ブランド説明
- 国土交通省:「(仮称)宮島口西1丁目ホテル計画」を優良な民間拠点施設整備事業計画として認定
- 廿日市市:宮島来島者数一覧表
- 廿日市市:観光振興基本計画案
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