鳥羽市、「鳥羽駅周辺エリア再生ビジョン(案)」を公表 ! 2040年を見据え、駅前に新たなにぎわい拠点を整備へ


三重県鳥羽市は、JR・近鉄が乗り入れる鳥羽駅周辺を対象とした「鳥羽駅周辺エリア再生ビジョン(案)」を公表しました。人口減少が進む中、都市の持続可能性を確保するため、駅前エリアを地域経済・観光の中核と位置づけ、にぎわいの再生を目指す内容となっています。

背景:人口減少と中心エリアの低迷

鳥羽市では、2040年に人口が約1万人まで減少すると推計されています。観光都市として全国的に知られる一方、市街地では空き家・空きビルの増加、海とまちをつなぐ動線の弱さ、災害対策の課題などが指摘されています。

とりわけ鳥羽駅周辺は、観光施設や海上交通の結節点でありながら、そのポテンシャルを十分に生かしきれていない現状があります。このため、市は駅前エリアの価値を再編集し、将来像を示す必要があると判断しました。

ビジョン策定の目的

今回のビジョンは、市内事業者、地権者、市民など多様な主体が連携し、段階的に取り組みを進めるための共通指針として策定されています。位置づけとしては、


  • 第六次鳥羽市総合計画

  • 鳥羽市都市計画マスタープラン

  • 鳥羽市立地適正化計画

  • 第二次鳥羽市観光基本計画

  • 公共施設等総合管理計画

  • 空家等対策計画

などの上位計画と整合性を持たせた“横断型のエリア再生方針”となっています。

将来像:海と街をつなぐ「駅前の再生」

ビジョンでは、鳥羽駅周辺を「海と街をつなぐ玄関口」として再生する方針を掲げています。観光客、市民、勤務者が利用できる滞在空間の強化、歴史・文化の継承、海辺の景観資源の活用などが示されています。

中心施策:駅前に「にぎわい拠点」を整備

今回のビジョン案の核となるのが、鳥羽駅に直結する新たな「にぎわい拠点」の整備です。


目的

  • 駅利用者の滞在環境を向上させること

  • 鳥羽湾の眺望を生かした公共性の高い空間づくり

  • 観光案内・交流・交通結節・生活サービスの複合機能を集約すること

想定される機能


  • 観光案内・地域情報発信

  • イベント・マルシェ等の多用途スペース

  • 生活サービスや休憩スペース

  • 公共交通の乗り継ぎ改善

  • 災害時の一時避難場所としての役割
    (具体的機能は今後詳細化されます)

駅前の空洞化を防ぎ、回遊性向上と滞在価値の向上を同時に図る狙いがあります。

回遊性を高める施策

にぎわい拠点に加え、エリア全体の回遊性向上を図る複数の施策も示されています。


海沿いオープンスペースの創出

海辺の景観を生かし、散策・休憩・交流など多様な用途に対応する空間を整備します。


観光水産市場の整備

地域産品を扱う市場として、観光と地産地消を結びつける拠点とします。鳥羽ならではの食文化や交流を促進します。


佐田浜〜日和山のデッキルート整備

高低差を解消し、徒歩移動をしやすくすることで、観光動線の改善を図ります。

旧鳥羽小学校の利活用

歴史的建物である旧鳥羽小学校については、文化・交流・教育など複数の用途での利活用が検討されています。単体施設のリノベーションにとどまらず、駅前〜海辺エリア全体の回遊性や滞在価値の向上と連動させる方針です。

推進体制とスケジュール

ビジョン案は、10回にわたる検討部会、市関係部局会議、策定委員会での協議を経て取りまとめられました。設計は日建設計、事業マネジメント支援はURリンケージが担当しています。


今後の予定

  • 2025年12月〜2026年1月:パブリックコメントの実施

  • 2026年3月:ビジョンの正式策定

  • 2026年度以降
     市・市民・事業者・地権者で構成する
     (仮称)鳥羽駅周辺エリアプラットフォーム を設置し、実現化に向けた具体的な検討を進めます。

まとめ

鳥羽駅周辺エリア再生ビジョンは、人口減少が進む中で都市の持続可能性を確保するため、「駅前のにぎわい再生」と「海と街の接続」を軸に据えた総合的な計画です。駅前に複合拠点を整備し、海沿いの公共空間を拡充することで、観光都市・鳥羽の価値向上と市民の利便性向上の双方を目指しています。





【出典元】


  • 鳥羽市「鳥羽駅周辺エリア再生ビジョン(案) 第3回策定委員会資料」

  • 鳥羽市公式サイト「鳥羽駅周辺エリア再生ビジョンの策定」

  • 建設通信新聞(2025年12月2日)

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