大阪市中心部を南北に流れる 東横堀川 において、堤防の耐震性を高める工事が進められています。今回の工事対象は、本町橋から農人橋までの区間で、南海トラフ巨大地震などの大規模地震に備えた河川防災対策として実施されています。
都心部の中でもインフラ密度が高い工事区間

本町橋〜農人橋間は、東横堀川の中でも特に都市機能が集積する区間です。周辺には業務地が広がり、上空には高速道路が通過するなど、橋梁・道路・河川施設が重層的に配置されています。
この区間の護岸は主に1970年代に高潮・水害対策として整備されたもので、当時は防災機能が最優先され、耐震性能や親水性は現在ほど重視されていませんでした。そのため、現行の耐震基準に照らすと、計画的な更新が必要な区間と位置づけられてきました。
既存護岸の前面に新たな耐震護岸を設置

今回の工事では、既存護岸の河川側前面に新たな耐震護岸を構築する方式が採用されています。護岸の倒壊リスクを低減するとともに、地震時の河岸崩壊や越水被害の防止を図るのが目的です。施工に先立ち、河床下の安全確認として磁気探査を実施。工事は作業台船を移動させながら進められ、航路への影響を抑えつつ段階的に施工が行われています。
耐震対策と同時に水辺の魅力向上を視野に

本工事の特徴は、防災機能の強化にとどまらず、水辺空間の再編を同時に見据えている点にあります。
東横堀川では、2000年代以降に水門整備や水位管理の高度化が進み、治水安全性を確保しながら、護岸高を従来より低く抑えることが可能となりました。これにより、護岸更新にあわせて水辺に近づける空間づくりが可能となっています。
今回の耐震護岸整備でも、遊歩道(リバーテラス)整備を前提とした断面構成が採用されており、護岸上部や前面に人が利用できる陸上空間を確保する設計となっています。
水辺利活用の先行エリアをつなぐ区間

2021年にオープンした「β本町橋(ベータ本町橋BASE)」
本町橋周辺ではすでに遊歩道整備や民間による水辺利活用が進んでおり、今回の工事区間は、そうした先行エリアと今後整備が広がる区間をつなぐ位置にあります。耐震護岸の更新をこの区間から進めることで、防災上の課題解消とあわせて、水辺ネットワークの連続性を確保し、将来的な利活用の展開につなげる狙いがあります。
全川約2.4kmで進む段階的な河川再編

大阪市は、東横堀川全川約2.4〜2.5kmを対象に、耐震護岸整備と水辺空間の再構成を段階的に進める方針を示しています。効果を早期に実感できる区間から整備を行い、最終的には川沿い全体をつなぐ水辺ネットワークの形成を目指す計画です。本町橋〜農人橋間で進められている今回の工事は、その初期段階を担うものであり、防災インフラ更新と都市空間再編を同時に進める試みとして注目されます。
防災と都市の使われ方を更新する取り組み
今回の堤防耐震対策工事は、老朽化した護岸の更新にとどまらず、
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地震に強い河川構造への転換
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水辺に人が滞在できる都市空間への再構成
を同時に進める点に特徴があります。
工事の進展とともに、本町橋周辺から農人橋にかけての川沿い空間がどのように変化していくのか、今後の動向が注目されます。
2026年1月の様子

現地の様子です。工事区間のうち、右岸は2024年度に整備が完了し、すでに供用が始まっています。

右岸部の様子です。水面がメチャクチャ近いです。

整備された右岸を、北側から見た様子です。

岸北側の様子です。ポケットパークが整備され、イベントなどにも活用できそうです。

写真左側は「東横堀公園」です。親水護岸と一体化していい感じになりました。

こちらは工事中の「左岸」の様子です。

真正面から見た様子です。先行整備された「右岸」と同様の親水護岸が整備される予定です。

大々的に工事が行われています。

短い区間ではありますが、両岸に親水護岸が整備されることで、景観の印象は大きく変わりそうです。親水護岸が面的に広がっていくイメージですね。

整備された右岸には、ベンチやチェアが設置されていました。

そして、右岸から本町橋に向けて、秘密の小径のような遊歩道が続いていました。

やはり水面がかなり近い……。そして、秘密通路のような雰囲気です。思わずテンションが上がってきました。

ホトリヲは、川に開いたカフェとシェア型書店、レンタルスペースからなる複合的な拠点です。落ち着いた空間の中で珈琲やバー利用ができるほか、感性を共有するシェア本棚が設けられています。店内からは東横堀川沿いの遊歩道に直接アクセスできます。

遊歩道をさらに進むと・・

本町橋の下をくぐり抜けます。

ホトリヲの広告がオシャレすぎる。

本町橋を通過。遊覧船で見たようなローアングルで、橋を愛でることができます。

ゴール地点は、東横堀川初の新たな水辺の拠点「本町橋BASE」です。農人橋からここまでの区間が、親水護岸として装いを新たにしました!

