青森市中心部・本町一丁目2番地区で進められている第一種市街地再開発事業は、いわゆる「成長型再開発」とは性格を異にします。本事業の主眼は、都市機能の拡張ではなく、中心市街地が空洞化することを防ぎ、都市の基盤を維持することにあります。
本記事では、事業概要から制度設計、事業者の立ち位置、空間構成の意図までを整理し、この再開発が何を目的とし、何を目指していないのかを順を追って解説します。
1.事業の概要とスケジュール
本事業は、青森市本町一丁目2番地区(敷地面積約0.5ヘクタール)を対象とする、組合施行の第一種市街地再開発事業です。
主な計画内容は以下のとおりです。
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延床面積:約11,600㎡
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建築面積:約1,800㎡
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建物規模:地上13階建て程度
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用途構成:住宅、商業、業務などの住商一体型複合施設
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建ぺい率:最高80%
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容積率:200~600%
都市計画決定後、2026年度の組合設立、2028年着工、2030年3月の竣工が予定されています。規模は地方都市の再開発として比較的抑制的で、事業リスクを過度に高めない構成となっています。
2.立地条件と地区指定の意味
計画地は、国道4号と中央大通り荒川線(主要地方道青森停車場線)が交差する北東側に位置しています。周辺には青森県庁、市役所本庁舎、青い森公園などが集積し、行政・業務機能の中枢を形成しています。
また本地区は、都市機能の集約を進める「青森駅周辺地区」に含まれています。市は本町一帯を、今後も行政・業務・居住機能が重なる中心エリアとして維持する方針を明確にしており、その一環として本再開発を位置付けています。
この場所が低未利用化すれば、中心市街地全体の機能低下につながるため、**「失ってはならないエリア」**として重点的な再編が選択されました。
3.都市計画と雪国特有の配慮
本事業では、高度利用地区指定により、土地の集約と立体的利用を進める一方、冬季環境への対応が計画段階から求められています。
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建築物周辺への融雪装置の設置
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歩行者動線の安全性・快適性の確保
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商業施設と駐車場の一体整備
これらは付加的な設備ではなく、青森市という雪国都市において、中心部が一年を通じて機能し続けるための前提条件として位置付けられています。
4.ミサワホーム参画の背景
本再開発には、ミサワホームが事業協力者として参画しています。2025年10月には、地権者で構成される準備組合と事業協力協定が締結されました。
本事業は、延床約11,600㎡、分譲マンション中心という構成から、大規模な収益拡大を狙う開発ではありません。そのため、ミサワホームの参画目的は、短期的な利益確保というよりも、同社が展開するまちづくりブランド「ASMACI(アスマチ)」の考え方を地方都市で実装する点にあります。
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多世代共生を前提とした居住構成
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健康増進に配慮した住宅仕様
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子育て支援機能や生活利便施設の検討
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観光需要との連動によるにぎわい確保
人口減少社会を前提に、都市機能をどのように維持するかという視点が強く反映されています。
5.ねぶた祭と空間構成の関係
出展:https://aomori-tourism.com/
計画地は、青森ねぶた祭の運行ルートに隣接しています。これを踏まえ、低層部には交流機能やテラスを設け、祭りの雰囲気を日常的に感じられる空間構成とする方針が示されています。
この設えは、観光対応にとどまらず、地域の象徴的行事と都市空間を結び付け、中心市街地としての認識を維持する役割を担います。祭りという非日常の要素を、日常の都市生活と緩やかにつなげることで、地区の存在感を保つ狙いがあります。
6.本再開発が目指す範囲と限界
本町一丁目2番地区再開発が担う役割は、あらかじめ限定されています。
期待される効果
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本町エリアの低未利用化・空洞化の抑制
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官庁街と居住・商業機能の近接配置による都市機能維持
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若年層や子育て世帯の中心部定着促進
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冬季でも利用しやすい中心拠点の確保
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地方都市における縮小型再開発モデルの提示
想定されていない効果
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人口の大幅な増加
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地価の上昇や投資の連鎖
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広域的な集客拠点の形成
本事業は、成長を前提とした再開発ではなく、現状を維持し、機能低下を防ぐことに主眼が置かれています。
まとめ
出展:https://aomori-tourism.com/
本町一丁目2番地区の第一種市街地再開発は、地方中枢都市が直面する現実を踏まえた、極めて実務的な都市再編です。派手な成長戦略ではありませんが、中心市街地を維持するために何が必要かを丁寧に積み上げた計画と言えます。
都市の将来像を過度に誇張することなく、できることとできないことを整理した上で進められる本事業は、今後の地方都市再開発を考える上で、一つの参考事例となりそうです。
出典・参考資料
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青森市公式ウェブサイト(都市計画・高度利用地区関連資料)
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ミサワホーム株式会社 公式リリース(2025年10月14日)






