日本ハム2軍施設、恵庭市に内定!46haの“育成型ボールパーク”でFビレッジ圏が千歳線沿線へ拡大



北海道日本ハムファイターズとファイターズ スポーツ&エンターテイメント(FSE)は2026年7月2日、千葉県鎌ケ谷市にある2軍施設の移転候補地を、北海道恵庭市に内定したと発表しました。今後、関係各所との協議を進め、2030年もしくは2031年の開業を目指します。

46haの広大な土地を使い、スタジアム、練習施設、選手寮、宿泊施設、商業施設、住宅を重ね合わせることで、恵庭市に新しい都市拠点をつくる構想です。北広島市の北海道ボールパークFビレッジに続く“第2のボールパークまちづくり”が、JR千歳線沿線で始まろうとしています。

46haに“育成・滞在・商業・居住”を重ねる新拠点


出展:GoogleMAP

移転候補地は、JR千歳線の恵み野駅と島松駅の間に広がる恵庭市西島松地区周辺です。報道によると、対象用地は約46ha。3000〜5000人規模のメインスタジアムを核に、サブグラウンド、屋内練習場、選手寮、宿泊施設、商業施設、住宅などを段階的に整備する構想です。

従来のファーム施設は、球場、練習場、選手寮を中心とした“球団内部の育成拠点”でした。しかし、恵庭案はそこに宿泊、商業、住宅、合宿、リハビリ、地域交流を重ねようとしています。単なる2軍施設ではなく、ファームを核にした複合都市開発となっています。
項目 内容
事業者 北海道日本ハムファイターズ、ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
移転元 ファイターズ鎌ケ谷スタジアム/千葉県鎌ケ谷市
移転候補地 北海道恵庭市西島松地区周辺
位置 JR千歳線 恵み野駅〜島松駅間
敷地規模 約46ha
主な施設 メインスタジアム、サブグラウンド、屋内練習場、選手寮、宿泊施設、商業施設、住宅など
メインスタジアム 3000〜5000人規模を想定
Fビレッジとの関係 エスコンフィールドHOKKAIDOから車で約20分
開業目標 2030年もしくは2031年
都市開発上の意味 Fビレッジに続く第2のボールパークまちづくり、千歳線沿線のスポーツ都市圏化

なぜ恵庭なのか 広さ・立地・誘致力がそろった


出展:GoogleMAP

恵庭市が選ばれた理由は、大きく三つあります。

一つ目は、46haという広さ。ファーム施設だけでなく、宿泊、商業、住宅、合宿機能まで組み込むには、まとまった土地が必要です。恵庭市西島松地区周辺は、その受け皿となる規模を持っていました。

二つ目は、立地。候補地はJR千歳線沿線にあり、札幌、北広島、新千歳空港を結ぶ都市軸上にあります。1軍本拠地であるエスコンフィールドHOKKAIDOにも近く、報道では車で約20分の距離とされています。

三つ目は、恵庭市側の誘致力。恵庭市は、用地確保、財政支援、スケジュールなどについて球団側に提案してきました。誘致期成会による5万筆を超える署名活動や、市議会からの要望書提出もあり、市民、経済界、行政、議会が一体となって誘致を後押ししました。

恵庭市にとって、この計画は単なるスポーツ施設誘致ではなく、新しい人流、宿泊需要、商業需要、雇用、定住人口、駅前再整備との相乗効果を生み出す可能性があります。

札幌近郊の住宅都市から、プロスポーツの育成拠点を持つ交流都市へ。今回の誘致は、恵庭市の都市ブランドを一段引き上げるチャンスでもあります。

Fビレッジとの最大のシナジーは「1軍と2軍の近接化」

この計画を理解するうえで最も重要なのが、北広島市のFビレッジとの関係です。

これまで日本ハムは、1軍本拠地を北海道北広島市に置きながら、2軍施設は千葉県鎌ケ谷市にありました。1軍と2軍が遠く離れているため、選手の移動、昇格・降格、リハビリ、コンディショニング、首脳陣の視察、育成方針の共有には制約がありました。

恵庭市にファーム施設が移れば、1軍本拠地と2軍施設は車で約20分圏内に近接します。若手選手を1軍首脳陣が見やすくなり、故障明けの選手も1軍と2軍の間を行き来しやすくなります。データ分析、トレーニング、リハビリ、栄養管理、コンディショニングも一体的に運用しやすくなるでしょう。単なる施設更新ではなく、球団の育成システムを北海道内で完結させる投資といえます。

Fビレッジが「1軍の興行・観戦・滞在拠点」だとすれば、恵庭の新ファーム施設は「2軍の育成・合宿・リハビリ拠点」です。北広島が“観戦するボールパーク”なら、恵庭は“育てるボールパーク”。この二つが近接することで、ファイターズの事業基盤は、単独の球場から複数拠点を持つボールパーク圏へ進化します。

FSEの狙いは、球団強化とボールパーク事業の拡張


出展:エスコンフィールドHOKKAIDO

FSEの狙いは、老朽化した2軍施設を新しくすることだけではありません。

第一に、球団強化です。1軍と2軍を北海道内で近接させ、育成、編成、リハビリ、コンディショニングを一体運用する。これは長期的に見れば、チームの競争力を高める基盤整備です。

第二に、ボールパーク事業の拡張です。Fビレッジで示されたのは、球場が試合開催日だけの施設ではなく、飲食、宿泊、温浴、イベント、観光、企業利用などを通じて、通年で人を集める装置になり得るということでした。恵庭の新施設でも、ファーム公式戦、練習見学、アカデミー、スポーツ合宿、宿泊、商業、住宅を組み合わせれば、非試合日にも人が動く拠点になります。

第三に、北海道におけるファイターズの存在感をさらに深めることです。北広島のFビレッジに加え、恵庭にも拠点を持つことで、ファイターズは「北海道のプロ野球球団」から、地域の都市開発、観光、教育、健康、定住政策にも関わるプレイヤーへと進んでいきます。

球団公式発表で栗山英樹CBOは、新拠点について、野球に限らず世界中の人たちが集まる場所にしたい、子どもたちが世界へ巣立ち、選手が成長する施設を目指すと述べています。新ファーム施設を、野球選手だけの施設ではなく、世界のアスリート、子どもたち、地域住民が交わる“人を育てる拠点”として位置づける意思表示といえます。

千歳線沿線に広がる“北海道ボールパーク経済圏”



都市開発の視点で見ると、今回の計画はJR千歳線沿線の価値を押し上げる案件でもあります。

札幌、新札幌、北広島、恵庭、新千歳空港。これらを結ぶ千歳線沿線上に、1軍本拠地のFビレッジと、2軍・育成拠点の恵庭ファーム施設が並ぶことになります。北広島だけで完結していたボールパーク開発が、沿線全体へ広がる構図です。

道外や海外から来る選手、関係者、スポーツ合宿利用者は、新千歳空港からアクセスしやすい。札幌都市圏のファンは、北広島と恵庭を回遊しやすい。午前中に恵庭でファームの練習や2軍戦を見て、夜はエスコンフィールドHOKKAIDOで1軍戦を見る。あるいは、合宿や研修で恵庭に滞在し、Fビレッジや札幌観光へつなげる。そうした広域回遊も見えてきます。

Fビレッジの経済圏は、北広島市内にとどまらない。恵庭を加えることで、JR千歳線沿線にスポーツ、観光、滞在、商業、住宅が重なる新しい都市軸が形成される可能性があります。

ただし、実現には土地利用とアクセスの課題がある

一方で、計画はまだ内定段階です。実現に向けては、いくつもの課題があります。

特に重要なのは、土地利用手続きです。候補地には農地や市街化調整区域が含まれる可能性があり、開発には市街化区域への編入、農地転用、地権者調整、土地取得などが必要になるとみられます。

もう一つの大きな課題は、アクセスです。

候補地はJR千歳線沿線にありますが、駅から候補地までの動線整備が必要です。Fビレッジでも北広島駅とのアクセス改善が大きなテーマになったように、恵庭の新ファーム施設でも、恵み野駅や島松駅からどう安全で快適に人を運ぶかが問われます。

車利用だけに依存すれば、試合日やイベント時の交通処理が課題になります。一方で、駅前再整備、歩行者動線、シャトル輸送、自転車利用、駐車場整備などを組み合わせれば、施設と市街地を結ぶ新しい都市軸をつくることもできます。

この計画の成否は、球場を建てられるかどうかだけでは決まりません。球場、練習施設、宿泊、商業、住宅、駅、道路、市民利用をどこまで一体的に設計できるか。そこに、恵庭版ボールパークまちづくりの成否がかかっています。

千葉県鎌ケ谷市にとっては約30年の歴史の節目

現在のファーム拠点である千葉県鎌ケ谷市にとって、今回の決定は大きな節目になります。

ファイターズ鎌ケ谷スタジアムは1997年3月に開業し、長く日本ハムの若手育成を支えてきました。鎌ケ谷市は、球場が市の知名度向上や地域活性化に寄与してきたことに感謝を示す一方、移転については残念との思いも表明しています。

北海道への移転は、球団の運営合理化と事業拡張のための判断です。一方で、鎌ケ谷にとっては、地域の記憶と結びついた大きな転換点でもあります。

まとめ:ボールパーク戦略は「点」から「面」へ



今回の恵庭市内定は、ファイターズのボールパーク戦略が、北広島単独からJR千歳線沿線へ広がる転換点です。

Fビレッジは、球場を核に観戦、飲食、宿泊、温浴、イベント、住宅開発を重ねることで、地方都市に新しい人流を生み出しました。恵庭の新ファーム施設は、その第2章です。ただし今度の主役は、1軍の興行ではありません。2軍、育成、合宿、リハビリを核にした日常型のボールパークまちづくりです。

北広島が「観戦するボールパーク」なら、恵庭は「育てるボールパーク」。

この二つがJR千歳線沿線で結ばれることで、北海道ボールパーク構想は“点”から“面”へ広がります。ファイターズは試合を興行するだけでなく、人を育て、人を呼び込み、街を変える存在になろうとしています。46haの土地を使った新ファーム施設は、2030年代の北海道におけるスポーツ、都市開発、沿線価値、地域経済を結び直す新しい実験場になる可能性があります。




出典・参考

  • 北海道日本ハムファイターズ「ファーム施設移転候補地内定について」
  • 恵庭市「ファイターズファーム施設の移転について(恵庭市長コメント)」
  • 鎌ケ谷市「ファイターズ鎌ケ谷スタジアムの移転先の決定について」
  • UHB北海道文化放送
  • HTB北海道ニュース
  • 道新スポーツ
  • リアルエコノミー
  • 日刊建設工業新聞

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