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札幌市の新展示場(アクセスサッポロ後継の大規模展示場)が2027年誕生へ!月寒グリーンドーム跡地に新拠点、札幌の展示機能を再構築

 


出展:札幌市

札幌市は、展示会機能の再構築に向けて、月寒グリーンドーム跡地に新たな大規模展示場を整備します。アクセスサッポロの後継施設として計画されるこの展示場は、2027年9月の供用開始を予定しており、北海道の産業振興と都市機能の強化を担う「次世代産業交流拠点」として整備されます。


展示機能の再構築と都市機能の更新


出展:札幌市

1984年に開業した「アクセスサッポロ」は、札幌市唯一の本格的展示場として、地元企業の展示会や即売会など多様な催事を支えてきました。しかし2016年に「月寒グリーンドーム」が閉館して以降、市内で実質的に稼働していた展示場はアクセスサッポロのみ。稼働率は8割超という飽和状態が続き、施設の老朽化・機能面の陳腐化も進んでいました。

特に、他都市と比べた場合の展示機能の制約が深刻で、アクセスサッポロの展示面積(約5,000㎡)は、仙台(夢メッセみやぎ:約7,500㎡)、福岡(マリンメッセ福岡など合計:約13,000㎡)と比べて明らかに小規模です。国際会議の開催件数では健闘しているものの、大規模展示イベントの誘致や柔軟な運営において、物理的制約が都市競争力の足かせとなっていたことは否定できません。

こうした背景を踏まえ、札幌市は「展示機能の供給力を強化し、都市としての発信力を高める」ことを主眼に、新展示場整備に踏み切りました。

月寒跡地にPFI方式で整備、総工費は約222億円


出展:札幌市

新展示場の建設地は、豊平区月寒東3条11丁目の旧月寒グリーンドーム跡地で、地下鉄東西線「南郷13丁目駅」および東豊線「福住駅」から徒歩圏に位置する好立地です。施設整備にはPFI(Private Finance Initiative)手法が採用され、事業契約は2024年5月27日に札幌市議会で可決。代表企業・大林組を中心とした「大林組グループ」により設立されたSPC(特別目的会社)「札幌展示場PFI」が、2042年3月まで整備・維持管理・運営管理を担います。

事業方式はBTO(Build-Transfer-Operate)型で、事業者が施設を設計・建設した後に札幌市へ所有権を移転し、その後も維持管理を継続。PFI導入により、札幌市の財政負担は従来方式に比べて約6.6%(約16億円)削減されると試算されています。

延床面積は2万5,000㎡超、7ホール構成のフレキシブルな展示空間


出展:札幌市

新展示場の建物は鉄骨造・地上2階建て、建築面積は約2万4,000㎡、延床面積は2万5,000㎡以上です。中心となる展示ホールは1万5,000㎡規模で、7つのホールに分割・一体利用が可能。展示ホール以外にも、3,000㎡超のエントランスホール、約440㎡の大会議室(2室)、約400㎡と約200㎡の分割可能な中小会議室、控室、VIPルーム、主催者事務室など、多様な催事に対応する施設構成となっています。

駐車場も一般来場者向け1,100台以上を含む約1,250台の駐車スペースに加え、搬出入トラック20台分の大型車駐車スペースや臨時駐車場も備える計画で、屋外展示場(1,000㎡以上)との併用も想定されています。

コンセプトは「何度も選ばれる展示場」「Nearly ZEB展示場」


出展:札幌市

大林組グループの提案では、コンセプトとして「主催者・出展者・来場者にとって快適性・利便性・滞留性に優れた“何度も選ばれる展示場”」とともに、「環境に最大限配慮した“Nearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)展示場”」を掲げています。

施設デザインでは、風致地区に位置する立地特性を活かし、周辺景観と調和する外観デザインや、敷地を最大限活用した歩車分離の明快な動線計画を採用。また、太陽光発電や省エネ設備を導入することで、環境負荷の低減と維持管理コストの抑制にも配慮されています。

札幌ドームとのすみ分けと経済効果


出展:札幌市

新展示場は札幌ドームから約1kmの距離に立地しますが、札幌市は「重機展示や産業展示会など、車両搬入が必要なイベントに特化」することで、ドームとの機能すみ分けは十分可能としています。

札幌市によると、新展示場の年間経済波及効果は約508億円と試算されており、展示会を起点としたビジネス創出、宿泊・飲食・交通など関連産業の波及効果も期待されます。




※出典:札幌市「新展示場整備事業に関する資料」(2024年5月)、夢メッセみやぎ、マリンメッセ福岡、国際会議協会統計(ICCA)2024年データ等より

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