堺泉北港「泉北6区先端緑地」約6.3haを官民連携で再生!官民連携による活用方法を探るサウンディング型市場調査を開始。



大阪港湾局は2026年8月3日、堺泉北港の「泉北6区先端緑地」を対象に、官民連携による活用方法を探るサウンディング型市場調査を始めました。

対象地は、泉大津市小津島町と高石市南高砂にまたがる約6.3haの港湾緑地です。カフェやレストラン、物販施設、駐車場などの収益施設を導入し、その収益を緑地の整備や維持管理に還元する「みなと緑地PPP」を軸に、民間事業者から提案を募ります。

最寄り駅から遠く、上下水道や電気などの基盤整備も十分ではありません。それでも再生を目指す背景には、約20年間利用されていない公共資産を、公費負担を抑えながら一般開放し、物流・工業中心の臨海部に交流や滞在の機能を加えたいという狙いがあります。

計画概要


項目 内容
対象地 泉北6区先端緑地
所在地 泉大津市小津島町・高石市南高砂
面積 約6.3ha
最寄り駅 南海本線・泉大津駅から北西約3.7Km、徒歩約50分
用途地域 準工業地域
建ぺい率・容積率 60%・200%
想定事業期間 最長30年間
参考賃借料 年163.2円/㎡以上
必須提案 カフェ、レストラン、物販・サービス施設、駐車場などの収益施設を1施設以上
今後の予定 2026年8月に現地見学会、9月に個別対話と結果公表
参考賃借料を対象面積全体に単純適用すると、年間約1,030万円となります。ただし、実際の貸付面積や賃料、官民の費用分担は、今後の対話や事業者公募を通じて決まります。

約20年間、一般利用されてこなかった海辺の緑地



泉北6区先端緑地は、大阪湾に突き出した場所にあります。淡路島や神戸方面を望み、西側には海へ沈む夕日が広がります。敷地内には展望原っぱや人工干潟が整備され、野鳥や水生生物が集まる環境も形成されています。

整備は2003年度に始まりましたが、大阪府の財政事情などを受け、2008年度に休止されました。これまでに人工干潟などへ約5.5億円が投入された一方、トイレ、駐車場、休憩施設、転落防止柵などは未整備で、現在も立ち入り禁止となっています。

水道、下水道、ガスは敷地東側の道路まで、電気は道路沿いまで整備されていますが、敷地内には引き込まれていません。一般開放や商業利用に向けては、建物だけでなく、インフラ、駐車場、安全設備の整備も必要になります。

あえて郊外の臨海部を再生する理由


イメージ画像:泉南ロングパークのカフェ

今回の取り組みは、海辺にカフェやレストランを設けるだけの計画ではありません。行政側の狙いと期待される効果は、次のように整理できます。
狙い 具体的な内容・期待される効果
未利用資産の再生 すでに公費を投入しながら閉鎖されている緑地を、一般利用できる状態へ移行します
公費負担の抑制 民間投資と施設収益を活用し、整備費や維持管理費の行政負担を軽減します
目的地型施設の形成 夕日、海、干潟、約6.3haの広さを生かし、車や自転車で訪れる滞在拠点をつくります
臨海部への新機能導入 物流・工業中心の港湾地区に、飲食、交流、観光、レクリエーション機能を加えます
周辺施設との連携 シーパスパークや助松緑道、小松緑道と結び、臨海部の回遊性を高めます
地域経済への波及 来訪者の飲食や買い物、雇用、イベント開催を通じて周辺地域へ消費を呼び込みます
自然環境の保全 施設収益の一部を干潟や緑地の管理、安全対策、清掃などへ還元します
泉大津駅から徒歩約50分という立地では、近隣住民の日常利用だけで安定した集客を確保するのは容易ではありません。

一方で、住宅地から離れているため、BBQやキャンプ、スポーツ、イベント、温浴施設など、音や煙、自動車交通を伴う施設を検討しやすい面もあります。

阪神高速4号湾岸線や大阪臨海線に近いことから、鉄道利用者よりも、自動車や自転車で訪れる人を主な対象とした拠点になると考えられます。身近な都市公園というより、一定の時間を過ごすために訪れる湾岸レジャー拠点としての活用が想定されています。

温浴施設やキャンプ場などの提案も


イメージ画像:泉南ロングパークのグランピング施設

大阪港湾局が2025年に実施した第1回市場調査では、泉北6区先端緑地に対し、次のような提案が寄せられました。
分野 主な提案
飲食・物販 カフェ、レストラン、BBQ、キッチンカー
滞在・レジャー 温浴施設、キャンプサイト、水上BBQテラス
海辺の体験 釣り堤防、親水アクティビティ
スポーツ・交流 多目的グラウンド、公園アート
自然環境 野鳥観察ゾーン
今回の第2回調査では、対象範囲を約7haから約6.3haに具体化し、参考賃借料やインフラ条件を示しました。

事業期間も最長20年から30年へ延長されています。民間事業者が施設整備に必要な初期投資を、より長い期間で回収しやすくするための条件変更とみられます。

課題はアクセスと初期投資



泉北6区先端緑地の大きな課題は、アクセスの不便さと、事業開始までに必要となる投資の大きさです。カフェやレストランだけでは、季節や天候に左右され、年間を通じた集客が難しくなる可能性があります。

温浴、飲食、キャンプ、BBQ、釣り、イベント、自然観察などを組み合わせ、複数の目的で訪れられる施設にできるかが一つの焦点になります。雨天や冬季にも利用できる機能に加え、十分な駐車場、自転車ルート、周辺公園との移動手段も検討課題です。

人工干潟の保全も欠かせません。大阪港湾局は日本野鳥の会との協議を続ける方針で、来訪者を呼び込む施設と、野鳥や水生生物の生息環境を両立させる計画が求められます。

2027年度にも事業者公募へ



大阪港湾局は2026年8月に現地見学会を開き、9月に民間事業者との個別対話と調査結果の公表を予定しています。報道によると、2027年度にも事業者公募を始める方針です。

この事業の中心にあるのは、約20年間止まっていた海辺の公共資産を、民間事業の収益によって維持できる場所へ転換する考え方です。物流や工業施設が集まる臨海部に、人が訪れ、時間を過ごす機能を加える試みでもあります。

立地条件は厳しいものの、海への眺望、夕日、人工干潟、広い敷地は、中心市街地では得にくい資源です。こうした特徴を生かし、この場所を訪れる理由をつくれるかが、泉北6区先端緑地の今後を左右することになりそうです。




出典・参考資料

  • 大阪府「泉北6区先端緑地におけるサウンディング型市場調査」
  • 大阪港湾局「サウンディング型市場調査実施要領」
  • 大阪港湾局「第1回サウンディング型市場調査結果概要」
  • 大阪府「泉北6区緑地整備事業 再評価資料」
  • 国土交通省「みなと緑地PPP」
  • 日刊建設工業新聞
  • 建通新聞
  • X「おもしゃいな泉州」関連投稿

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