御堂筋に路面太陽光パネル。新橋交差点で社会実験「COOL御堂筋×長堀」、道路そのものが発電媒体へ



大阪市は2026年8月3日、御堂筋と長堀通が交差する新橋交差点で、路面設置型の太陽光パネルを活用した社会実験「COOL御堂筋×長堀」を始めました。道路空間で発電した電力を蓄電し、道路情報板を通じて気温や暑さ指数、熱中症の危険度を発信します。実施期間は9月30日までです。

今回の実験は、御堂筋の車道を広範囲に太陽光パネル化するものではありません。新橋交差点北西側の植栽帯に小規模な発電設備を設け、都市中心部の道路空間で再生可能エネルギーをどこまで実用化できるかを検証します。

道路で発電し、その場で暑さを知らせる

路面太陽光パネルで生み出した電力は蓄電池にため、付近の道路情報板へ供給します。情報板には気温や暑さ指数、熱中症の危険度などを表示し、歩行者に注意を促します。
項目 内容
実験名称 COOL御堂筋×長堀
実施期間 2026年8月3日~9月30日
実施場所 新橋交差点北西側の植栽帯
発電設備 路面設置型太陽光パネル
電力の用途 道路情報板、発電量表示など
表示内容 気温、暑さ指数、熱中症の危険度
主な目的 再生可能エネルギーの活用、暑熱対策、道路空間の脱炭素化
大阪市は今回の取り組みを「第1弾 道路空間で暑熱対策」と位置付けています。単に発電量を測定するのではなく、その電力を道路設備に活用し、暑熱対策と情報発信を一体化する点に特徴があります。

一方、パネルの設置面積や最大出力、蓄電池容量、事業費、施工事業者などは公表されていません。実験終了後の常設化や、他地点への展開条件についても現時点では明らかになっていません。

2023年の実証では「都心の日陰」が課題に

 

御堂筋で路面太陽光発電の実験が行われるのは、今回が初めてではありません。2023年11月の「御堂筋チャレンジ2023」では、三津寺町交差点付近の歩道に40センチ四方の太陽光パネル12枚を設置しました。発電した電力で路面のガラス導光板を発光させ、歩きスマホへの注意を表示する取り組みでした。

表示の視認性や注意喚起には一定の効果が確認された一方、発電量は表示設備の消費電力を下回りました。高層ビルの影によって日照時間が限られ、雨天時には十分な発電ができないなど、都心部特有の課題が浮き彫りになりました。
2023年実証で確認された点 内容
設置場所 三津寺町交差点付近の歩道
パネル 40cm角、12枚
用途 歩きスマホへの注意表示
効果 視認性と行動変容を確認
課題 発電量不足、高層ビルの日陰、雨天時の発電低下
今回の実験では、実施時期を夏季に移し、設置場所も新橋交差点へ変更しました。2023年に明らかになった日照条件や発電量の課題を、異なる環境で改めて検証する狙いがあるとみられます。

御堂筋を「発電する都市インフラ」へ



大阪市が2019年に策定した「御堂筋将来ビジョン」では、再生可能エネルギーを活用し、道路そのものを発電媒体とするインフラシステムの構築を掲げています。

御堂筋では、歩道の拡幅や側道の歩行者空間化、自動運転、デジタル技術の導入など、従来の道路機能を超えた再編が進んでいます。今回の路面太陽光も、その延長線上に位置付けられる取り組みです。

背景には、道路分野でも脱炭素化を進める国の政策があります。2025年には改正道路法が公布され、国土交通省は「道路脱炭素化基本方針」を策定しました。道路照明や情報板、センサーなどの電力を現地で発電・蓄電する仕組みは、道路インフラの省エネルギー化に加え、災害時の電源確保にもつながります。

 



もっとも、都心部の路面太陽光は、屋上型太陽光発電に比べて日照条件が厳しく、歩行者や車両に耐える強度、滑りにくさ、排水性、維持管理費なども課題となります。

このため、当面は大規模発電設備としてではなく、情報板やセンサーなど消費電力の小さい道路設備に電力を供給する分散型電源として、どこまで実用性を高められるかが焦点になります。

今回の社会実験は小規模ですが、御堂筋を単なる移動空間から、発電・蓄電・情報発信の機能を備えた都市インフラへ転換する試みです。2023年の実証で明らかになった「都心の日陰」という制約をどこまで克服し、常設化や他地域への展開につなげられるかが注目されます。




出典:大阪市建設局「COOL御堂筋×長堀」、大阪市「御堂筋将来ビジョン」
国土交通省近畿地方整備局「御堂筋チャレンジ2023」関連資料、国土交通省「道路脱炭素化基本方針」

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