閉店・解体予定だった「近鉄パッセ」が異例の再活用へ!名古屋駅再開発の大幅見直しで、地下にテナント再誘致を検討


出展:近鉄百貨店公式

2026年2月28日に営業を終了し、名古屋駅地区再開発に伴って解体される予定だった「近鉄パッセ」に、異例の再活用案が浮上しました。

近鉄グループは、閉店した旧近鉄パッセの建物について、テナント誘致やイベント開催などの商業利用を検討しています。日本経済新聞は、地下部分へのテナント再誘致を検討していると報じました。再開発の着工まで、名古屋駅前のにぎわいを維持する狙いです。

ただし、近鉄パッセの営業再開が正式決定したわけではありません。対象フロア、開業時期、テナント、施設名称などは未定で、現時点では「旧パッセの建物を商業施設として再活用する方向を検討している」という段階です。

近鉄パッセ再活用の最新状況


項目 最新状況
対象施設 旧・近鉄パッセ/近鉄百貨店名古屋店
営業終了 2026年2月28日
当初の予定 名古屋駅地区再開発に伴い建物を解体
最新方針 解体までの商業利用を検討
活用案 テナント誘致、イベント開催など
具体的な動き 日本経済新聞は地下部分へのテナント再誘致を報道
開業時期 未定
対象フロア 未定。地下以外の活用は未確定
施設名称 「近鉄パッセ」を再使用するかは未定
活用期間 再開発着工までとみられるが、着工時期自体が未定
近鉄側は、閉店したまま駅前のにぎわいが失われる状況は望ましくないとして、再開発を主導する名鉄と協議しながら具体的な活用方法を詰める方針です。

閉店から約半年、解体されないビルを使い直す異例の展開

近鉄百貨店名古屋店は、1966年に「近鉄東海ストア名古屋店」として開業しました。1998年3月から「近鉄パッセ」の名称を使用し、若者向けファッションや音楽、書籍、雑貨などを集めた商業施設として親しまれてきました。

しかし、名古屋駅地区再開発の対象区域に含まれたため、2026年2月28日に営業を終了。近鉄パッセとしての28年間の歴史に幕を下ろしました。

本来であれば、閉店後は建物の解体へ進む予定でした。ところが、再開発計画そのものが大幅に見直され、解体時期が未定になりました。駅前の一等地に使用可能な建物だけが残ることになり、閉鎖を続けるよりも、再び商業利用する方が合理的と判断されたとみられます。

背景にある名古屋駅再開発の大幅なスケジュール変更


出展:名古屋鉄道株式会社

名古屋駅地区再開発は、名古屋鉄道、名鉄都市開発、日本生命保険、近畿日本鉄道、近鉄不動産の5者が共同で進めてきた巨大プロジェクトです。
当初計画 内容
対象地 名古屋市中村区名駅一丁目2番ほか
敷地面積 約3万2,700㎡
延床面積 約52万㎡
用途 商業、オフィス、ホテル、鉄道駅、バスターミナル
解体着工 2026年度
新築着工 2027年度
第1期竣工 2033年度
第2期竣工 2040年代前半
延床面積約52万㎡という規模は、単独の超高層ビルではなく、名鉄百貨店、名鉄バスターミナル、近鉄パッセなどを含む名駅南側の街区を一体的に再編する計画でした。

ところが、施工予定者の選定に参加していた企業が、現計画では必要な人材と施工体制を確保できないとして、2025年11月26日に入札を辞退しました。概算工事費と工事期間も、ゼネコン各社と精査した当初想定を大幅に上回る見通しとなり、名鉄は同年12月12日、現計画の再検証と見直しに着手しました。
工程 当初 見直し後
解体着工 2026年度 未定
新築着工 2027年度 未定
第1期竣工 2033年度 未定
第2期竣工 2040年代前半 未定
報道では「白紙」と表現されることもありますが、名鉄の公式発表は、再開発の中止ではなく、現計画の再検証と見直しです。

一方で、解体、新築、完成の全工程が未定になった以上、従来計画をそのまま時間だけ後ろへずらす段階ではありません。事業規模、施設構成、工事方法、施工体制、事業費を含め、再開発の枠組みを再構築する必要があります。

名駅南側は「一斉閉鎖」から「既存ビルの暫定活用」へ転換


名鉄バスターミナルビル(旧・名鉄百貨店本店)に出店するスーパーマーケット「サポーレ」

旧近鉄パッセの再活用は、単独の動きではありません。名鉄は、旧名鉄百貨店本店として使用していた既存ビルにも、新しいテナントを誘致しています。
施設 暫定活用の内容
名鉄ビル 地下1階から地上4階にヨドバシカメラが2026年夏頃開業予定
名鉄バスターミナルビル 地下1階に高品質スーパー「サポーレ」が2026年度冬頃開業予定
旧近鉄パッセ テナント誘致やイベント利用を検討。地下への再誘致案が報道
ヨドバシカメラは最新家電に加え、時計、玩具、スポーツ用品、医薬品、洋菓子などを展開する計画です。サポーレは地下1階の約2,500㎡に出店する予定で、いずれも名駅エリア初出店となります。

名駅南側では当初、既存施設を閉鎖・解体し、巨大複合施設へ一気に建て替えるシナリオが描かれていました。しかし再開発の見通しが立たなくなったことで、現在は既存ストックを再利用し、人流と商業機能を維持しながら新計画を待つ方向へ転換しています。

暫定利用は合理的だが、テナント誘致には難しさもある

旧近鉄パッセの再活用には、都市と事業者の双方にメリットがあります。
観点 期待される効果
駅前のにぎわい 閉鎖区画を減らし、歩行者や買い物客の流れを回復
地下動線 駅や地下街と接続する区画の利便性を回復
資産活用 解体まで遊休化する建物から賃料収入を確保
防犯・景観 長期間シャッターを閉じた状態を回避
再開発との両立 新計画が固まれば撤退できる暫定的な運営が可能
一方、再開発の着工時期が未定であるため、テナント側から見れば「何年間営業できるのか」が読めません。内装や設備に多額の投資が必要な大型店舗ほど、短期間で退去する可能性のある物件には出店しにくくなります。

建物の老朽化対策、消防・空調・電気設備の再稼働、改装費用、テナント契約期間をどう設計するかが、再活用の規模を左右しそうです。そのため、まずは人通りが多く、比較的小規模な店舗を配置しやすい地下部分から再開する案には一定の合理性があります。

Xでは全館再開や旧テナント復活を期待する声

Xでは、地下部分だけでなく全館を再開してほしいという声や、かつて入居していたタワーレコード、星野書店などの復活を望む投稿が確認できます。

その一方で、再開発に備えて閉店した直後に計画が見直され、再びテナントを誘致する展開に対する戸惑いも広がっています。個別投稿であり世論調査ではありませんが、今回のニュースが、名古屋駅再開発の長期化を象徴する出来事として受け止められていることがうかがえます。

近鉄パッセの「復活」ではなく、再開発までの時間を埋める新しい商業施設


出展:Wikipedia

今回の動きを、単純に「近鉄パッセ復活」と捉えるのは早計で、現時点で決まっているのは、旧近鉄パッセの建物について、商業利用を検討しているということです。近鉄百貨店名古屋店の再出店、「近鉄パッセ」の名称復活、従来テナントの再入居は発表されていません。

それでも、一度閉店した商業施設を再び使おうとしている事実は重要です。これは、名古屋駅再開発の遅れが数カ月程度ではなく、既存ビルに新たなテナントを入れる選択肢が成立するほど長期化する可能性を示しています。

名駅南側は、全面解体を待つ「空白期間」から、既存施設を生かして街の機能を維持する「暫定運用期間」へ入りました。

今後の焦点は、旧近鉄パッセの再開時期、利用フロア、誘致テナント、施設名称、営業可能期間です。そして最大の論点は、見直し後の名古屋駅地区再開発が、どのような規模とスケジュールで再始動するのかにあります。




出典

  • 近鉄百貨店「近鉄パッセ閉店のお知らせ」 (近鉄グループホールディングス)
  • 名古屋鉄道「名古屋駅地区再開発計画に関する共同事業者間の事業化の決定及び名鉄名古屋駅再整備計画等について」
  • 名古屋鉄道「名古屋駅地区再開発計画等のスケジュール変更ならびに現計画の再検証および見直し着手について」
  • 東海テレビ「旧近鉄パッセの商業利用を検討」 (FNNプライムオンライン)
  • メ~テレ「近鉄パッセ跡地の再活用を検討」 (名古屋テレビ【メ~テレ】)
  • CBC「テナント誘致やイベントなどで活用へ」 (TBSニュースディグ)
  • 日本経済新聞公式X「地下にテナント再誘致へ」 (X)
  • 名古屋鉄道「名鉄ビルへのヨドバシカメラ出店」 (名鉄)
  • 名古屋鉄道「名鉄バスターミナルビルへのサポーレ出店」 (名鉄)

Visited 4,178 times, 4,178 visit(s) today