USJ隣接・此花西部臨港緑地、残る西側約720mを再公募 東側の大型ホテル開発と連動し桜島ウォーターフロント再編が次段階へ



大阪市などで構成する「此花西部臨港緑地エリア水辺賑わいづくり協議会」は2026年9月9日、此花西部臨港緑地エリアの西側区間を対象とする事業者公募を開始しました。

対象は大阪市此花区桜島1丁目地先、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に隣接する安治川沿いの西側約720mです。水辺遊歩空間の賑わいづくり、舟運などのネットワーク拠点、地域と連携したまちづくりを民間活力で進めます。事業期間は施設等の設置工事着手から最長20年。2026年11月10日に応募を締め切り、12月上旬に事業予定者を決定する予定です。

今回が最初の公募ではありません。2022~2023年の第1回公募では東側のみが事業化され、西側が手つかずで残りました。今回、その残存区間を改めて民間活用に乗せます。

西側約720mを再公募


項目 内容
事業名 此花西部臨港緑地エリア西側区間 水辺賑わいづくり事業
所在地 大阪市此花区桜島1丁目地先
対象 西側区間・約720m
主な事業 水辺遊歩空間、舟運等のネットワーク拠点、地域との連携
事業期間 工事着手から最長20年
募集開始 2026年9月9日
応募締切 2026年11月10日17時
審査 2026年11月20日予定
事業予定者決定 2026年12月上旬予定
協議会が目指しているのは、単なる緑地整備ではありません。USJや周辺ホテルの集客力を水辺へ広げ、中之島方面と夢洲を含むベイエリアを結ぶ舟運も視野に、桜島を「水都大阪」の新たな玄関口へ育てることが大きな狙いです。大阪市も、このエリアを中之島とベイエリアを結ぶ主要な舟運ルートの一角と位置付けています。

前回は東側だけが事業化された



此花西部臨港緑地エリアは安治川右岸に約1,080m続く水辺空間です。大阪市などは2022年11月に最初の事業者公募を開始し、2023年3月、唯一応募した合同会社桜島開発を事業予定者に選定しました。

ただし、合同会社桜島開発が提案したのは全区間ではなく東側エリアでした。提案区域の西側は公募対象に含まれながら事業化されず、そのまま残りました。

当ブログでも2023年3月11日に「Osaka Sakurajima Resort Gate Park」の計画を紹介しています。今回のニュースはその続報であり、東側の事業者決定から約3年半を経て、残る西側の事業化に再挑戦する動きです。

これまでの経緯

時期 動き
2021年12月 水辺賑わいづくり協議会を設立、構想を策定
2022年3月 大阪府が都市・地域再生等利用区域に指定
2022年11月 第1回事業者公募を開始
2023年3月 合同会社桜島開発を選定。東側エリアを事業化
2023~2025年 東側の具体化が進む一方、西側は未事業化
2025年9月 東側で「Osaka Sakurajima Resort GATE PARK 2025 Event」を開催
2025年12月 協議会が西側区間の公募・選定方針を協議
2026年6~7月 審査部会を開催し、西側公募に向け準備
2026年9月9日 西側約720mの事業者公募を開始
2026年11月10日 応募締切予定
2026年12月上旬 事業予定者決定予定
つまり事業は、

全体構想 → 第1回公募 → 東側のみ事業化 → 西側が残存 → 西側を再公募 という段階を踏んできました。

なぜUSJ隣接地なのに西側が残ったのか



USJのすぐ横と聞けば、民間事業者にとって非常に魅力的な場所に見えます。しかし、実際の事業条件は簡単ではありません。

第1回公募前に行われた民間事業者へのヒアリングでは、水辺景観やUSJ、天保山、鉄道駅に近い立地は高く評価された一方、細長い敷地形状、道路側からの視認性、インフラの未整備などが課題として挙げられました。特にインフラについては、事業者側から「民間負担が大きい」との声が多く出ています。

つまり西側は、集客ポテンシャルは高いものの、単独で収益事業を成立させるハードルも高い場所です。前回、隣接地の開発と一体化できる東側だけが提案区域となったことは、こうした条件を考えれば合理的だったといえます。

3年半で周辺環境が大きく変化


出展:IHGホテルズ&リゾーツ/IHG・ANA・ホテルズグループジャパン

ただ、2023年当時と現在では状況が変わりました。

東側の隣接地では合同会社桜島開発による大型ホテル「Osaka Sakurajima Resort」が本格始動しています。日本郵政不動産、鹿島建設、SMFLみらいパートナーズ、京阪神ビルディングが出資し、IHGホテルズ&リゾーツの「インターコンチネンタル」「キンプトン」「ホリデイ・イン」の3ブランドを展開。延床面積は約10万㎡、2029年の開業を予定しています。

合同会社桜島開発はホテルと安治川の間に位置する水辺についても協議会と連携し、桜島エリア全体の賑わい創出を目指す方針です。 加えて夢洲ではIRを核とする国際観光拠点の整備が進んでいます。

前回公募時にはまだ将来構想の色彩が強かった桜島周辺が、USJ+大型ホテル+水辺+夢洲という一つの観光エリアとして輪郭を持ち始めたことが、今回の再公募を考える上で重要な変化です。

「点」の集客を「線」に広げる



此花西部臨港緑地の最大の可能性は、USJという巨大な集客施設がすぐ隣に存在することです。しかし現在は、USJやホテルなどの施設がそれぞれ「点」として存在し、その集客力が安治川沿いへ十分に広がっているとはいえません。東側のホテル開発と水辺整備に続いて西側まで事業化できれば、

USJ ― ホテル群 ― 水辺空間 ― 桜島駅 ― 舟運  を連続した都市空間としてつなげることができます。

大阪市が目指しているのは、USJの隣に新しい公園をつくることではなく、USJの圧倒的な集客力を周辺へ波及させ、桜島を滞在・回遊型のウォーターフロントへ転換することだと考えられます。

まとめ



此花西部臨港緑地の水辺再編は、2022~2023年の最初の公募で東側の事業者が決まりましたが、西側は未事業化のまま残りました。

今回の再公募は、その最後の空白を埋める第2段階です。

西側はインフラや敷地条件から事業化の難易度が高い一方、周辺ではOsaka Sakurajima Resortが本格着工し、夢洲の開発も進んでいます。前回とは事業環境が変わりつつあります。

東側だけだった水辺の賑わいを西へ伸ばし、USJ、ホテル、桜島駅、安治川の舟運を結ぶことができれば、桜島は**「USJへ行くための場所」から、大阪ベイエリアを回遊する拠点へ**と役割を広げる可能性があります。

まず注目したいのは、今回の難しい条件に対してどの事業者が手を挙げ、どのような収益モデルを提示するのかです。2026年12月上旬に予定される事業予定者の決定が、桜島ウォーターフロント再編の次の焦点となります。




出典元

Visited 31,072 times, 31,072 visit(s) today