枚方・長尾で40.7haの大規模開発が始動!物流・産業+商業の新拠点へ、2028年度着工・2034年度完成を想定



大阪府枚方市のJR長尾駅北側で、約40.7haの大規模な土地区画整理事業が動き始めました。

「(仮称)長尾荒阪土地区画整理事業」で、2026年7月11日に地権者による準備組合が発足。鴻池組と物流不動産大手のシーアールイー(CRE)が業務代行予定者となり、事業化を進めています。

計画のポイントは、田畑や山林が中心の長尾駅北側を、物流・産業施設と商業施設を核とする新たな都市拠点へ転換することです。道路、公園、緑地、調整池なども一体整備し、現行計画では2028年度の工事開始、2034年度の完成を想定しています。

長尾荒阪地区の計画概要


項目 内容
事業名 (仮称)長尾荒阪土地区画整理事業
所在地 枚方市長尾荒阪1・2丁目、長尾元町6丁目
面積 約40.7ha
事業主体 地権者による土地区画整理準備組合
業務代行予定者 鴻池組・シーアールイー共同企業体
主な土地利用 物流・産業、商業、文教、自己活用、農地、公園・緑地
商業施設 イオンリテールの進出を想定
現在 測量、土地利用意向確認、事業計画具体化
工事開始 2028年度想定
完成 2034年度想定
準備組合設立には90%を超える地権者が同意しました。現在は測量と個別協議を進め、土地の売却・賃貸・自己利用・営農など、地権者ごとの意向を確認しています。

40.7haを物流・産業+商業の街区へ再編

土地区画整理によって土地を再編し、企業が利用できる大街区と都市基盤を一体的に整備します。
現在 計画後
田畑・山林が中心 物流・産業施設が集積
土地が細分化 企業利用に適した大街区へ再編
既存道路中心 区画道路を新設・拡幅
商業機能が限定的 商業系複合施設を導入
個別の土地転用 用途を定めた計画的な市街地へ
都市基盤が限定的 公園・緑地・調整池を一体整備
土地利用計画案では、北側から中央部に大規模な「産業施設ゾーン」、南側に「次世代複合施設ゾーン」を配置。そのほか文教、農地、自己活用、公園などを組み合わせます。

40.7ha全体を物流施設にするのではなく、物流・産業を中心に商業、既存土地利用、農地、緑地を組み合わせた新しい街区を形成する計画です。

なぜ今、長尾なのか



背景にあるのが、第二京阪道路と新名神高速道路の整備です。

長尾荒阪地区はJR学研都市線・長尾駅に近く、第二京阪道路、新名神高速道路の八幡京田辺JCT・ICにもアクセスしやすい立地です。

高速道路網の整備によって、大阪・京都だけでなく滋賀、中部、京奈和方面への広域輸送にも適した場所となり、物流・産業用地としての可能性が高まっています。

一方、土地の個別転用が進むと、小規模倉庫、駐車場、資材置き場などが点在する土地利用になる可能性があります。

そこで、まとまった区域を土地区画整理によって再編し、産業・商業用地と道路、公園、農地などを計画的に配置するのが今回のプロジェクトです。

誰が、何を目指しているのか

事業は地権者による準備組合を中心に、行政と民間事業者が役割を分担して進めます。
主体 役割・狙い
地権者・準備組合 土地を再編し、利用価値・収益性を高める
枚方市 長尾を中東部地域の広域拠点として整備
大阪府 市街化区域編入など都市計画面を調整
鴻池組 区画整理、造成、都市基盤整備を具体化
CRE 物流・産業施設の企画、企業誘致、土地活用を支援
商業事業者 商業機能を担い、地域の利便性向上につなげる
枚方市は、長尾駅の鉄道アクセスと第二京阪・新名神の道路アクセスを生かし、住宅地・農地を中心としてきた長尾に、産業・雇用・商業機能を加える方向を示しています。

枚方市駅周辺が行政・商業・文化機能を集める一方、長尾駅周辺では産業・物流・商業を軸とする東部の広域拠点という異なる役割が想定されています。

物流施設が事業成立を支える

物流施設には、企業誘致に加えて、土地区画整理の事業費を確保する役割もあります。

土地区画整理では、地権者が土地の一部を「減歩」として提供します。一部を道路や公園に使い、一部を「保留地」として売却。その収入を造成費や補償費などに充てます。

現段階では平均減歩率40%以内を目標とし、公共施設用が約10%、保留地用が30%近くになる想定です。保留地価格についても、物流施設が立地可能な用途地域になることを前提に検討されています。

このため物流・産業施設は、土地利用の中心であると同時に、40.7haの区画整理を事業面から支える重要な要素となっています。

商業施設にはイオンリテールを想定



準備組合の資料では、商業施設の進出予定企業としてイオンリテールが示されています。

ただし、現時点では施設名称、店舗面積、業態、建物規模、開業時期などは公表されていません。

イオンモールの出店が決まったという意味ではなく、現段階ではイオンリテールの進出を想定した商業施設計画です。

枚方・長尾にもたらされる効果


効果 内容
企業誘致 大規模な産業・物流用地を創出
雇用創出 物流、製造、商業、施設管理などの仕事を生む
商業機能強化 長尾周辺の買い物・サービス利便性を向上
都市基盤整備 道路、公園、緑地、雨水対策などを一体整備
乱開発の抑制 小規模倉庫や資材置き場などの点在を防ぐ
土地利用の整理 開発地と農地・緑地を計画的に配置
地域経済への波及 企業投資や雇用、固定資産の増加などが期待される
注目されるのは、住宅地として発展してきた枚方東部に新たな「働く場所」が生まれることです。

物流・産業施設と商業施設が集まれば、雇用だけでなく周辺店舗やサービスへの需要も生まれます。住宅中心だった長尾に産業・商業機能が加わることで、地域内の経済活動が広がる可能性があります。

40.7haだけではない、長尾駅周辺約95haでまちづくり

長尾荒阪地区の周辺でも、複数の土地区画整理が並行して進んでいます。
地区 面積 動向
長尾荒阪地区 約40.7ha 2026年7月準備組合設立
長尾播磨谷地区 約29.8ha 2026年2月準備組合設立
長尾駅東地区 約6.2ha 2026年3月準備組合設立
周辺を含む構想区域 約95ha 広域拠点形成を検討
約95haを一つの事業として開発するわけではありませんが、それぞれの地区で事業が進めば、駅周辺機能、商業・医療、産業・物流などが組み合わさった都市拠点へ発展する可能性があります。

その中で40.7haの長尾荒阪地区は最大のブロックで、産業・物流機能を担う主要プロジェクトに位置付けられます。

課題は増加する自動車交通への対応

物流と商業を組み合わせるため、周辺交通への影響も重要な論点です。

物流施設では1日100台以上のトラック利用が想定され、商業施設を利用する乗用車も加わります。

現在は、物流施設内へのトラック待機スペース設置、商業施設の一方通行化、左折入退場、駐車・待避スペースの確保などが検討されています。

今後は周辺交差点を含めた交通処理や、物流車両、乗用車、歩行者、自転車それぞれの安全な動線をどう確保するかが焦点となります。

今後のタイムテーブル


時期 主な動き
2024年1月 まちづくり検討会設立
2025年3月 鴻池組・CREを事業協力者に選定
2025年4月 覚書締結、事業化検討を本格化
2026年7月 土地区画整理準備組合設立
2026年8月~ 測量、土地利用意向確認
2027~28年度想定 市街化区域編入、用途地域・地区計画など都市計画手続き
2028年度想定 工事開始
その後 造成、道路、公園、調整池などを整備
2034年度想定 事業完成
着工・完成時期は現段階の想定で、都市計画手続き、事業認可、地権者協議などによって変更される可能性があります。

まとめ

長尾荒阪地区では、物流施設だけでなく、商業施設、道路、公園、緑地などを含む40.7haの新たな街区形成が計画されています。

背景にあるのは、第二京阪と新名神の整備によって高まった広域交通の利便性です。これを生かして、住宅地・農地を中心としてきた長尾に産業・雇用・商業という新たな機能を加えることが計画されています。

さらに周辺では複数の土地区画整理が進み、まちづくりの検討範囲は約95haに広がっています。

長尾荒阪40.7haの開発を起点に、長尾駅周辺がどのような都市拠点へ変わっていくのか。今後は都市計画手続きや進出企業、交通対策の具体化が注目されます。




出典・参考

・枚方市「長尾荒阪地区まちづくり」
・枚方市「長尾荒阪地区まちづくりニュース」
・枚方市「長尾駅周辺まちづくり」
・枚方市「令和8年度市政運営方針」
・大阪府「第二京阪沿道まちづくり方針」
・シーアールイー(CRE)関連発表
・日刊建設工業新聞
・LNEWS

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