世界最大の事業用不動産サービス会社のCBREはジャパンリテールマーケットビュー2021年第2四半期を発表しました。
このレビューでは、東京・大阪・名古屋・福岡など国内の主要なハイストリート(高級ブランドの集積地)のマーケット動向を知る事が出来ます。レビューに掲載されているエリアは、東京が銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷、関西では大阪:心斎橋、梅田、京都:四条通、神戸:三宮センター街・元町・旧居留地、名古屋:栄、福岡:天神で、これらのエリアが国内の代表的なハイストリートと位置づけられています。
【出展元】
→ジャパンリテールマーケットビュー 2021年第2四半期
ハイライト
2021年4-6月の全国百貨店売上高は、対前年同期比42.8%増のプラスとなりました。前年同期の緊急事態宣言に伴う、臨時休業や時短営業などの営業自粛の反動によるものです。ただし、期中に3度目の緊急事態宣言が発出されたことから、前々年の同期間と比べると、31.8%減のマイナスとなりました。コロナの影響が続く中引き続き厳しい状況が続いています。
商品別では、ラグジュアリーブランドや高級時計、美術宝飾品などの高額品の売り上げが好調に推移。また、巣ごもり需要関連の家電、高級家具などの商品も好調でした。コロナ禍の影響により厳しい状況が続いていますが、ワクチン接種の進展などによって今後の不透明感が払拭されつつあることから、長期的な視点を持って今から物件を抑えようとしているラグジュアリーブランドが複数みられています。
マーケットビュー
東京
東京・銀座ハイストリートの賃料は、対前期比横ばいの24.30万円(月/坪)になりました。ハイストリートの募集物件では、ラグジュアリーブランドを中心とした複数のリテーラーから引き合いがみられています。銀座ハイストリート空室率は、前期比0.6ポイント下落の5.1%となりました。ラグジュアリーブランドやファッションブランドの需要が空室率を押し下げています。ハイストリートで総じて旺盛な出店ニーズがみられている一方で、セカンダリーエリアにある、空室が長期化している複数の物件では、オー ナーが賃料水準を下げる、または固定+歩合賃料にするなどの柔軟 な姿勢をみせています。ただし、リテーラーの引き合いは弱く、テナントの 決定には時間を要しそうです。また、売上に占めるインバウンドの比率 が高かったテナントの中には、オーナーに対して現在も賃料の減額交 渉をおこなっているところがります。
大阪
大阪・心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比2.1%下落の13.81万円となりました。心斎橋筋商店街を中心に、需給バランスの緩みがみられています。ただし、御堂筋を中心にラグジュアリーブランドからは強い出店ニーズがみられており、心斎橋プライム賃料は4期連続横ばいの25万円となりました。心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比横ばいの8.7%となりました。御堂筋では、心斎橋エリアに路面店舗がないラグジュアリーブランドに よる出店ニーズもみられている。また、長堀通以北の御堂筋にある募 集物件では、高級外車ブランドの出店が内定した事例がありました。
一方、心斎橋筋商店街では、募集物件が増加していおり、オーナーの中には賃料水準を引き下げる動きのほか、コロナ禍の収束までリーシング活動を見合わせる といった動きもみられます。
名古屋
名古屋・栄ハイストリート賃料も、対前期比1.4%下落の7.05万円となりました。高級時計ブランドの出店ニーズがみられているものの、ハイストリートの中でも高級時計の出店エリアからはずれたところでは、出店ニーズが弱含んでいることが主因です。栄ハイストリート空室率は、2期連続横ばいの0.0%となりました。ただし、募集物件は、複数みられています。ハイストリートの大津通にある募集物件では、集約移転のニーズが あった物販ブランドが出店を決めた事例がありました。同じ大津通の別 の募集物件では、時計ブランドから引き合いがみられます。現在 のマーケット環境に鑑み、オーナーは賃料設定に柔軟な姿勢をみせています。
福岡
今期の天神ハイストリート賃料は対前期比4.0%下落の4.75万円( 月 / 坪 )となりました。出店を検討して いたリテーラーが、新型コロナウイルスの感染再拡大によって出店計画に慎重な姿勢を強めたことから、申し込みをキャンセルした事例がありました。ハイストリートでは、アパレル、ファッション小物など複数のリ テーラーの出店ニーズはあるものの、募集物件のオーナーとは賃料目線に大きな乖離があり、契約には至っていません。リテーラーの出店ニーズは弱含んでいるため、全体では賃料相場は下落しています。
この写真に写っているユニクロ旗艦店が閉店したのは寂しいです。心斎橋かいわいは、あれほど乱立していたドラッグストアも次々に店を閉めています。シャッターや空地も目立ちます。跡地に何がくるのでしょうか。
やはり、これからの心斎橋はブランドを中心にした高級な専門店の商店街を目指してほしいです。昔は心斎橋でないと買えない高級品の店が並び、「ここに来ないと目が肥えない」と言われたものです。
ブランドだけでなく、「心斎橋で売っていたから高級品」と言われる昔の商店街に戻ってほしいです。