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JR東海、ホテルアソシア高山リゾートを「ヒルトン高山リゾート」へリブランド 岐阜県初のヒルトン系でインバウンド獲得狙う


出展:ホテルアソシア高山リゾート

JR東海グループは2025年6月11日、岐阜県高山市の「ホテルアソシア高山リゾート」を、世界的ホテルブランド「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」と提携し、2026年秋に「ヒルトン高山リゾート」としてリブランド開業すると発表しました。岐阜県では初のヒルトン系ホテルであり、同社にとっては初めての外資系ブランド導入となります。

このリブランドは、世界的な認知度と集客力を持つヒルトンの会員ネットワークを活用し、高山市のインバウンド需要を本格的に取り込む狙いがあります。運営は引き続き株式会社ジェイアール東海ホテルズ、所有はジェイアール東海不動産が担い、ブランドのみをヒルトンへと切り替えるかたちです。


世界2億人のネットワークで高山を国際観光地へ


出展:ホテルアソシア高山リゾート

JR東海グループが高山でホテルブランドを刷新する背景には、高山市が持つ観光地としての潜在力と、外資系ラグジュアリーホテルの不足があります。高山市は、伝統的な町並みや工芸文化、豊かな自然環境が評価され、近年訪日外国人旅行者からの人気が高まっていましたが、世界的ブランドによる滞在拠点がなかったことが課題でした。

ヒルトンは全世界で2億人を超える会員を持ち、訪日旅行の動機やホテル選定において大きな影響力を持ちます。今回提携により、OTA(オンライン旅行代理店)での視認性や信頼性が格段に向上し、富裕層やリピーターを含む新たな顧客層の獲得が期待されています。

ヒルトンのジョセフ・カイララ日本・韓国・ミクロネシア地区代表は、「自然と伝統が共存する飛騨高山に進出できることを非常に光栄に思います」と述べ、地域文化との融合を強調しました。


客室再編と高付加価値化で富裕層対応を強化


施設の再編では、従来の290室から283室に絞る一方で、スイートルームは2室から5室へと拡充。90㎡の新設スイートが加わるなど、客室の上質化が図られます。さらに、ダイヤモンド会員や上位客室利用者向けの「エグゼクティブラウンジ」やフィットネスジムも新設され、富裕層・長期滞在客に対応できる施設構成となります。

共用施設としては、レストラン、宴会場、温泉棟(大浴場・露天風呂)、ショップも引き続き整備され、リゾートホテルとしての機能を維持しながら、サービス品質の国際基準化が進められます。

内装デザインは橋本夕紀夫デザインスタジオが担当。「Art of Mountain Folk(山の民の美意識)」をコンセプトに、高山の自然や職人文化から着想を得た空間が創出される予定です。


営業スケジュールと改装工程


出展:ホテルアソシア高山リゾート。現在の客室がどの程度リニューアルされる?

ホテルアソシア高山リゾートは、2026年2月から営業を続けながら改装工事に着手し、5月中旬からは全館休業に入ります。リブランド開業は2026年秋を予定しており、価格帯などの詳細は今後発表される見通しです。

建物は鉄骨鉄筋コンクリート造、地上17階・地上12階・地下1階構造、延床面積は約32,560㎡。アクセスはJR高山駅から無料シャトルバスで約8分となっています。


外資との連携で“目的地としての高山”を再定義

出展:ホテルアソシア高山リゾート

JR東海の丹羽俊介社長は会見で、「ヒルトンとの提携により、より多くの方に高山を訪れてもらい、地域の魅力を広く伝えたい」と語りました。本リブランドは、単なる施設改修ではなく、沿線の観光価値向上と鉄道利用促進を両立させるグループ全体戦略の一環です。

実際、鉄道事業単体の収益力に依存してきたJR東海が、観光や非鉄道分野での収益多角化を図る動きは中期経営計画でも明示されています。宿泊施設の国際ブランド化は、その象徴的な試みと位置づけられます。

高山という地域が、ヒルトンという“世界基準の信頼”を得ることで、今後インバウンド観光における「国際滞在地」として新たなステージへ進むことになりそうです。





出典:


  • JR東海・ジェイアール東海不動産・JR東海ホテルズ・ヒルトン 共同プレスリリース(2025年6月11日)

  • 中京テレビNEWS(2025年6月11日)

  • 日本経済新聞(2025年6月11日)

  • JR東海中期経営計画2023–2027年版より再構成

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