2026年夏、広島県廿日市市の宮島口エリアに、星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」が初進出します。施設名は「界 宮島」。瀬戸内海を一望する地上12階建ての宿泊施設で、伝統文化と現代ホスピタリティを融合させた温泉体験を提供します。広島県内での開業は、星野リゾートとして初となります。
宮島口西の海沿いに立地、全室オーシャンビュー設計

界 宮島の所在地は、JR宮島口駅・広電宮島口駅から車で約5分の場所に位置し、対岸に宮島を望む好立地です。建物は地上12階建てで、敷地面積は約3,860㎡、延床面積は約7,830.7㎡。客室は全54室すべてがオーシャンビュー仕様となっており、瀬戸内の島々と穏やかな海を一望できる贅沢な空間が設計されています。
内装には、瀬戸内海の青をモチーフとした色彩が随所に取り入れられ、景色との一体感を演出。さらに敷地内には、宮島とを結ぶ専用桟橋を設け、船でのアクセスも可能となる予定です。
温泉・大浴場──海と山を望む開放的な湯殿
温泉は、敷地内の地下から掘削された冷泉を活用し、宿泊者専用の湯処として運営されます。最上階には2種類の浴場が設けられ、南側の露天風呂からは海、北側の内風呂からは山並みを望むことができます。
内風呂は、湯温の異なる2つの浴槽(あつ湯・ぬる湯)を備えており、気分や体調に応じて使い分けが可能。露天風呂は湯船の縁と海面が視覚的に繋がるように設計されており、「海に浸かるような」感覚を体験できるのが特徴です。
地域文化の再発見──瀬戸内伝統の「石風呂」を再現

界 宮島では、かつて瀬戸内沿岸地域で普及していた「石風呂」を再現。石風呂とは、鎌倉時代に端を発する伝統的な温浴スタイルで、室内の床・壁・天井から発する輻射熱により空間全体を温める構造です。
サウナと異なり、熱が穏やかに体を包み込むため、足元まで均一な温度が保たれ、地面に座っても快適に過ごすことが可能。室内にはござを敷き、ほの暗い静寂の空間で心身をゆっくりと休める設計が施されます。設置場所は、かつての石風呂の習わしに則り、敷地内で最も海に近い位置が選ばれました。
地域競争と期待──宮島口の観光拠点としての役割
「界 宮島」は、星野リゾートが掲げる「王道なのに、あたらしい。」というブランドコンセプトを体現する施設となります。伝統文化を守りながらも、現代の旅の価値観に合わせた体験設計がなされており、宿泊料金は未定ながら、界ブランドの平均価格帯は1泊2食付きで30,000円〜40,000円とされています。
宮島口エリアでは、ヒルトングループの進出も発表されており、国内外の宿泊ブランドが集積し始めています。こうした動きにより、地元では観光消費の拡大や雇用創出といった経済波及効果への期待が高まる一方、宿泊業界における人材確保や需給調整といった課題への懸念も出始めています。
出典元:
・星野リゾート プレスリリース(2025年6月26日)
・広島経済ニュース、中国新聞デジタル(2025年6月26日)
・星野リゾート「界」公式サイト:https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai/