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大丸松坂屋百貨店 店舗別売上ランキング2024年度(2025年2月期)松坂屋名古屋店が首位を堅持、心斎橋店が1000億円を突破!

J.フロントリテイリングは、2025年4月15日に2024年度(2025年2月期)の決算を発表しました。連結総額売上高は1兆1,519億円(前年比15.3%増)、営業利益は430億円(前年比2.2倍)、当期利益は299億円(前年比2.1倍)となり、各利益段階で過去最高を更新しました。

好調の背景には、外商やインバウンドを中心とした百貨店事業の成長と、都市型店舗を軸とした戦略の成果が色濃く反映されています。


店舗名 当期 前期 前年比(%) 来期予想 来期予想
2025年2月期 2024年2月期 2026年2月期 前年比(%)
1 名古屋店(松) 131,635 126,852 3.8 146,220 11.1
2 心斎橋店 115,261 95,731 20.4 120,920 4.9
3 神戸店 98,404 91,849 7.1 102,300 4
4 札幌店 88,253 75,473 16.9 90,880 3
5 東京店 84,513 78,341 7.9 91,820 8.6
6 京都店 78,775 70,532 11.7 80,357 2
7 梅田店 60,031 55,010 9.1 56,260 △6.3
8 上野店(松) 27,319 25,416 7.5 27,890 2.1
9 静岡店(松) 18,376 17,724 3.7 19,540 6.3
10 下関店 7,399 7,816 △5.3 7,300 △1.4
11 須磨店 6,315 6,379 △1.0 6,800 7.7
12 高槻店(松) 5,465 5,441 0.4 5,580 2.1
13 芦屋店 4,246 4,303 △1.3 4,540 6.9
※参考:直営店でない「大丸福岡天神店」の売上高は603億円(前年比+11.5%)

 

心斎橋店が前年比+20.4%の急伸、名古屋店に迫る勢い


2024年度で最も躍進したのが大丸心斎橋店です。売上は1,152億円(前年比+20.4%)となり、ラグジュアリー消費とインバウンド需要を着実に取り込むことで、前年の予想を大きく上回る好成績となりました。来期はやや落ち着いた1,209億円(+4.9%)の見込みながら、今や同店はグループ内で最大の成長エンジンとなっています。

一方、トップの座を守ったのは松坂屋名古屋店です。売上は1,316億円(+3.8%)で、2025年秋に完成予定の全8フロア改装の効果を織り込んだ来期予想は1,462億円(+11.1%)。盤石な基盤を支えに、引き続き安定的な成長を維持しています。


神戸店は3位をキープ、東京・札幌が4位争いで激しく競る


神戸店は984億円(+7.1%)で3位をキープ。堅調な地域消費と外商の厚みに支えられ、来期は1,023億円(+4.0%)が見込まれており、1,000億円クラブ入りが目前に迫っています。

第4位争いは、札幌店(882億円、+16.9%)と東京店(845億円、+7.9%)が熾烈な競り合いを展開。来期は東京店が918億円(+8.6%)、札幌店が**908億円(+3.0%)と逆転が予想され、今後の動向からも目が離せません。


京都店は800億円台に、来期は慎重な見通し


京都店は**788億円(+11.7%)で800億円台に到達。観光復調と高額品ニーズに支えられた成長となりましたが、来期は803億円(+2.0%)**と控えめな予測。万博後の消費反動や地政学的リスクなど、外部要因も見据えた想定となっています。


梅田店は年商600億円を回復、2025年度後半から改装スタート


梅田店は**600億円(+9.1%)と年商600億円を回復。2025年度後半からの大規模改装により、来期は563億円(△6.3%)と一時的な減収が予想されています。梅田地区は阪急うめだ本店が圧倒的な売上を叩き出す一方、大丸・阪神は苦戦を強いられています。梅田店は百貨店業態を適正規模にダウンサイジングを図り、収益改善を目指しており、2030年度には15〜20億円の増益効果が期待され、長期的な高収益体制への転換が見込まれます。


地域中堅店舗の層が厚い、今後の1000億円クラブ候補にも注目

大丸・松坂屋の特徴は、600〜900億円クラスの中堅店舗が充実している点にあります。主要都市店の2024年度売上は以下のとおりです。


  • 神戸店:984億円(+7.1%)

  • 札幌店:882億円(+16.9%)

  • 東京店:845億円(+7.9%)

  • 京都店:788億円(+11.7%)

  • 梅田店:600億円(+9.1%)

それぞれが独自の地域特性を活かした成長を遂げており、特に神戸・札幌・東京は今後の業績次第で1,000億円クラブ入りの可能性を秘めています。


その他中規模・小型店の着実な推移

  • 上野店(松):273億円(+7.5%)、来期279億円(+2.1%)

  • 静岡店(松):183億円(+3.7%)、来期195億円(+6.3%)

  • 高槻店(松):55億円(+0.4%)、来期+2.1%

  • 須磨店:63億円(△1.0%)、来期68億円(+7.7%)

  • 芦屋店:42億円(△1.3%)、来期45億円(+6.9%)

地方店舗では引き続き再構築が進められ、回復の兆しも見え始めています。


【データで見る】店舗別・免税売上高ランキング(2025年2月期)


2025年2月期における大丸・松坂屋百貨店の免税売上高は、1,208億円に達し、前年同期比で79.3%の大幅増となりました。売上全体に占める免税売上のシェアは16.6%。訪日観光の本格回復とラグジュアリー需要の再燃により、百貨店におけるインバウンド消費の比重が再び拡大しています。

なかでも、大丸福岡天神店は特筆に値します。2025年2月期の全体売上高は603億円(前年比+11.5%)と堅調に成長。うち免税売上高は約97億円(9,696百万円)で、売上全体の17.9%を占める高水準となっており、九州におけるインバウンド消費の拠点としてのポジションを明確にしています。



 
店舗名 免税売上高(百万円) 前年比増減率(%) 売上に占めるシェア(%)
大丸心斎橋店 49,873 +58.9 43.3
大丸札幌店 18,647 +102.1 21.1
大丸京都店 17,921 +107.8 22.8
大丸福岡天神店 9,696 +11.5 17.9
大丸東京店 9,389 +65.6 11.1
大丸神戸店 8,032 +87.6 8.2
松坂屋名古屋店 7,979 +128.8 6.1
大丸梅田店 7,726 +98.5 12.9
松坂屋上野店 996 +44.9 3.6
松坂屋静岡店 183 +98.3 1.0
大丸下関店 31 +74.7 0.4

百貨店にも“都市格差” 好調な都市型 vs 苦戦続く地方型


東京・大阪・名古屋・札幌・福岡などの大都市型百貨店は、人口集中、インバウンド需要、都市ブランド、ラグジュアリー消費の厚みに支えられ、継続的な改装投資や体験設計によって好調を維持しています。

一方、地方百貨店では、商圏縮小・高齢化・施設老朽化といった構造的課題に直面しており、撤退や縮小が相次いでいます。都市の経済圏力=百貨店の成否という構図が、業界全体の二極化をさらに鮮明にしています。


大丸・松坂屋が体現する“勝てる立地×勝てる戦略”

J.フロントリテイリングは、都市百貨店の特性を最大限に活かすかたちで事業戦略を遂行しています。都心の好立地に大型旗艦店を構え、外商・インバウンド・高額品・改装投資を軸に成長を実現してきました。

そして今回の好業績は、まさに「勝てる立地で、勝てる戦略を着実に実行した結果」といえます。都市の地力と企業の戦略遂行力が合致したとき、百貨店は今なお成長事業となり得ることを証明しました。


【総括】都市と共振する百貨店の未来、大丸・松坂屋が示した新スタンダード


2024年度のJ.フロントリテイリングは、百貨店業界の“復権可能性”を証明した一年となりました。心斎橋の大躍進、神戸・札幌・東京の台頭、名古屋・梅田の戦略投資などを通じて、都市消費との共振が新たな成長曲線を描きつつあります。2025年の大阪・関西万博を起点に、CRM強化やインバウンド施策の本格化も期待されており、大丸・松坂屋の動向は*次の百貨店モデル”を示す試金石として注目され続けることでしょう。

1 COMMENT

アリー my dear

大丸心斎橋店の対前年比の伸び率は凄いですね、ダントツ!
あの名古屋・栄の松坂屋に肉薄する勢いに驚きです。

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