大丸松坂屋百貨店 PARCO 店舗別売上ランキング2025年度(2026年2月期)名古屋・心斎橋・神戸が1000億円超え、来期は梅田改装が最大焦点に

J.フロント リテイリングの2026年2月期決算は、総額売上高が1兆2,904億円、売上収益が4,450億円となり、ともに前期を上回りました。一方で、事業利益は505億円、営業利益は490億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は282億円と、利益面は減益でした。ただ、10月公表値との比較では事業利益、営業利益、最終利益はいずれも上振れており、見た目ほど弱い決算ではありません。年間配当も54円と2円増配でした。

今回の決算で鮮明になったのは、J.フロントが百貨店単体ではなく、PARCO、不動産、金融を含む複合型ポートフォリオで稼ぐ企業だという点です。2026年2月期は百貨店が増収減益、SCが増収増益。2027年2月期は百貨店減益を見込む一方、他事業の伸びで連結増収・事業利益増を計画しています。

今期は増収、利益は「一過性要因の反動」と「コスト増」が重い

2026年2月期の連結業績をコンパクトに整理すると、以下の通りです。営業利益や最終利益の減少幅が大きいのは、前期の一過性利益の反動があったためで、本業の稼ぐ力を示す事業利益の減益幅はそれより小さくなっています。


項目 2026年2月期 前期比 見方
総額売上高 1兆2,904億円 +1.7% 増収
売上収益 4,450億円 +0.7% 連結ベースでも増収
販売管理費 1,648億円 +3.6% コスト増が重荷
事業利益 505億円 △5.4% 本業利益は減益
営業利益 490億円 △15.8% 一過性利益の反動が影響
親会社株主帰属当期利益 282億円 △31.7% 最終利益は反動減が大きい

百貨店事業について会社は「堅調な富裕層消費や大阪万博効果などで増収も、値上げ等のコスト増により減益」と説明しています。大丸松坂屋百貨店の販管費も1,260億円で前期比4.3%増となりました。連結全体でも販管費は1,648億円まで膨らんでおり、売上を確保しても利益が伸びにくい構図がはっきり出ています。

大丸松坂屋の強みは「突出した1店」ではなく「崩れにくい店群構成」

大丸松坂屋百貨店の店舗別売上高を見ると、1000億円超が名古屋、心斎橋、神戸の3店、その下に札幌、東京、京都、梅田と600〜900億円級の主力店が並びます。首都圏偏重ではなく、有力店が名古屋、関西、札幌、東京に分散している点が強みです。

今期は梅田、神戸、名古屋が増収、心斎橋、東京、京都、札幌は減収でしたが、直営店合計では0.5%増収を確保しました。1店の失速が全体の失速につながりにくい、分散型ポートフォリオの強さが表れています。

【実績】2025年度(2026年2月期) 店舗別売上高


順位 店舗 2026年2月期 2025年2月期 前年差額 前年比
1 松坂屋名古屋店 137,091 131,635 5,456 4.1%
2 大丸心斎橋店 113,812 115,261 △1,449 △1.3%
3 大丸神戸店 101,732 98,404 3,328 3.4%
4 大丸札幌店 87,518 88,253 △735 △0.8%
5 大丸東京店 84,315 84,513 △198 △0.2%
6 大丸京都店 73,684 78,775 △5,091 △6.5%
7 大丸梅田店 62,629 60,031 2,598 4.3%
8 松坂屋上野店 27,056 27,319 △263 △1.0%
9 松坂屋静岡店 18,476 18,376 100 0.5%
10 大丸下関店 6,863 7,399 △536 △7.3%
11 大丸須磨店 6,336 6,315 21 0.3%
12 松坂屋高槻店 5,469 5,465 4 0.1%
13 大丸芦屋店 4,376 4,246 130 3.1%
※単位:100万円

万博効果はあったが、免税は中国客減で逆風だった

百貨店事業は、大阪・関西万博による来訪者増もあって増収を確保しました。もっとも効果は一様ではなく、梅田店は前期比4.3%増、神戸店は3.4%増だった一方、京都店は6.5%減でした。

免税は逆風で、会社は12月以降の中国人訪日客減少により、百貨店事業の免税売上が前年から約200億円減の1,105億円になったと説明しています。大丸松坂屋百貨店ベースでも1,046億円で前期比13.4%減でした。

店別では心斎橋店が451.33億円で突出し、札幌店、京都店が続きます。万博の追い風はあったものの、それだけで免税減速を埋める局面ではなく、今期は外商や国内富裕層需要、主力店の厚みで全体の増収を維持したと見るのが自然です。
順位 店舗 免税売上高 前年比 売上シェア
1 大丸心斎橋店 45,133 △9.5% 39.7%
2 大丸札幌店 15,300 △17.9% 17.5%
3 大丸京都店 14,053 △21.6% 19.1%
4 大丸神戸店 8,426 4.9% 8.3%
5 大丸梅田店 7,920 2.5% 12.6%
6 大丸東京店 6,987 △25.6% 8.3%
7 松坂屋名古屋店 5,596 △29.9% 4.1%
8 松坂屋上野店 1,047 5.1% 3.9%
9 松坂屋静岡店 109 △40.4% 0.6%
10 大丸下関店 35 12.2% 0.5%
合計:104,611百万円、前年比△13.4%。売上シェアは各店売上高に占める免税売上高の構成比。

百貨店の主要7店舗をどう見るか



主力7店を個別に見ると、大丸松坂屋の強みは「突出した1店」ではなく、役割の異なる有力店が各地に分散していることにあると分かります。来期は、梅田店の大幅減収を他の主力店がどこまで補えるかが最大の見どころです。
No. 店舗 2026年2月期売上高 2027年2月期予想 店の位置づけ・注目点
1 松坂屋名古屋店 1,370.91億円 +4.8% 7店中トップの最大店。上期に本館改装が概ね完了し、下期の伸びが強まりました。首都圏でも関西でもない中京圏に最大店を持つこと自体が、大丸松坂屋の分散型ポートフォリオを象徴しています。安定感のある稼ぎ頭です。
2 大丸心斎橋店 1,138.12億円 +11.0% 免税の中核を担う旗艦店で、来期は開業300周年イベントも追い風になります。今期は減収でしたが、来期は大幅増収計画で、J.フロント全体の来期シナリオを左右する最重要店舗の一つです。
3 大丸神戸店 1,017.32億円 +9.8% 1000億円超の主力店で、関西圏の中では比較的バランス型です。地元需要と来訪需要の両方を取り込める店と見られ、梅田改装による落ち込みを補う役割を強く期待されています。
4 大丸札幌店 875.18億円 +4.1% 北海道という独立した商圏を持つ主力店で、関西や首都圏とは異なる需要源を確保しているのが強みです。免税売上も大きく、J.フロント全体の地域分散を支える重要な店舗です。
5 大丸東京店 843.15億円 +6.9% 首都圏の主力店ですが、J.フロント全体は東京依存ではなく、その一角を担う位置づけです。来期は心斎橋、神戸、名古屋などと並び、梅田減収を補う役割を担うことになります。
6 大丸京都店 736.84億円 +4.2% 観光都市・京都を代表する店舗ですが、今期は7店の中で最も弱い動きでした。関西万博の恩恵を十分に取り込めず、対中インバウンド減速の影響を強く受けた店舗とみられます。来期は回復を見込むものの、注視が必要です。
7 大丸梅田店 626.29億円 △40.3% 今期は健闘したものの、来期は大型改装に伴うフロア閉鎖の影響で大幅減収予想です。会社も梅田店の利益押し下げを明示しており、来期全体の最大論点は、この店の穴を他店でどこまで埋め切れるかにあります。

PARCOは引き続き好調。百貨店の弱さを補う、もう一つの成長エンジン

SC事業、つまりPARCOは2026年2月期も好調でした。総額売上高は3,547億円で前期比6.6%増、売上収益は672億円で4.4%増、事業利益は140億円で9.9%増です。会社は、IPコンテンツ拡充などの戦略効果により、国内顧客に加えてインバウンド取扱高も好調が続いたと説明しています。百貨店が免税減速やコスト増で利益を圧迫されたのに対し、PARCOは改装とコンテンツで伸ばし、J.フロント全体を支える役割を果たしました。

店舗別では、渋谷PARCOが509.16億円で首位、名古屋PARCOが408.92億円、心斎橋PARCOが394.12億円で続きます。上位は都市型旗艦店が占めますが、浦和、池袋、福岡、仙台なども積み上がっており、一部店舗への依存が強すぎない点も特徴です。既存店合計でも7.9%増と強く、百貨店の弱さを補う成長エンジンであり続けています。


順位 店舗 売上高 前年比
1 渋谷PARCO 50,916 15.8%
2 名古屋PARCO 40,892 13.7%
3 心斎橋PARCO 39,412 3.7%
4 浦和PARCO 33,422 5.9%
5 池袋PARCO 29,028 1.0%
6 福岡PARCO 28,651 5.0%
7 仙台PARCO 23,699 13.2%
8 調布PARCO 20,002 3.5%
9 札幌PARCO 17,984 8.0%
10 広島PARCO 13,843 0.3%
11 錦糸町PARCO 12,045 6.6%
12 PARCO_ya上野 10,955 16.8%
13 吉祥寺PARCO 9,265 9.8%
14 静岡PARCO 8,322 1.6%
15 ひばりが丘PARCO 7,114 4.3%
来期も会社はSC事業を増収増益の柱と位置づけており、総額売上高3,843億円、売上収益724億円、事業利益145億円を計画しています。店舗別の来期予想金額は開示されていませんが、少なくとも会社の前提は、PARCOの成長継続です。

来期予想はかなり強気。梅田の大幅減収を他店とPARCOで埋める前提



来期のJ.フロントは、連結で総額売上高1兆3,470億円、売上収益4,690億円、事業利益520億円を見込んでいます。営業利益は470億円と減益計画ですが、売上と事業利益は増加を想定しており、百貨店事業単体でも増収計画です。かなり強気な数字で、百貨店に加え、PARCO、不動産、金融の伸びを前提にした計画と言えます。

ただし、その前提は簡単ではありません。会社は、梅田店改装や万博反動の影響がある中でも、外商強化や改装効果で増収を見込む一方、減益要因として梅田店の利益押し下げに加え、人件費やシステム費の増加を挙げています。主力7店の来期予想でも、最大の論点は梅田店の40.3%減収であり、他店の増収でどこまで補えるかが焦点です。

【予想】2025年度(2027年2月期) 店舗別売上高


順位 店舗 2027年2月期予想 2026年2月期実績 前年差額 前年比
1 松坂屋名古屋店 143,740 137,091 6,649 4.8%
2 大丸心斎橋店 126,330 113,812 12,518 11.0%
3 大丸神戸店 111,660 101,732 9,928 9.8%
4 大丸札幌店 91,140 87,518 3,622 4.1%
5 大丸東京店 90,160 84,315 5,845 6.9%
6 大丸京都店 76,760 73,684 3,076 4.2%
7 大丸梅田店 37,360 62,629 △25,269 △40.3%
8 松坂屋上野店 27,680 27,056 624 2.3%
9 松坂屋静岡店 19,140 18,476 664 3.6%
10 大丸下関店 7,130 6,863 267 3.9%
11 大丸須磨店 6,860 6,336 524 8.3%
12 高槻店 5,760 5,469 291 5.3%
13 大丸芦屋店 4,940 4,376 564 12.9%
※単位:100万円

焦点は一つ。梅田店改装の穴を、本当に埋め切れるか



来期のJ.フロントを見るうえでの論点は明快です。中国客減や国際情勢リスク、万博反動が残る中でも、会社は心斎橋、神戸、東京、名古屋などの主力店と、PARCO、不動産、金融の伸びを組み合わせることで、梅田店改装による大幅減収を吸収できると見込んでいます。

その成否を分けるのは、百貨店1店の瞬間最大風速ではありません。1000億円級が3店、その下に600〜900億円級の主力店が複数並ぶ大丸松坂屋の「厚い店群」と、百貨店の弱さを補うPARCOの継続成長。この二つがどこまで機能するのかが、J.フロントの来期を占う最大の焦点です。




出典

  • J.フロント リテイリング株式会社「2026年2月期 決算説明会資料」
  • J.フロント リテイリング株式会社「2026年2月期 業績説明資料」

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