高島屋 店舗別売上ランキング2025年度(2026年2月期)大阪店が3年連続トップ、インバウンド反動を国内需要で埋めなんとか踏ん張る【2025年度決算】



髙島屋の2026年2月期決算は、最終赤字という見出しだけで読むと実態を外しやすい内容でした。連結総額営業収益は1兆323億円と前年並みを確保し、営業利益535億円、事業利益596億円、経常利益569億円はいずれも計画を上回って着地しました。

親会社株主に帰属する当期純利益は82億円の赤字でしたが、これはCB買入消却に伴う特別損失が主因です。中身を見ると、前年のインバウンド特需の反動を受けながらも、国内顧客の底堅さで売上を支え、本業の収益力は維持された決算でした。

最終赤字でも、本業は想定以上に踏ん張った

今期の特徴は、最終損益は赤字でも、本業指標は会社計画を上回ったことにあります。会社側は、CB買入消却に伴う特別損失の影響を除けば、純利益は昨年10月時点の計画400億円を上回る水準だったと説明しています。


項目 2026年2月期実績 前年比 計画比・評価
連結総額営業収益 1兆323億円 横ばい圏 前年並みを確保
営業利益 535億円 40億円減 計画超過
事業利益 596億円 37億円減 計画超過
経常利益 569億円 35億円減 計画超過
親会社株主に帰属する当期純利益 △82億円 477億円悪化 CB買入消却の特損が主因
単体ベースでも、総額営業収益は8,327億円、総額売上高は8,167億円と、ともに前年比0.3%減にとどまりました。一方、営業利益は241億円で11.9%減でした。売上は大きく崩れていない一方で、利益面は前年の高収益だったインバウンド構成の反動や費用増の影響を受けた構図です。

国内百貨店は、インバウンド反動を国内需要で埋めた

国内百貨店業は、インバウンドの反動減が続くなかでも、国内顧客の伸びで全体を下支えしました。総額営業収益、営業利益とも会社計画を上回っており、売上の質は前年ほどではなくても、事業としては想定以上に踏ん張ったと評価できます。


項目 2026年2月期実績 前年比 ポイント
総額営業収益 8,502億円 △1.0% 計画比では+1.7%
営業利益 249億円 △37億円 計画比では+18億円
既存店総売上高 +1% 下期は+5%まで回復
国内顧客売上 +4% 下期は+6%
インバウンド売上 △18% 中国は△25%

前年までの訪日特需の反動でインバウンド売上は落ちたものの、国内顧客の増加がその穴を埋め、国内百貨店全体としては計画超過で着地した、というのが今期の実像です。

店舗別売上ランキング 主力5店舗はどうだった?

2026年2月期の主力5店舗の売上高は、1位が大阪店1,799億円、2位が日本橋店1,584億円、3位が横浜店1,436億円、4位が京都店1,106億円、5位が新宿店978億円でした。順位自体は大きく変わっていませんが、前年との比較や入店客数まで見ると、店舗ごとの強弱はかなり明確です。

【実績】2025年度(2026年2月期) 店舗別売上高


順位 店舗 2026年2月期 2025年2月期 前年差額 前年比
参考 JR名古屋タカシマヤ 2,224億4,000万円 約2,154億円 +70億4,000万円 +3.3%
1 大阪店 1,799億2,600万円 約1,810億1,200万円 約△10億8,600万円 △0.6%
2 日本橋店 1,584億2,900万円 約1,605億1,600万円 約△20億8,700万円 △1.3%
3 横浜店 1,436億3,600万円 約1,423億5,500万円 約+12億8,100万円 +0.9%
4 京都店 1,106億5,800万円 約1,115億5,000万円 約△8億9,200万円 △0.8%
5 新宿店 978億800万円 約1,000億800万円 約△22億100万円 △2.2%
6 玉川店 508億2,900万円 約480億4,300万円 約+27億8,600万円 +5.8%
7 柏店 333億4,300万円 約336億8,000万円 約△3億3,700万円 △1.0%
8 岡山髙島屋 167億5,100万円 約169億7,200万円 約△2億2,100万円 △1.3%
9 高崎髙島屋 166億6,400万円 約167億3,100万円 約△6,700万円 △0.4%
10 泉北店 144億8,200万円 約147億1,800万円 約△2億3,600万円 △1.6%
11 EC店 116億2,200万円 約104億7,000万円 約+11億5,200万円 +11.0%
12 堺店 90億7,600万円 約101億5,200万円 約△10億7,600万円 △10.6%
13 大宮店 69億4,300万円 約67億6,700万円 約+1億7,600万円 +2.6%
※ジェイアール名古屋タカシマヤは、ゲートタワーモールを含む合算売上高。集計期間は2025.3~2026.2。



※なお「ジェイアール名古屋タカシマヤ」は髙島屋の連結子会社ではないものの、グループ内で売上トップを誇り、2025年度には2,224億4,000万円(前年比+3.3%増)を記録し、タカシマヤブランド全店のトップに君臨しています。

1位 大阪店 売上首位を維持したが、伸びは抑制


大阪店は1,799億円で前年比0.6%減でしたが、入店客数は7.5%増でした。人流は大きく増えている一方、売上はわずかに前年を下回っています。前年のインバウンド特需の反動が残ったことに加え、中国向け需要の鈍化が単価面を押し下げたとみるのが自然です。売上首位は維持したものの、今期は強い集客を売上成長に転換し切れなかった店舗でもありました。

来季計画は1,802億円で0.2%増です。首位維持の見通しですが、伸び率はかなり控えめです。関西圏は来訪者増の反動も意識されているとみられ、計画の置き方は慎重です。


2位 日本橋店 東京都心主力店としての強さは維持

出展:https://www.chuo-kanko.or.jp/

日本橋店は1,584億円で前年比1.3%減、入店客数は0.3%増でした。客数はほぼ維持したものの、売上は微減でした。東京の都心旗艦店としての集客力は落ちていませんが、前年の高額消費の反動を受けた形です。都心型の大型店らしく、来店はあるが売上単価が前年ほど伸びなかったことが数字に表れています。

来季計画は1,627億円で2.7%増です。反動減の一巡と国内需要の継続を前提に、持ち直しを見込む計画と言えます。


3位 横浜店 主力店で最も安定感があった


出展:https://www.tripadvisor.jp/

横浜店は1,436億円で前年比0.9%増、入店客数も0.5%増でした。主力5店舗のなかで、今期にきれいに増収を確保した数少ない大型店です。大阪、日本橋、京都、新宿がいずれも微減だったのに対し、横浜は売上・客数ともにプラスで着地しており、今期の主力店のなかでは最も安定感がありました。

来季計画は1,521億円で5.9%増です。会社側が横浜店を成長余地の大きい店舗と見ていることがうかがえます。今期実績と来季計画が最も素直につながっている店舗です。


4位 京都店 客数増でも売上は微減

京都店は1,106億円で前年比0.8%減、入店客数は1.3%増でした。大阪店に近い動きで、来店需要は増えている一方、売上はわずかに前年を下回りました。関西圏への来訪者増は取り込めた一方、前年インバウンドの反動や中国向け需要の鈍化が売上の伸びを抑えたとみられます。なお、京都店の数値には洛西店が含まれています。

来季計画は1,131億円で2.2%増です。増収計画ではあるものの、横浜店や新宿店ほど強気ではありません。大阪店と同様、関西主力店は慎重な見通しです。


5位 新宿店 今期は苦戦、来季は最も強い回復計画

新宿店は978億円で前年比2.2%減、入店客数も0.7%減でした。主力5店舗のなかでは今期の減収率が最も大きく、客数もマイナスでした。都心主力店のなかでは、今期の苦戦が比較的はっきり出た店舗です。

ただし、来季計画は1,041億円で6.4%増と、5店舗の中で最も強い伸びを見込んでいます。今期の反動が大きかった分、来季は回復余地が大きいと会社が見ていることが数字に表れています。

なぜこの数字になったのか?

今期の店舗別実績を読むうえで重要なのは、人流は戻ったが、前年のインバウンド特需ほど単価は伸びなかったという点です。全社ベースでは国内顧客が4%増だった一方、インバウンドは18%減、中国は25%減でした。特に大阪、日本橋、京都のような大型都心店は、国内需要だけでなく訪日客需要の変動も受けやすいため、客数が増えても売上は微減にとどまるという現象が起きやすかったと考えられます。

もうひとつはコスト管理です。国内百貨店業の販管費は、人的資本投資や営業力強化、物価高の影響があるなかでもコスト削減を進め、計画を6億円下回りました。売上が大きく伸びなくても利益計画を上回れた背景には、この費用コントロールがあります。

来期はどうなる?



2027年2月期の会社計画は、増収増益を見込む一方で、前提はかなり慎重です。国内百貨店では国内顧客の伸びを見込む一方、インバウンドは引き続き減少を前提としており、地政学リスクや物価高も織り込んでいます。つまり来季は、強い追い風を前提にした計画ではなく、外部環境の不透明さを踏まえた現実的な数字といえます。
項目 2027年2月期計画 前年比 読み方
連結総額営業収益 1兆550億円 +2.2% 増収計画だが強気すぎない
営業利益 575億円 +40億円 販管費抑制で増益を見込む
事業利益 643億円 +47億円 ベトナム事業の配当増も寄与
経常利益 570億円 +1億円 支払利息増で伸びは限定的
親会社株主に帰属する当期純利益 380億円 +462億円 前年特損の反動で大幅改善
国内顧客売上(既存店) +6% 来期の主な成長ドライバー
インバウンド売上 △11% 反動継続を会社が想定
大阪店 1,802億円 +0.2% 関西主力店は慎重計画
日本橋店 1,627億円 +2.7% 都心旗艦店は持ち直し想定
横浜店 1,521億円 +5.9% 主力店の中では強気
京都店 1,131億円 +2.2% 大阪店同様に抑制的
新宿店 1,041億円 +6.4% 今期反動減からの回復狙い
主力5店舗を並べると、横浜店と新宿店は強め、日本橋店は持ち直し、大阪店と京都店は慎重という構図です。会社は国内百貨店の販管費計画でも、地政学リスクの高まりに伴う物価高を織り込み、海外百貨店でも中東情勢が為替・物価・消費に与える影響を注視するとしています。来季は、国内需要を軸に回復を積み上げつつ、インバウンドや外部要因は保守的に見ている一年になりそうです。

【予想】2025年度(2027年2月期) 店舗別売上高


順位 店舗 2026年2月期実績 2027年2月期予想 前年比
1 大阪店 1,799億2,600万円 1,802億円 +0.2%
2 日本橋店 1,584億2,900万円 1,627億円 +2.7%
3 横浜店 1,436億3,600万円 1,521億円 +5.9%
4 京都店 1,106億5,800万円 1,131億円 +2.2%
5 新宿店 978億800万円 1,041億円 +6.4%
6 玉川店 508億2,900万円 501億円 △1.4%
7 柏店 333億4,300万円 354億円 +6.2%
8 岡山髙島屋 167億5,100万円 171億円 +2.1%
9 高崎髙島屋 166億6,400万円 174億円 +4.4%
10 泉北店 144億8,200万円 160億円 +10.5%
11 EC店 116億2,200万円 125億円 +7.5%
12 大宮店 69億4,300万円 72億円 +3.7%
堺店 90億7,600万円

まとめ

今回の髙島屋決算は、全体数字だけ見れば最終赤字ですが、中身はかなり違います。国内顧客が4%増と踏ん張り、国内百貨店業は計画超過で着地しました。店舗別では、大阪、日本橋、横浜、京都、新宿の順で売上を確保し、横浜店が最も安定、新宿店は今期苦戦から来季回復狙い、大阪店と京都店は高水準を維持しながら慎重な来季計画という構図です。

今回の決算は、どの店が強かったかだけでなく、前年の特殊な追い風が剥落したあと、どの店が実力で売上を維持できたかを見る決算だったと言えます。






出典

  • 髙島屋「2026年2月期 決算補足資料」
  • 髙島屋「2026年2月期(2025年度)決算説明会資料」

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