大阪が世界18位でベスト20入り。JLLが2020年1-9月期世界の商業用不動産投資額を発表

 


出展:JLL 日本リサーチ

大阪が世界18位でベスト20入り。総合不動産サービス大手のJLL社(ジョーンズ ラング ラサール株式会社)は2020年1-9月期世界の商業用不動産投資額を発表しました。

世界の都市別ランキングでは、東京の不動産投資額が194億ドルで上半期に続いて2020年1-9月期ランキングでも1位となりました。以下、2位ソウル(142億ドル)、3位がロンドン(134億ドル)、4位パリ、5位ニューヨークの順で続きます。また大阪が投資額45億ドルで18位となり世界ベスト20に入りました。

【出展元】
ジャパン キャピタル フロー 2020年第3四半期

 

 

 


出展:JLL 日本リサーチ

1-9月期の世界の商業用不動産投資額は、前年同期比33%減の4,790億ドル、3Qの投資額は前年同期比44%減の1,490億ドルとなりました。地域別でみると、アメリカ大陸の1-9月期の投資額は44%減2,070億ドル、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)の投資額は17%減1,760億ドル、アジア太平洋地域の投資額は28%減950億ドルでした。

アジア太平洋地域は、中国や韓国などの経済活動が他国と比べて早い段階から新型コロナウイルスの影響から回復基調にあったことから投資活動が若干回復しました。EMEAも同様にドイツの投資活動が地域全体の投資額をけん引しました。

 

 

オフィスが減少し物流施設が大幅アップ


出展:JLL 日本リサーチ

日本での分類別投の資額割合を2020年1-9月期で見ると、オフィスの投資額割合が31%で2019年通年の40%と比較して減少しています。一方で物流施設の投資割合は30%とオフィスに迫る高い割合となりました。これらの数字の動きはコロナ禍の影響が大きく、リモートワークなどの状況変化に伴うオフィス需要の減少や巣ごもり需要の増加に伴う通販市場の拡大に伴う物流施設への需要の高まりをそのまま反映しています。

 

 

首都圏の比率は67%


出展:JLL 日本リサーチ

地域別投資額割合では、2020年1-9月期の東京都心5区の投資額割合は29%となりました。過去の水準と比較して割合が減少しておりオフィス需要の減少による為と推測されます。一方で、物流施設の取引増加により、千葉・埼玉・神奈川からなる東京圏(東京都除く)は27%と割合が増加しました。

新型コロナウイルスの社会経済への影響は続いていますが、不動産投資市場は物流施設やレジデンシャルを中心に再び活況を呈しています。
オフィスについても1-9月期では投資額割合は減少していますが潜在的な需要は高く、今後事業法人による売却案件の増加などにより投資額は増加すると考えられます。

 

 

コロナ禍で海外勢の投資が拡大


出展:JLL 日本リサーチ

日本企業や日本の投資家による海外の不動産投資であるアウトバウンド投資は2020年1-9月期は8.84億https://www.joneslanglasalle.co.jp/ドルと前年と比較して大幅に減少しました。一方、海外投資家による不動産の購入であるインバウンド投資は、2020年1-9月期では1兆3,268億円となり、既に2019年通年の投資額を上回っています。また国内の不動産投資額に占めるインバウンド投資の割合は38%で、過去の通年の割合を上回っています。

新型コロナウイルスという危機下にあって、日本は欧米各国に比べ相対的に影響が軽微であることや経済の規模・安定性の点から関心が高まっており、日本の不動産への投資資金流入はますます拡大すると予想されています。海外投資家は東京圏以外にも大阪や名古屋のオフィスや物流施設、レジデンシャルなど幅広いセクターに投資しており、新型コロナの影響が相対的に軽微で社会経済の安定している日本の不動産に対する関心の高さがうかがえます。

 

 

海外勢が大阪に投資する理由



大阪はインバウンド需要等の追い風などを受け世界の都市活力ランキング「2019年版シティ モメンタム インデックス」の商業用不動産の指標で大阪が世界1位になりました。インバウンド需要の高まり、G20の開催、さらに2025年の万国博覧会の開催地に決定したことで、海外での知名度が向上し、万博開催によるインフラ整備・再開発の増加が見込まれる事から大阪が有望な投資先である事が認知されつつあります。また、今期については諸外国に比べコロナ禍の影響が相対的に少ない事などから、大阪が投資額で18位となり世界ベスト20入りを果たす事ができました。

 

世界の都市活力ランキング「2019年版シティ モメンタム インデックス」の商業用不動産の指標で大阪が世界1位に!



 

千載一遇のチャンスを掴めるか



大阪は今、世界都市の入り口に立っています。香港情勢の変化に呼応する国際金融都市構想に加え、海外に比べ相対的に低いコロナ禍の影響により海外から有望な投資先として認知されているからです。さらに2025年に開催される大阪万博への期待感もプラス要因です。また、インバウンド需要が炸裂した事を見ると、大阪は自身が認識している以上に魅力的な大都市である事は間違いありません。

この状況下でJLL社の商業用不動産投資額で大阪が世界18位でベスト20入りを果たした事実は、千載一遇のチャンスが訪れている事を示すシグナルだと思います。コロナ禍はいずれ終息しインバウンドは徐々に回復するはずです。赤信号が点灯している状況では理解しがたいかもしれませんが、大阪が本当に商売人の街ならば数手先を読み切った動きが出来るはず、そう信じたいと思いました。