
大阪府・大阪市は2026年7月8日、「大阪スーパーシティ認証登録制度」の運用を開始しました。
実証場所を提供する団体を「フィールド」として認証し、規制改革や先端サービスに取り組む企業を登録。両者を結びつけ、実証から社会実装までを支援する制度です。これまで大阪のスーパーシティは、夢洲とうめきた2期を中心に進められてきました。今回の制度により、先端サービスを試せる場所を大阪市内に増やし、実現可能性が高まった事業を大阪府域へ広げる仕組みが整います。
制度開始後には、大阪公立大学・森之宮キャンパスが認証フィールド第1号に選ばれており、すでに具体的な運用が始まっています。
夢洲・うめきたから新たな実証フィールドへ

大阪は2022年4月、スーパーシティ型国家戦略特区に指定されました。
中心となるのは、大阪・関西万博やIRを見据えた夢洲と、都心再開発が進むうめきた2期です。大規模な新規開発地を活用し、モビリティ、ヘルスケア、ロボット、観光、エネルギー、建設DXなどの先端サービスを導入する構想が進められてきました。
ただし、実証の成果を都市全体へ広げるには、夢洲とうめきた2期だけではフィールドが限られます。そこで大阪府・大阪市は、実証場所を提供できる地域や施設を認証し、先端サービスを持つ企業と結びつける制度を設けました。
実証場所と企業をそれぞれ認証・登録

認証登録制度は、「フィールド認証」と「企業等登録」の2つで構成されています。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| フィールド認証 | 実証場所を確保・提供し、関係機関との調整を担う団体を認証 |
| 企業等登録 | 規制改革や先端サービスの実装に取り組む企業・共同事業体を登録 |
| 実証地域 | 原則として大阪市内 |
| 府域展開 | 実現可能性が高まった事業を大阪府域へ展開 |
| 制度開始 | 2026年7月8日 |
| 実施主体 | 大阪府・大阪市 |
企業側は、新しい技術を持っているだけでは登録できません。事業の必要性や期待される効果、対象となる法令・規制、必要な規制改革、想定される課題への対応策などを具体的に示す必要があります。
つまり、単発の実証実験を募集する制度ではなく、どの規制をどう見直し、事業としてどのように実装するかまでを対象としています。
スーパーシティは規制改革まで踏み込む

スーパーシティとは、AI、センサー、ビッグデータ、データ連携基盤などを活用し、移動、医療、行政、防災、観光、物流といった複数分野の都市サービスを高度化する国家戦略特区の仕組みです。
一般的なスマートシティとの違いは、アプリやセンサーを導入するだけでなく、データ連携、規制改革、社会実装を一体で進めることにあります。たとえば、自動運転には、車両の性能だけでなく、道路交通、安全管理、事故時の責任分担といった課題があります。医療・健康データを活用するサービスでも、個人情報保護や医療制度、データ利用のルールが実装の壁になります。
スーパーシティは、都市を実証の場として使いながら、こうした制度上の課題を整理し、新しいサービスを継続的に運用できる段階まで引き上げる仕組みです。大阪では、「データで拡げる“健康といのち”」をテーマに掲げ、移動、健康、行政、防災など複数分野を横断する都市サービスの実現を目指しています。
データ連携を支える「ORDEN」

複数の都市サービスをつなぐ基盤となるのが、大阪広域データ連携基盤「ORDEN」です。ORDENは、自治体や民間企業が保有するデータを、安全管理や個人情報保護に配慮しながら連携させる仕組みです。
交通、行政、健康、防災などのデータを分野横断で活用することで、交通量予測、最適ルート案内、行政手続きの利便性向上、新たな健康サービスなどへの展開が想定されています。
大阪府はORDENを、大阪・関西万博後にも活用するソフト面のレガシーと位置づけています。今回の認証登録制度は、このデータ基盤に、実証場所と事業者を結びつける役割を加えるものです。
規制改革から事業化まで3つの支援
認証フィールドと登録企業には、府市による3つの支援が用意されます。| サポート | 内容 |
|---|---|
| 規制改革提案サポート | 有識者による助言や、規制改革の実現に向けた支援 |
| ブランディングサポート | 登録企業の情報発信や国際展示会でのPR支援 |
| 実装サポート | 事業体制やビジネスモデルの構築、府域展開への伴走支援 |
大阪商工会議所が事業化を支援
大阪府・大阪市は制度開始日の7月8日、大阪商工会議所と制度推進に関する協定を締結しました。大阪商工会議所は、登録企業やフィールド運営団体に対し、情報提供、専門家の紹介、助言、社会実装に向けた事業化支援などを行います。先端サービスを都市に定着させるには、技術だけでなく、規制対応、事業採算、資金調達、住民理解、運用体制の確保が欠かせません。行政と企業の間に経済団体が入り、実証を継続可能な事業へつなげる構図です。
万博の技術を日常の都市サービスへ

今回の制度の狙いは、大阪・関西万博や大規模再開発で示された先端技術を、一過性のショーケースで終わらせないことです。夢洲やうめきた2期で蓄積された技術、運用ノウハウ、規制改革の成果を、交通、医療、観光、防災、行政など、日常の都市サービスへ展開できるかが問われます。
今後の焦点は、どの企業が登録され、どのような規制改革とサービスを提案するかです。制度の評価は認証件数ではなく、実証が事業化され、大阪府内の別の地域へ広がる案件が生まれるかどうかで決まります。
大阪スーパーシティは、未来都市を構想する段階から、実際の街でサービスを動かし、府域へ展開する段階へ移り始めています。
出典
- 大阪府「大阪スーパーシティ認証登録制度について」
- 大阪府「大阪スーパーシティ認証登録制度の運用を開始します」
- 大阪府「大阪スーパーシティフィールド認証要綱」
- 大阪府「大阪スーパーシティ企業等登録要綱」
- 大阪府・大阪市「大阪スーパーシティ全体計画」
- 大阪府・大阪市・大阪商工会議所「大阪スーパーシティ認証登録制度」の推進に係る協定書
- 内閣府地方創生推進事務局「スーパーシティ・デジタル田園健康特区」
- 大阪府「大阪広域データ連携基盤(ORDEN)について」
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