大阪観光局が『大阪ハリウッド化計画』を発表!大阪を「ロケ地」から「制作都市」へ。廃校活用の映像拠点構想が始動、X-MENプロデューサーも協力

大阪を映画の舞台として売り込むだけでなく、人材を育て、作品をつくり、世界へ届ける「制作都市」へ。大阪観光局は2026年7月29日の定例記者会見で、府内に映像制作拠点を整備する「大阪ハリウッド化計画」を明らかにしました。

府内の廃校などを撮影スタジオに転用し、映像制作と人材育成の機能を集約する構想です。映画『X-MEN』や『トランスフォーマー』を手がけた米国のプロデューサー、トム・デサント氏も協力する意向を示しています。


項目 現時点の構想
構想名 大阪ハリウッド化計画
中核機能 撮影、音響、造形、人材育成
候補施設 府内の廃校や未利用施設
推進主体 B.O.S-Entertainment
支援 大阪観光局
整備目標 約3年後
現在の段階 場所、事業費、資金調達、海外提携先は未定

廃校を「撮る場所」と「育てる場所」に

計画を進めるのは、アクション作品や特撮の制作に携わるB.O.S-Entertainment。府内の廃校や未利用施設に、映画・ドラマの撮影、音響、造形などに対応するスタジオ機能を整備します。俳優やアクションスタッフだけでなく、脚本、撮影、美術などを担うクリエーターの育成拠点も設ける考えです。

狙いは、東京へ移らなければ映像業界で働きにくい状況を変え、大阪の若者が地元で技術を学び、世界向けの作品づくりに参加できる環境をつくることです。将来的には、大阪発のキャラクターや映像作品を生み出し、映画や動画配信を通じて海外へ展開することも視野に入れています。

ロケを誘致するだけでなく、産業を大阪に残す


大阪府はこれまでも、大阪観光局内の大阪フィルム・カウンシルと連携し、国内外の映画やドラマを誘致してきました。ロケ地の紹介や撮影スタッフの手配など、大阪での映像制作も支援しています。今回の構想は、その取り組みを一歩進めるものです。

映画を一本誘致して終わるのではなく、スタジオ、人材、制作会社、海外とのネットワークを大阪に蓄積することで、継続的に作品が生まれる産業基盤をつくろうとしています。

つまり、目指しているのは大阪を作品に映す「ロケ地」から、作品そのものを生み出す「制作都市」へ変えることです。

民間が計画を進め、大阪観光局が後押し

計画の中心となるのはB.O.S-Entertainmentで、大阪観光局が施設を直接建設するわけではありません。大阪観光局は、行政や企業との調整、情報発信、規制緩和などを通じて計画を支援します。溝畑宏理事長も、質の高い雇用と人材を大阪に生み出す取り組みとして、環境整備を後押しする考えを示しました。

発表前日の7月28日には、デサント氏やB.O.S-Entertainmentの岩上弘数社長、IP Bayの松尾泰男会長らが大阪府庁を訪問。吉村洋文知事と、ハリウッドとの連携や大阪への映画撮影誘致について意見を交わしました。

映画産業は、街全体に仕事を生み出す

デサント氏は、映画産業が俳優や監督だけで成り立つものではないと指摘しています。

撮影が始まれば、大道具、塗装、衣装、運送、飲食、宿泊など幅広い仕事が動きます。行政の支援や撮影環境の整備によって世界的な制作拠点へ成長したカナダ・トロントを例に、大阪でも地域経済全体への波及効果が期待できるとの考えを示しました。

また、日本の漫画やアニメには世界へ広がる大きな可能性があると評価。海外で映像化する際にも、原作や原作者、既存ファンへの敬意を守りながら展開することが重要だとしています。

大阪については、都市でありながら自然や水に恵まれ、人々にユーモアと温かさがあるとして、ロサンゼルスに似たエネルギーを持つ街だと評価しました。

構想は始動、事業化はこれから

一方、現時点で決まっているのは計画の方向性までです。

撮影拠点の場所や施設規模、事業費、資金調達方法、運営体制、海外スタジオとの提携先は決まっていません。開設目標は約3年後とされていますが、候補地の選定や制作会社の誘致はこれから本格化します。

したがって、現段階で「ハリウッドの大阪進出が決定した」と捉えるのは正確ではありません。実態は、民間主導による映像産業拠点の形成に向け、大阪観光局やハリウッド関係者を巻き込んだ構想が動き始めた段階です。

今後の焦点は、候補地、資金計画、運営主体、海外パートナー、そして拠点を実際に使う第1号作品を具体化できるかです。万博後の大阪では、2030年秋ごろに夢洲でIRの開業も予定されています。観光客が作品の舞台を訪れるだけでなく、世界へ向けた物語が大阪から生まれるようになれば、エンターテインメント都市としての厚みは大きく増します。

大阪を「見る街」から「つくる街」へ変えられるか。構想の真価は、ここからの事業化にかかっています。






出典

  • 大阪府「映画プロデューサーで脚本家のトム・デサント氏ほか映画業界関係者が知事を表敬訪問します」
  • 週刊大阪日日新聞「万博の次はハリウッド構想 大阪に映画制作の拠点を整備」
  • 日本経済新聞関西版・公式X

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