CBRE「ジャパンオフィスマーケットビュー 2026年第2四半期」13都市すべてでオフィス賃料が上昇 大阪は8期連続で過去最高、神戸の空室率は最低の0.8%



全国のオフィス市場で、賃料上昇が鮮明になっています。

CBREの「ジャパンオフィスマーケットビュー 2026年第2四半期」によると、東京・大阪・名古屋と地方10都市の計13都市すべてで、オールグレードの想定成約賃料が前期を上回りました。

空室率は13都市のうち9都市で低下しました。東京と神戸では需要の受け皿となる空室が不足し、大阪・名古屋・さいたまでは、拡張や拠点集約、グレードアップ移転が空室消化を牽引しています。一方、札幌と福岡では新規供給によって空室率が上昇したものの、移転需要は底堅く推移しています。

全国13都市の空室率と想定成約賃料

2026年第2四半期のオールグレード指標を、空室率が低い順に並べました。
順位 都市 空室率 前期差 前年同期差 想定成約賃料 前期比 前年同期比
1 神戸 0.8% ▲0.4pt ▲1.2pt 13,340円/坪 +2.8% +7.6%
2 東京 1.4% ▲0.1pt ▲1.1pt 24,930円/坪 +2.9% +11.7%
3 さいたま 1.5% ▲1.2pt +0.8pt 21,490円/坪 +4.4% +6.9%
4 大阪 1.8% ▲0.2pt ▲0.8pt 15,820円/坪 +1.8% +8.7%
5 名古屋 2.0% ▲0.2pt ▲1.1pt 14,830円/坪 +1.1% +3.9%
6 京都 2.5% ▲0.3pt +0.5pt 15,990円/坪 +0.4% +3.6%
7 仙台 3.3% ▲0.3pt ▲0.7pt 12,320円/坪 +1.5% +5.6%
8 札幌 4.1% +1.3pt +1.0pt 16,300円/坪 +0.7% +1.2%
9 福岡 4.4% +0.9pt ▲0.2pt 16,850円/坪 +1.0% +2.8%
10 横浜 4.7% ▲0.5pt ▲0.6pt 15,420円/坪 +0.7% +3.4%
11 広島 6.4% +0.1pt +1.6pt 12,290円/坪 +0.7% +2.3%
12 高松 6.9% +0.1pt ▲0.8pt 10,070円/坪 +0.6% +2.1%
13 金沢 11.5% ▲0.6pt ▲1.3pt 10,830円/坪 +0.2% +0.1%
空室率には大きな都市差がありますが、賃料は13都市すべてで上昇しました。物価や建物運営コストの上昇に対する理解が進み、テナントが従来より高い賃料を受け入れる傾向も強まっています。

関西3都市、それぞれ異なる需給構造

関西では大阪・神戸・京都のすべてで賃料が上昇しました。ただし、市場を押し上げている要因は異なります。
都市 現在の市場局面 主な特徴
大阪 空室率が約5年ぶりに2%を下回る グレードアップや拡張移転が続き、高品質な物件を中心に賃料が上昇
神戸 空室率0.8%と極めてタイト 小型区画の消化が進み、市場全体で空室が不足
京都 直近では改善基調 空室率は前期比で低下し、賃料は緩やかに上昇

大阪は需要主導で空室を消化、梅田では坪4万円超も



大阪のオールグレード空室率は前期比0.2ポイント低下の1.8%となり、約5年ぶりに2%を下回りました。

今期は100坪前後の中小型区画を中心に移転が進みました。グレードAでは、自社ビルから築浅ビルへの大型移転によって空室が消化され、空室率は0.6ポイント低下の2.4%となっています。

グレードBでは、小規模な築古物件で縮小移転や撤退に伴う空室が発生した一方、比較的大型の物件では、オフィス環境の改善や拡張を目的とした移転が続きました。空室として市場に出る前に成約するケースもあり、条件の良い物件を中心に選択肢が狭まっています。

賃料は全グレードで8四半期連続して上昇し、過去最高値を更新しました。グレードAは前期比4.1%、前年同期比15.9%上昇の坪2万9,150円です。梅田では坪4万円を超える成約事例も出ています。

グレードBも前期比2.2%上昇の坪1万6,500円となりました。CBREは、大阪のグレードA賃料が今後1年間でさらに10.1%上昇すると予測しています。

神戸は調査13都市で最も空室が少ない市場に



神戸のオールグレード空室率は前期比0.4ポイント低下の0.8%となりました。1%を下回るのはCBREの調査開始以来初めてで、東京・大阪・名古屋を含む13都市で最低です。

大型区画の動きは限られましたが、業種を問わず、50坪前後の小型区画が館内増床などによって着実に消化されました。

想定成約賃料は前期比2.8%、前年同期比7.6%上昇の坪1万3,340円です。賃料の前期比上昇率は地方10都市で、さいたまに次ぐ2位となりました。極めてタイトな需給を背景に、立地や築年数を問わず賃料水準が上がっています。

京都は直近で改善、前年より空室率は高い

京都のオールグレード空室率は前期比0.3ポイント低下の2.5%、想定成約賃料は前期比0.4%上昇の坪1万5,990円でした。

ただし、空室率は前年同期の2.0%を0.5ポイント上回っています。大阪や神戸のような強い需給逼迫ではなく、直近では空室消化が進み、賃料が緩やかに上向いている段階です。

東京は空室不足、名古屋はグレードAが初の3万円台



三大都市のグレードA市場では、東京の空室不足と賃料上昇が突出しています。一方、大阪と名古屋も過去最高値を更新しました。
都市 空室率 想定成約賃料 前期比 前年同期比 今後1年の予測
東京 0.6% 45,100円/坪 +4.3% +17.3% +12.9%
大阪 2.4% 29,150円/坪 +4.1% +15.9% +10.1%
名古屋 1.2% 30,500円/坪 +2.7% +9.3% +9.0%
東京ではグレードAの空室率が3四半期連続で1%を下回りました。都心の大型区画は、解約が出ても館内増床などで早期に消化されるケースが多く、2026年下期に竣工予定のグレードAビル4棟も、6月末時点で9割超が内定済みと推定されています。

名古屋では、グレードA賃料が初めて坪3万円を超えました。一部で坪4万円台の募集も始まっています。2026年下期に竣工するグレードA、グレードB各1棟も、いずれも9割超の高稼働で完成する見通しです。

さいたまは賃料上昇率トップ、札幌・福岡は供給増

地方都市では、さいたまの賃料上昇が目立ちました。一方、札幌と福岡では新規供給が空室率を押し上げています。
都市 市場の動き 主な要因
さいたま 空室率1.5%、賃料は前期比+4.4% 大型新築ビルで拠点集約、拡張、自社ビルからの移転が進展
札幌 空室率4.1%、前期比+1.3pt 2棟・約9,500坪を供給。立地の弱いビルでは消化が鈍化
福岡 空室率4.4%、前期比+0.9pt 2棟・約1万1,000坪を供給。集約と増床を伴う大型移転が継続
さいたまは希少な大型区画への引き合いが強く、高い賃料での成約が複数みられました。

札幌と福岡は供給増によって空室率が上昇しましたが、需要が弱まったわけではありません。新規開設、拠点集約、グレードアップ、拡張移転など、前向きな需要が新築床を吸収しています。

空室率の低下だけではない、全国的な賃料上昇

2026年第2四半期のオフィス市場は、都市ごとに大きく三つの局面に分かれます。
市場局面 主な都市 特徴
空室不足 東京、神戸 入居可能な区画が少なく、解約区画や新築にも早期から引き合い
需要による空室消化 大阪、名古屋、さいたま 拡張、集約、グレードアップ移転が市場を牽引
新規供給の消化 札幌、福岡 空室率は上昇したものの、移転・増床需要は継続
全国に共通するのは、企業が賃料の安さだけでなく、立地、規模、設備、執務環境、拠点集約のしやすさを重視している点です。需給が逼迫する都市では貸し手側の価格決定力が強まり、新規供給のある都市でも、高品質な物件への需要が賃料を押し上げています。

関西では、大阪が積極的な移転需要による賃料上昇、神戸が絶対的な空室不足、京都が緩やかな改善という異なる局面にあります。今後は単に床を増やすのではなく、企業が求める立地・面積・設備を備えたオフィスを確保できるかが焦点になります。




出典

CBRE「ジャパンオフィスマーケットビュー 2026年第2四半期」

※調査対象は、CBREが独自に設定した全国13都市のオフィスエリア内にある、原則として延床面積1,000坪以上かつ新耐震基準に準拠した賃貸オフィスビルです。空室は調査時点で即入居可能な区画を対象とし、想定成約賃料は共益費を含みます。フリーレントなどのインセンティブは考慮していません。

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