大阪メトロは2025年3月25日から、ウォークスルー型顔認証改札サービスを開始します。大阪・関西万博を見据え、訪日客を含む利用者の利便性向上を目的とした施策です、ウォークスルー型顔認証システムを採用し、立ち止まることなくスムーズに改札を通過できます。
導入の背景と進化の流れ

ドーム前千代崎駅に設置された試作機
大阪メトロは2019年から顔認証改札機の実証実験を開始しました。最初は社員を対象に4駅で試験運用を行い、2022年には車いす利用者向けの検証を実施。バリアフリー対応も進められました。2023年3月には、大阪・関西万博を見据えた本格導入計画が発表され、2024年度末までに全駅へ設置する方針が示されました。同年11月、御堂筋線 なんば駅北東改札を皮切りに量産型顔認証改札機の設置が始まりました。2024年3月から6月には、一般利用者を対象にモニター実証実験を実施し、精度向上と利便性強化が進められました。
世界最高水準の顔認証技術を採用

顔認証改札機は、パナソニック コネクトと高見沢サイバネティクスが共同開発。最新の顔認証技術を活用し、立ち止まらずに通過できる仕組みです。認証時に取得した顔データは特徴点データに変換後、照合後に即時破棄されるため、プライバシーにも配慮されています。
e METROアプリと連携した利用方法

利用者は、大阪メトロの「e METRO」アプリに顔情報を登録し、アプリ内で購入したデジタル乗車券と紐づけることで改札をスムーズに通過できます。顔認証改札機がない駅・改札口では、QRコードを改札機の読み取り機にかざして通過可能です。
現在、顔認証改札機は全134駅中130駅に設置されています。ただし、ニュートラムのポートタウン西駅、南港東駅、南港口駅、平林駅、その他23改札口では未設置です。
顔認証改札機のデザインと機能

2023年11月に設置された量産型顔認証改札機は、従来のプロトタイプより小型化され、一般の改札通路にも対応。認識精度を高めるため、照明付きアーチを設け、顔を明るく照らして成功率を向上させています。
また、入場側・出場側で異なる非対称デザインを採用し、「迎え入れる」「送り出す」という演出が施されています。扉部分には透明なクリスタル調の素材を使用し、視認性と未来的なデザインの両立が図られています。
万博を見据えた交通の進化

大阪メトロは、ICカードやQRコード乗車券に加え、クレジットカードのタッチ決済、顔認証改札の導入で、訪日客や短期滞在者の利便性を向上させました。万博期間中には多くの訪日客が見込まれ、顔認証改札により券売機の混雑緩和や改札の流動性向上が期待されています。
顔認証システムの今後の展開

大阪メトロの顔認証改札は、ICカードに匹敵する認証速度を実現し、ストレスフリーな改札通過を可能にしました。今後は駅ナカ・駅チカ店舗での顔認証決済も視野に入れており、「顔パス」での買い物が可能になる未来が近づいています。この技術革新により、大阪は都市型交通の先進モデルとして、さらなる進化を遂げることが期待されています。