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大阪府庁舎本館が国登録有形文化財(建造物)に登録へ!現役の都道府県本庁舎で最も古いRC造モダニズム建築の先駆

 

文化庁の文化審議会は、大阪府庁舎本館など府内7カ所10件の建造物を登録有形文化財に登録するよう、文部科学相に答申しました。大阪府庁舎本館は、鉄筋コンクリート造(一部SRC造)の地上6階、地下1階建て、建築面積 4,275㎡。現役の都道府県本庁舎で最も古い大阪府の三代目庁舎で、大阪城西側にあった陸軍用地の払い下げを受けて、1926年(大正15年)に完成しました。建物設計は、懸賞募集による全国からの設計競技(コンペ)で選ばれた、平林金吾・岡本馨 両氏の案が採用されました。明治末期から昭和初期に建設された府県庁舎の中でも、壮大であり、鉄筋コンクリート構造を積極的に導入したモダニズム建築の先駆けとなりました。

 

【出展元】 →大阪府>国登録有形文化財(建造物)の登録について

 


 

 


大阪府庁舎本館は、当時の官庁建築に広く用いられた様式的な勾配屋根を排し水平の陸屋根としたこと、花崗岩とともに白色の擬石タイルを広く用いた明るい外観と、窓廻りを囲う直線などから、合理的な簡潔性と清新な表現が見られ、次代のモダニズムに連なる先取的なデザインとなっています。

一方で、古典的で均整のとれた「基部・中間部・頂部」の3層構成を用いていること、正面玄関まわりの車寄せや外壁中央に集中してレリーフなどの装飾を施していることにより、官庁建築としての威厳と風格のある雰囲気を表現。これらの特徴的な外観意匠の基調から、当時の設計競技の審査委員の片岡 安らが評するように、19世紀末のセセッション(ウイーン分離派)に属すると考えられます。

 

 


出展元:大阪府

中央吹抜ホールは、3層吹抜の大空間となっており、イタリア産大理石で仕上げられた12本の長大な柱に囲まれ、中央の大階段が2階回廊へとつながる壮大で華麗な趣があります。その大きさと格調高さは、近代の庁舎の中で最も際立つものであり、公的空間としての重みを有しています。

2・3階の吹抜となっている議場は、昭和37年度に議席拡張のための改修工事を行い、現役最古の議場として現在も使われています。天井のステンドグラスは人工照明の光天井に変わっているますが、装飾レリーフや木造作・腰羽目板は現存し、内部空間の質を高めています。

 

 

 


出展元:大阪府

室内装飾が最も壮麗なのが5・6階吹抜の正庁の間。かつて年末年始の行事や人事発令などの式典に使用されていた特別な部屋で、中央にペディメントを載せた奉安所を置き、柱間をアーチとし、当時、金箔貼であったレリーフ装飾が一面に施され、窓や天井に用いられたステンドグラスからの光が彩りを添えています。

近年、執務室として使用され内装の劣化も進んでいましたが、平成23年度に老朽化したレリーフやステンドグラスを創建時の趣を感じる姿に復元改修しました。

 

 


今回(第100次登録有形文化財建造物)として、大阪府内から7か所・10件の建造物を登録するよう、文部科学大臣に答申されました。これにより、府内の登録有形文化財(建造物)は268か所・784件となります。

 

 

 


おまけ:

大阪府庁周辺の再整備については、1987年9月に「大阪府庁舎・周辺整備計画」発表、1988年9月に基本計画提案協議実施、1989年4月に黒川紀章建築都市設計事務所が最優秀作品に決定。同年10月に「大阪府庁舎・周辺整備基本計画」策定され、1995年に新別館南館、1997年新別館北館が完成、2007年に警察本部棟2期が完成した所で計画が凍結され、地上43階建て、高さ214mの行政棟は幻となりました。当時の計画でも大阪府庁舎本館は保存される事になっていました。

 

今回登録される予定の文化財建造物

(1)大阪府庁舎本館
建築年代:大正15年(1926)/平成30年改修
所在地:大阪市中央区大手前

(2)丼池繊維会館
建築年代:大正11年(1922)/昭和30年(1955)以降改修
所在地:大阪市中央区久太郎町

(3)大阪農林会館ビル
建築年代:昭和5年(1930)/同24年(1949)以降改修
所在地:大阪市中央区南船場

(4)原田産業大阪本社ビル
建築年代:昭和3年(1928)/同40年(1965)改修
所在地:大阪市中央区南船場

(5)フジカワビル
建築年代:昭和28年(1953)/同44年(1969)・平成28年改修
所在地:大阪市中央区瓦町

(6)小倉家住宅
建築年代:洋館(ようかん):昭和7年(1932)、門(もん):昭和7年(1932)
所在地:堺市西区浜寺昭和町

(7)小野家住宅
建築年代:店舗兼主屋(てんぽけんおもや):江戸末期/昭和初期・同41年(1966)改修、離れ(はなれ):江戸末期/平成25年改修、道具蔵(どうぐぐら):江戸末期/昭和35年(1960)頃改修
所在地:枚方市新町

1 COMMENT

アリー my dear

あと数年で築100年を迎えようとする立派な近代建築ですものね、うれしいです( ´∀`)

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