エコノミスト誌の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)は2021年の「世界で最も住みやすい都市」(The Global Liveability Index 2021)ランキングを発表しました。新型コロナウイルスの世界的流行の影響で「世界の住みやすい都市ランキング」は大きく変動しました。この指数は、140都市を「安定性」「医療」「教育」「文化・環境」「インフラ」の5分野で評価しており、今回の調査のデータは、各都市がパンデミックとの戦いで異なる段階にあった2021年2月22日から3月21日の間に収集されました。
【出展元】→The Economist Intelligence Unit
新たなリーダーとなったのはオークランド(1位)です。ニュージーランドでは、国境が閉鎖されていたため、Covid-19の感染者数が少なかったことから、劇場やレストランなどの文化施設を営業することができました。学生たちは学校に通い続けることができ、オークランドは教育分野で100%のスコアを獲得しています。これにより、2020年秋の調査では6位だったのが、2021年3月のランキングでは1位になりました。また、ニュージーランドの首都ウェリントンも、この相対的な自由度の高さから、現在のランキングでは15位から4位にランクアップしています。
日本の都市では、大阪が2位、東京が4位にランクインしていますが、これは高い安定性を維持しているためです。第3位は、同じく海外旅行禁止令を発令したオーストラリアのアデレードです。オーストラリアでは、パース、メルボルン、ブリスベンの3都市がトップ10にランクインしており、シドニーは11位となっています。また、スイスのチューリッヒとジュネーブは、社会的な規制があるにもかかわらず、トップ10入りを果たしています。最も上昇幅が大きかったのは米ハワイ州のホノルルで、新型ウイルス流行の抑制と迅速なワクチン接種が評価され、順位を46上げて14位とりました。世界全体の住みやすさの平均スコアは、パンデミック前の平均スコアと比較して、7ポイント低下しました。都市が強力な国境閉鎖によって守られていた程度、健康危機への対処能力、ワクチン接種キャンペーンの展開ペースなどが、ランキングの大きな変化をもたらしました。
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ニュージーランドのオークランドは、The Global Liveability Index 2021のトップに立っていますが、これは、世界の他の都市とは異なり、コロナウイルス(Covid-19)のパンデミックを早期に収束させ、規制を早期に解除できたことによるものです。2021年3月の調査では、上位10都市のうち6都市がニュージーランドやオーストラリアの都市で、厳しい国境管理により住民が比較的普通の生活を送ることができています。ヨーロッパやカナダの多くの都市は、文化やスポーツのイベントを制限したり、学校やレストランを閉鎖したりして、パンデミックの第2波に立ち向かった結果、ランキングを下げています。2018~20年版で1位だったオーストリアの首都ウィーンは今年、12位に転落しました。「ランキングの下落幅が大きいトップ10都市のうち8つが欧州の都市」でした。
一方、ランキング下位の都市ではあまり変化が見られず、シリアの首都ダマスカスは依然として世界で最も住みにくい都市となっています。世界のほとんどの都市では、パンデミックの発生後にヘルスケアのスコアが低下しましたが、最も影響を受けなかった都市は西ヨーロッパとアジア太平洋地域に集中しています。
都市の住みやすさに影響を与え続けるCovid-19
ワクチン接種キャンペーンは、効率の差こそあれ、世界各地で実施されています。では、次回の調査ではどのような変化が予想されるのでしょうか。Covid-19の新種の感染を防ぐために必要なワクチンを接種できなければ、最貧都市の状況はさらに悪化する可能性があります。脆弱な医療システムは、インドのように大きな負担となる可能性があります。ワクチン接種が遅れれば、より厳しい監禁状態に陥り、期待される経済成長の回復に影響を及ぼします。その結果、安定性を含む他のカテゴリーにも影響が及ぶ可能性があります。
ほとんどの地域での住みやすさの回復ペースは、ワクチン接種、検査、追跡、検疫などの手段を組み合わせて、パンデミックによる健康被害をいかに効果的にコントロールできるかによって決まります。ワクチン耐性菌の出現のような大きな後退がない限り、文化と環境のスコアは改善されるはずです。学校も通常の状態に戻り始めます。しかし、医療機関では、Covid-19以外の患者の対応に追われています。さらに、住民が都市で重視するものも変化している可能性があり、パンデミック前に比べて、緑地の人気が高まり、公共交通機関の利用率が低下しています。
3年続けて大阪がベスト10(すべて東京より上位)に入ったのは素晴らしいことです。東京や京都の陰に隠れて注目度が低い大阪という街が世界で認識されるようになったということでしょう。
今回は総合で2位ということですが、文化・環境部門では10都市中9位です。まだまだ発展途上都市です。文化あふれる魅力ある都市になってほしいです。