須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業は、老朽化していた須磨水族園の建て替えをきっかけに、周辺園地を一体的に再整備することで国内外から集客できる大型リゾートを創出する再開発計画です。事業はPark-PFI制度※1を活用し民間活力を導入。神戸市の公募で選ばれた、神戸須磨 Parks + Resorts 共同事業体※2が施設整備を行います。
1:Park-PFI(公募設置管理制度)
都市公園の魅力と利便性の向上を図るために、公園の整備を行う民間の事業者を公募し選定する制度。2017年6月に改正都市公園法が施行され、公園事業の幅広い民間委託が可能になり、事業者が設置する施設により得られた収益を公園整備に還元することが条件に
保育所やレストラン、カフェなどの出店が可能になりました。収益施設等の設置(工事を含む)期間が20年間に延長(従来は10年)されました。
2:神戸須磨 Parks + Resorts 共同事業体
<代表企業>
・サンケイビル
<構成員>
・三菱倉庫
・JR西日本不動産開発
・竹中工務店
・阪神電気鉄道
・芙蓉総合リース
・グランビスタ ホテル&リゾート
須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業とは?
新施設は園地、水族館、ホテル、にぎわい施設、駐車場などで構成されます。2022年1月に着工し、2023年9月に「にぎわい施設開業」、園地一部供用開始。2024年6月1日(土)に「新水族館・ホテル」が開業、グランドオープンする予定。開発区域は約101,900m2、公園全体は約139,000m2。初期投資額は約370億円です。
新施設のテーマは、「地域コミュニティと観光客が交流する“つながる”海浜リゾートパークの実現」。神戸市民利便性・快適性を高める「コミュニティ・パーク」と観光客誘致を目指す「デスティネーションリゾート」を調和させた施設を目指しています。
「須磨海浜水族園・海浜公園再整備事業」主要施設
・水族館「神戸須磨シーワールド」
・ホテル「神戸須磨シーワールドホテル」
・ぎわい施設「松の杜ヴィレッジ」
開発スケジュール
2022年1月 水族館・園地建設工事に着手(以降順次各施設着工)
2023年5月 現 須磨海浜水族園営業終了及び解体工事開始、駐車場供用開始
2023年9月 にぎわい施設開業、園地一部供用開始
2024年6月 グランドオープン(水族館、宿泊施設開業)
新水族館『神戸須磨シーワールド』とは?
『神戸須磨シーワールド』は、1957年の開園以来、「スマスイ」の愛称で愛されてきた「須磨海浜水族園」の建て替えにより誕生する新しい水族館です。サンケイビルを代表企業し、JR西日本不動産開発やグランビスタ ホテル&リゾートなどを構成員とする「神戸須磨Parks+Resorts共同事業体」が運営を担当。グランビスタが千葉県で運営する『鴨川シーワールド』にあわせたネーミングとなりました。
神戸須磨シーワールドの目玉は、鴨川での飼育技術を活かしたシャチの展示です。日本国内でシャチを展示している水族館は、鴨川シーワールドと名古屋港水族館のみで、神戸須磨シーワールドで展示を開始すれば、日本で三番目、西日本唯一の施設となります。『つながる』エデュテインメント水族館を全体コンセプトとして、日本有数の水族館を目指しています。
施設は3棟構成
施設配置は、1:オルカスタディアム(シャチ棟)、2:イルカスタディアム(イルカ棟)、3:アクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)の3棟で構成。2つのメインプールで、ぞれぞれパフォーマンスが繰り広げられます。
生物の福祉を尊重し、適正な飼育環境を実現
飼育方針として「生物の福祉」を尊重し、適正な飼育環境を実現する事を掲げており、より豊かな飼育環境を追求。生物にとってQOLの高い飼育施設を整備し、生理的、心理的かつ社会的に健全な飼育環境のもとで、適正な飼育管理を実施します。
特に鯨類の飼育施設に関しては、近年の飼育施設が縮小化する傾向に異を唱え十分なスペースを確保。イルカプールを例に上げると、1頭あたりの水量が約3割増加するなど、これまでよりもゆとりのある飼育空間を実現しています。
オルカスタディアム(シャチ棟)
オルカスタディアム(シャチ棟)のレイアウト図。パフォーマンス終了時に渋滞を引き起こさないように、デッキと接続する箇所には大きな空間が配置されています。
オルカスタディアムは、ダイナミックなシャチの運動能力と形態を紹介するとともに、トレーナーとの交流を通し感動を伝えます。繁忙期などには独自の演出手法を用いたスペシャル パフォーマンスを行うなど広がりを持ったパフォーマンスを展開します。
シャチの近距離での観察を通して、シャチの質感や迫力を体感できる「オルカテラス(上)」、最新デジタルツールを利用した世界初のシャチに関する教育ゾーン「オルカラボ(中)」、シャチを見ながらの食事は、西日本初のリクリエーション体験「オルカレストラン(下)」が設けられます。
イルカスタディアム(イルカ棟)
イルカスタディアムのレイアウト図。オルカスタディアムと同じく効率的な歩行者動線が計画されています。
イルカスタディアムでは、イルカのスピーディーな運動能力を紹介し、トレーナーとの交流を通し感動を伝えます。繁忙期には、独自の演出手法を用いたスペシャル・ナイトパ フォーマンスをおこないます。
1階の「イルカホール(上)」はイルカの生態を間近で観察できる空間。10m以上ワイドに伸びた水槽の前で 、イルカと海を漂うような没入感 を感じることができる非日常 空間を創出。「イルカビーチ(下)」では直接イルカとふれあえるプログラムなどを実施。給餌体験やふれあいを通して、生物のぬくもりを肌で感じることで、人と生物をつなぐ役割を果たします。
アクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)
アクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)は、魚類展示エリア(1・2・3階)と5つのゾーンからなる海獣類・ペンギン展示エリア(3・4階)に大別されます。
魚類展示エリアは、おおらかにつながる3層の大空間に「水の一生」をテーマとした7つの展示空間を設置。指定の順路を設けずに7つのゾーンを自由に行き来する事ができます。生物の長期飼育を見据え、展示替えが容易な小水槽のフレキシブルな展示ゾーンを設け、可変性を持たせた施設となります。
海獣類・ペンギン展示エリアは、屋上には、砂・岩・植栽などの生息環境を再現した、大きな岩山のような屋外空間を設け、アザラシ・アシカ・ペンギン・ウミガメを展示。繁殖に適する十分なスペースを確保し、繁殖期には子どもたちの姿を間近で観察できます。飼育員による解説やふれあい体験も実施する予定です。
ローカルライフ(1~3階部分)では、擬岩と植栽で再現された六甲水系の河川(上流~河口)の生態系を展示。コーラルライフでは、ヤシやアダンなどの植栽や擬岩によってサンゴ環礁の自然を再現、カラフルな熱帯魚類を紹介し、近年消滅の危機に瀕するサンゴ礁の保全を伝えます。メイン水槽となる水量700tの沖合水槽の周りにはスロープを螺旋状に配し、砂浜から水中、海底へとまるで水中散歩をするような体験がでできます。
シールアイランドは、最上階にはアザラシとアシカのための陸場と水槽をそれぞれ設け、岩場に寝そべる愛らしい姿や、ジャンプ台やのぞき穴で見せる豊かな表情を観察できます。
ペンギンポイントでは、マゼランペンギンが生息する南米プンタ・トンボをイメージした緑溢れる草原の丘を設置。地中に巣穴を設け、ペンギンが本来暮らす環境を忠実に再現することで、子育ての風景などを観ることができます。タートルビーチでは、岩山をのぼるスロープに沿って設けられたウミガメのプールを設け、淡水ガメが泳ぐ池では観覧者が水槽の中に入り込み、様々な角度からカメの生態を観察できます。
2024年4月の様子
現地の様子です。前回の取材が2023年8月だったので、約8ヶ月ぶりの撮影です。
北東側から見た様子です。2024年6月1日(土)のグランドオープンに向けて最終調整が行われています。
オルカスタディアム(シャチ棟)の様子です。
反対側から見たオルカスタディアム(シャチ棟)の様子です。施設のメインゲートとチケット売り場はこの辺りの様です。
イルカスタディアム(イルカ棟)の様子です。
北西側から見た、施設全体の様子です。写真一番手前の建物はアクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)です。
撮影ポイント変えて、浜辺側から見た様子です。メチャクチャ海に近い事がわかりますね。
写真左がイルカスタディアム(イルカ棟)、 右がオルカスタディアム(シャチ棟) です。
最後はオルカスタディアム(シャチ棟)とホテル棟(別記事で詳しくご紹介します)の並びです。神戸シーワールドは水族館とホテルが一体となった凄い施設になりそうです。ホテル棟については、別記事で詳しくご紹介しています。
2023年8月の様子
現地の様子です。初めて取材しましたが工事がメチャクチャ進んでおり驚きました!
オルカスタディアム(シャチ棟)の様子です。
オルカスタディアム(シャチ棟)を北東側から見た様子です。
オルカスタディアム(シャチ棟)を北西側から見た様子です。
三角屋根の旧:水族館を挟んで、左右に新:水族館の建物が作られています。
旧水族館のシンボル、三角屋根の様子です。こちらは解体されて、跡地は「海の見える丘広場」になります。
アップで見た様子です。
施設全体を北西側から見た様子です。
イルカスタディアム(イルカ棟)とアクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)の様子です。
北側絡みたイルカスタディアム(イルカ棟)の様子です。
アクアライブ(魚類・アシカ・ペンギン棟)の様子です。
歩道橋上から見た施設全体の様子です。メチャクチャ巨大ですね・・。
撮影ポイントを変えて、南西側(浜辺側)から見た、イルカスタディアム(イルカ棟)の様子です。
同じくオルカスタディアム(シャチ棟)の様子です。
最後は、新:水族館の南側に広がる浜辺の様子です。
ずーっと疑問なんですが、シャチをどこから連れてくるんでしょうかね?
鴨川or名古屋の既存施設から?それとも自然の個体?海外からでしょうか。