近鉄大阪線、昼間時間帯に「区間急行」を新設! 五位堂駅の格上げと減量ダイヤが示す、少子高齢化時代の持続可能な鉄道戦略とは


近畿日本鉄道は、2026年3月14日に実施するダイヤ改正で、大阪線の昼間時間帯を中心に「区間急行」を新設します。今回の改正は、列車種別を増やすこと自体が目的ではなく、需要構造の変化を踏まえて日中ダイヤを再設計する内容となっています。

今回のダイヤ改正は、輸送力の拡張を目指すものではありません。少子高齢化の進行や通勤形態の変化を背景に、需要に見合った列車体系へと整理し、鉄道事業の持続性を高めることを主眼とした調整型の改正と位置付けられます。


1.通勤客・長距離客が減る時代へ

少子高齢化が直撃する大阪線の利用構造

少子高齢化の進行により、通勤客は全国的に減少傾向にあります。大阪線においてもその影響は顕著で、とくに名張・青山町方面を中心とした長距離通勤客の減少が続いています。この傾向は今後も大きく変わらないと見られ、不可逆的な流れといえます。

一方で、大阪に近いエリアでは状況が異なります。香芝市の五位堂周辺のように、大阪都心へのアクセス性が高い地域では、一定の利用が維持されており、沿線内で需要の地域差が広がっています。


2.日中ダイヤを再編

急行と区間準急を整理し、「区間急行」を新設

昼間時間帯の大阪線では、これまで急行と区間準急が併存していましたが、ダイヤ改正後はこれらを整理し、新設される区間急行に統合します。これにより、大阪上本町〜名張・青山町方面では、おおむね15分間隔のパターンダイヤが形成されます。

区間急行は、従来の急行停車駅に加え、近鉄八尾・河内山本・高安に停車します。急行の速達性は一部低下しますが、大阪府下の中間駅では優等列車の利用機会が増える構成となっています。


3.日中は「減量ダイヤ」へ

運転本数は毎時11本から8本に

今回の改正では、列車本数にも明確な変化があります。


  • 普通電車:毎時5本 → 4本

  • 区間準急:区間急行へ統合

これにより、昼間時間帯の大阪線は全体として毎時4本の純減となります。
改正前は大阪上本町起点で、急行・区間準急・普通を合わせて毎時11本でしたが、改正後は毎時8本となり、日中は明確な減量ダイヤへ移行します。


4.駅によって評価が分かれる改正

普通停車駅には厳しさ、区間急行停車駅は利便性向上

普通電車しか停車しない駅では、列車待ち時間が長くなり、利便性が低下する側面があります。一方で、区間急行が停車する駅では、大阪府下の準急停車駅を中心に、優等列車の停車本数が毎時3本から4本へ増加します。

今回の改正は、駅の立地や役割によって評価が分かれる内容となっています。


5.五位堂駅の位置付けが変わる

特急停車と区間急行で実質的な格上げ


五位堂駅では、朝夕時間帯に一部の特急列車が停車します。これにより、同駅の位置付けは従来より高まりました。

五位堂起点で鶴橋方面を見た場合、昼間時間帯に先着する列車は毎時3本から4本へ増加します。途中停車駅が3駅増加することで所要時間は伸びますが、待ち時間を含めた移動全体で見ると、(今後明らかになる五位堂〜鶴橋間の区間急行の所要時間にもよりますが)総合的な利便性は向上すると考えられます。


6.遠距離利用者は特急へ

急行の役割縮小で速達性は後退

名張・青山町方面などの遠距離利用者にとっては、近鉄八尾・河内山本・高安の3駅連続停車が加わることで、昼間時間帯の速達性は低下します。

日中における急行の役割は縮小され、長距離移動は特急を利用するという構造が、より明確になりました。


7.減量ダイヤを前提とした車両更新

新型車両が後回しになった理由

大阪線では、奈良線系統と比べて新型車両の投入が後ろ倒しになっています。今回のダイヤ改正を見る限り、その背景には一定の考え方が読み取れます。

まず日中時間帯の列車本数を削減し、種別を整理することで、必要な車両数そのものを圧縮します。そのうえで、この減量ダイヤが安定して機能するかを見極め、実際に必要な両数を再算出し、新型車両への置き換えを進めるという流れです。


8.朝夕ラッシュ帯は今後の確認ポイント

移行時間帯の設計が使い勝手を左右

今回公表されたプレスリリースは、日中時間帯の変更内容が中心で、朝夕ラッシュ時や、ラッシュから日中へ移行する時間帯の詳細は示されていません。

実際の使い勝手は、この移行時間帯の設計に左右される面もあり、今後公表される詳細ダイヤや時刻表の確認が必要です。


9.まとめ

拡張ではなく最適化を選んだ大阪線ダイヤ改正

今回の大阪線ダイヤ改正は、需要減少を前提にした調整型の改正です。
区間急行への集約、特急停車の拡大、そして減量ダイヤを前提とした車両更新計画は、鉄道事業を持続させるための現実的な判断といえそうです。






出典元

  • 近畿日本鉄道株式会社
    「2026年3月14日(土)ダイヤ変更について」プレスリリース(2026年1月19日)

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