
当ブログで2022年12月にお伝えした「天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクト」の続報です。
福岡市・天神の福岡パルコと新天町を一体的に建て替える再開発計画が、大きく前進しました。西日本新聞によると、福岡パルコ跡地を中心とする東街区には、地上22階・高さ約110m、延床面積約13万8,000㎡の超高層複合ビルが建設され、2031年末ごろの完成を目指します。NHKも地上22階、2031年完成の計画として報じています。
東街区だけでなく、新天町側の西街区と約190mの地下通路も一体整備します。焦点は一つの商業施設の建て替えではなく、天神駅西側の商業、業務、宿泊、文化、交通を街区単位で再編することにあります。
計画概要
計画地は、福岡パルコ本館・新館、新天町ビル、西鉄福岡(天神)駅ビルの一部などを含む約7,900㎡です。福岡市は2025年1月、「天神二丁目南ブロック駅前東街区第一種市街地再開発事業」を都市計画決定しました。| 項目 | 計画概要 |
|---|---|
| 事業名 | 天神二丁目南ブロック駅前東街区第一種市街地再開発事業 |
| 所在地 | 福岡市中央区天神二丁目 |
| 敷地面積 | 約7,900㎡ |
| 建築面積 | 約7,400㎡ |
| 延床面積 | 約138,000㎡ |
| 容積率 | 約1,550% |
| 規模 | 地上22階・高さ約110m(報道) |
| 主な用途 | 商業、オフィス、ホテル、文化・情報発信施設、駐車場など |
| 完成予定 | 2031年末ごろ(報道) |
| 主な事業者 | PARCO、J.フロント都市開発、西日本鉄道、新天町商店街公社、新天町商店街商業協同組合、三井住友銀行 |
東西2棟で延床22.6万㎡、天神駅から地下動線を延伸

再開発は東街区、西街区、地下通路の三つで構成されます。福岡市が2025年12月に市議会で示した設計・整備費は合計約1,890億円。いずれも現段階の試算で、詳細設計や建設費の動向によって変動する可能性があります。
| 区分 | 規模・内容 | 設計・整備費の試算 |
|---|---|---|
| 東街区 | 敷地約7,900㎡、延床約138,000㎡。商業・オフィス・ホテル・文化施設など | 約1,000億円 |
| 西街区 | 敷地約5,900㎡、延床約88,000㎡。商業・オフィス・文化施設など | 約800億円 |
| 地下通路 | 長さ約190m、幅約6m。地下鉄天神駅側ときらめき通り方面を接続 | 約90億円 |
| 合計 | 東西2棟の延床面積約226,000㎡。地下通路は別途整備 | 約1,890億円 |
過去最高の取扱高でもパルコを閉める理由

出展:Wikipedia
福岡パルコは2027年2月末で営業を終了します。しかし、閉店理由は売上不振ではありません。2025年度のテナント取扱高は約286億円に達し、2010年の開業以来の過去最高を更新しました。隣接する「ONE FUKUOKA BLDG.」の開業による集客効果が波及し、飲食ゾーンも大きく伸びています。
それでも閉店する背景には、建物の老朽化と街区全体の再編があります。本館は1936年に完成した旧岩田屋本館を改修した建物です。岩田屋の移転後に耐震補強を施し、2010年から福岡パルコとして活用されてきましたが、単独改修では敷地の潜在力を引き出しにくくなっていました。
好調な店舗をいったん閉めて再開発するのは、現在の売上より、今後数十年の収益力と都市機能を優先した判断といえます。ただし、福岡パルコは完成まで仮店舗を設けず、後継ビルへの再出店も未定です。現段階で新ビルを「新しい福岡パルコ」と表現するのは正確ではありません。
商業に「文化」と「夜」を重ねる

公式の都市計画資料では、東街区に商業、オフィス、ホテル、文化・情報発信機能などを導入する方針が示されています。福岡市が市議会委員会で示した内容として、ライブハウス、ギャラリー、ミュージアムなども計画されていると報じられました。PARCOも、自社コンテンツを生かした文化・情報発信機能の導入を掲げています。
用途を複合化する狙いは、商業だけに依存しない集客構造をつくることです。昼間はオフィス、夕方以降は商業やライブハウス、夜間はホテルが需要を生み出します。天神を「買い物に行く街」から、働く、滞在する、文化を楽しむ街へ広げる構成です。
組合設立へ、2027年の閉店後に本格化
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2022年11月 | 東西街区の一体的な再開発構想を公表 |
| 2025年1月 | 福岡市が東街区の都市計画を決定 |
| 2025年12月 | 東西街区の用途、事業費試算、地下通路計画などが具体化 |
| 2026年1月 | 福岡パルコが2027年2月末の閉店を発表 |
| 2026年7月 | 東街区の再開発組合設立に向けた手続きが進展 |
| 2027年2月 | 福岡パルコ閉店予定。新天町も段階的に営業を休止・移転 |
| 2031年末 | 東街区の複合ビル完成予定(西日本新聞報道。NHKは2031年完成と報道) |
天神ビッグバンは「建物更新」から「都市機能再編」へ
天神ビッグバンは、老朽ビルを個別に建て替える段階から、複数街区と交通基盤を一体的に組み直す段階へ入りました。福岡パルコ・新天町の再開発は、その転換を象徴するプロジェクトです。東西2棟と地下通路の整備によって、天神駅西側に新しい人の流れと滞在需要が生まれます。一方、総事業費の上振れ、パルコ再出店の有無、文化施設の具体像などは未確定です。1936年から続く建物を失うだけに、規模や高さだけでなく、福岡らしい文化と街の記憶をどう継承するかが、再開発の評価を左右することになりそうです。
出典・参考資料
- 西日本新聞「福岡パルコ、地上22階110メートルの後継ビルが2031年末完成へ」
- NHK福岡「天神『福岡パルコ』跡地に22階建て大型複合ビル建設計画」
- 福岡市「天神二丁目南ブロック駅前東街区第一種市街地再開発事業」
- 株式会社パルコ「福岡PARCOの営業終了について」
- 福岡パルコ・2025年度テナント取扱高発表
- テレビ西日本「天神二丁目南ブロック再開発、総事業費1890億円」
- テレビ西日本「福岡パルコ、新ビルへの再出店は未定」
- テレビ西日本「新天町の共同移転計画」
- データ・マックス「福岡パルコ本館、旧岩田屋本館の歴史と再開発」
- RKB毎日放送「福岡パルコ街区の高さ制限と再開発構想」
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