奈良県運転免許センター、田原本町への移転計画が具体化!新たな技能試験コース配置図を公表、2031年9月完成へ



奈良県警察は2026年10月7日、橿原市から田原本町への移転を計画している「奈良県運転免許センター」について、技能試験コースの新たなレイアウト平面図とCADデータを公表しました。

今回の図面では、四輪・二輪の試験コースや駐車場、場内動線などの配置が詳細に示されました。3月に公表された参考図面との比較では、技能試験の発着場が約1,160㎡から約1,560㎡へ400㎡拡大しています。ただし、現時点の想定配置であり、最終設計は確定していません。

新センターは約6.2haの県有地に整備され、2031年9月の施設完成を予定しています。老朽化した施設の建替えにとどまらず、免許更新や高齢者講習の利便性を高め、県内の交通安全機能を集約する事業です。

築約60年の老朽施設を全面刷新。田原本町への移転を選んだ理由



現在の運転免許センターは橿原市にあり、最も古い試験棟は1967年に建設されました。老朽化に加え、増築を重ねたことで建物や業務が分散し、利用者が施設内を移動する際の非効率が課題となっています。

バリアフリー設備や駐車場も不足しており、混雑時には技能試験コースを臨時駐車場に転用する状況も生じています。さらに、現施設には建築基準法上の既存不適格建築物があり、業務を継続しながら抜本的に改修することが難しいため、移転新築による再整備が選ばれました。



移転先は田原本町阪手北・西井上地区の県有地です。かつて球技専用スタジアムなどの整備が構想されていましたが、県の事業見直しによって土地利用方針を転換。運転免許センターと警察関連施設を核とする「交通安全・安心のまち」の形成を目指すことになりました。

移転決定の経緯については、2024年2月15日の当ブログ既報「奈良県運転免許センターが田原本町に移転!」で紹介しています。

新センターは何が変わる?免許更新・高齢者講習の利便性を向上

新施設では、免許更新機能を主に1階、試験関連機能を主に2階に集約することを想定しています。受付から講習・交付までの動線を整理し、日曜日など来場者が集中する時間帯にも対応しやすい施設を目指します。

高齢者講習には実車指導専用コースを新設するほか、子どもと一緒に更新時講習を受けられる親子ルームや授乳室を設置。バリアフリー対応を強化し、幅広い世代が利用しやすい施設へ刷新します。

新運転免許センターの計画概要

項目 計画内容
所在地 奈良県磯城郡田原本町大字阪手ほか
敷地面積 約62,000㎡
新庁舎 地上3階建て、延床約7,680㎡
技能試験コース 約25,768㎡
高齢者講習コース 約4,724㎡
車庫 地上1階建て、延床約1,000㎡
駐車場 485台以上(EV専用5台以上を含む)
利便施設 親子ルーム、授乳室、バリアフリー設備
環境性能 ZEB Ready以上、太陽光発電設備
※コース面積は外周部を除きます。施設規模は2026年6月の要求水準書(案)に基づき、今後の設計で変更される可能性があります。

施設内の移動だけでなく、車両動線の改善も重要なポイントです。新センターでは一般来場車両と試験車両の動線を可能な限り分離し、駐車場内に誘導路を設けることで、来場者の安全確保と周辺道路への影響抑制を図ります。

技能試験コースの詳細配置を公表。発着場は図面上で400㎡拡大



10月7日に公表された新図面では、試験コースの線形や幅員、各種試験設備、発着場の配置が具体化されました。
項目 3月26日版 10月7日版
技能試験の発着場 約1,160㎡ 約1,560㎡
駐車場 485台 485台
駐車場面積 約13,100㎡ 約13,100㎡
二輪試験発着場 個別面積の明示なし 約36㎡
駐輪場 個別面積の明示なし 約150㎡
図面の内容 参考配置図 詳細寸法・CADデータを公開

概算総事業費は97.9億円。PFI方式で県負担を約17億円削減する試算



整備には、民間事業者が設計・建設した施設を県に引き渡し、その後の維持管理・一部運営業務も担うPFI・BTO方式を採用します。免許の更新・試験などの行政業務は引き続き奈良県警察が担当します。

2025年に公表された基本計画では、PFI方式による概算総事業費を約97.9億円、県の財政負担額を約91.8億円と試算しました。
項目 従来方式 PFI方式
設計・建設費 78.0億円 75.8億円
維持管理・運営費 11.2億円 11.2億円
その他 30.9億円 10.9億円
算定総事業費 120.1億円 97.9億円
県の財政負担額 109.0億円 91.8億円
県の財政負担は従来方式より約17.2億円、15.7%の削減を見込んでいます。設計・建設から約15年間の維持管理・運営までを一体的に発注し、事業期間全体のコスト抑制を図る考えです。

ただし、これは2024年11月時点の試算で、将来の資材価格上昇や免許関連機器・備品などは含まれていません。正式な事業費は今後の入札・契約によって決まります。

2031年9月完成予定。2027年8月に事業者決定へ

事業は基本計画の策定を終え、PFI事業者の選定に向けた段階に入っています。2026年5月に公表された実施方針(修正版)では、次の工程が示されています。
時期 主な予定
2026年11月 特定事業選定・入札公告
2027年5月 入札・提案書の受付期限
2027年8月 落札者決定
2027年12月 事業契約成立
2028年1月~2031年9月 設計・建設など施設整備
2031年9月 施設完成・県へ所有権移転
2031年10~12月 開業準備
2032年1月 PFI維持管理・運営開始予定
県の一般向け案内には「2032年度運用開始」という従来の目標も残っています。一方、最新のPFI実施方針では2032年1月から維持管理・運営を開始する工程となっており、一般利用者向けの正式な供用開始日は今後の発表を待つ必要があります。

田原本町に新たな交通安全拠点。公共交通アクセスが今後の課題


運転免許センターの移転に合わせ、奈良市の県警交通機動隊や宇陀市の県警音楽隊も田原本町へ移転する構想も進んでいます。これらの施設は運転免許センターとは別に整備が検討されており、県は交通事故への対応や交通安全教育などの機能を集約した拠点づくりを目指しています。

一方、移転に伴う交通アクセスの確保が課題となっています。田原本町では、2026年度に県警が実施予定の人流調査を踏まえ、近鉄田原本駅から新センターまでの歩行者動線や安全対策、案内表示などを検討する方針です。

今後は2026年11月の入札公告、2027年8月の落札者決定を経て、具体的な設計・整備が進められます。新センターへのアクセス整備に加え、移転後の橿原市の現施設跡地をどのように活用するかも、今後の注目点となりそうです。




出典・参考資料

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