
三井不動産と三井住友銀行は、福岡市博多区博多駅前一丁目で進める「博多新三井ビル建替計画」の概要を発表しました。新ビルは、地上13階・地下2階、延床面積約22,100㎡のオフィス・店舗複合ビルで、2026年8月の着工、2028年の完成を目指します。
博多駅に面した外装には、立体的な緑化を取り入れ、地上・地下には広場を整備します。さらに、福岡市の「博多コネクティッドボーナス」と「グリーンボーナス」の同時認定を初めて取得。博多駅前の都市更新を象徴する注目プロジェクトとなりそうです。
博多駅前一丁目1番地で進む、駅前一等地の建替計画

「博多新三井ビル建替計画」は、福岡市博多区博多駅前一丁目1番地で進められるオフィスビルの建替プロジェクトです。建設地はJR博多駅に近接する博多駅前エリアの一等地で、地下街を通じて博多駅と直結する交通利便性の高い場所に位置します。
新ビルの規模は、地上13階・地下2階建て、延床面積約22,100㎡。主要用途は事務所と店舗で、構造は鉄骨造、一部RC造です。事業者は三井不動産株式会社と株式会社三井住友銀行、設計は鹿島建設株式会社が担当し、施工も鹿島建設が担う予定です。
現ビルはすでに解体が始まっており、2026年8月に着工、2028年の完成を目指します。博多駅前の顔となる場所で、老朽化した既存ビルを次世代型のオフィス・商業複合ビルへ更新する計画です。
計画概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画名称 | 博多新三井ビル建替計画 |
| 所在地 | 福岡市博多区博多駅前一丁目1番地 |
| 敷地面積 | 約1,960㎡ |
| 延床面積 | 約22,100㎡ |
| 階数 | 地上13階、地下2階 |
| 主要用途 | 事務所、店舗 |
| 構造 | 鉄骨造、一部RC造 |
| 事業者 | 三井不動産株式会社、株式会社三井住友銀行 |
| 設計 | 鹿島建設株式会社 |
| 施工 | 鹿島建設株式会社予定 |
| 着工予定 | 2026年8月予定 |
| 竣工予定 | 2028年予定 |
最大の特徴は、博多駅に面した「ヴァーティカル・グリーン」

今回の建替計画で最も目を引くのは、博多駅に面した外装デザインです。新ビルでは、駅側のバルコニー部分に中高木植栽や下垂植物を配置し、建物全体に立体的な緑をまとわせる「ヴァーティカル・グリーン」を採用します。
従来の都心オフィスビルでは、緑化といえば敷地内の植栽、屋上緑化、公開空地の樹木が中心でした。しかし今回の計画では、博多駅前という視認性の高い壁面そのものを緑化し、地上から建物上部へと緑が立ち上がる外観をつくります。これは、単なる環境配慮にとどまらず、都市景観そのものを変えるデザインです。博多駅を利用する人々の目に入りやすい場所に立体的な緑を配置することで、ビル自体を駅前の新たなランドマークとして印象づける狙いがあります。
また、2階レベルには周辺建物とつながる帯状の壁面緑化も計画されています。歩行者ネットワークに面した部分にも緑を連続させることで、単体ビルの装飾ではなく、周辺街区とのつながりを意識した緑化デザインとなっています。
地上・地下の広場と専用ラウンジで、回遊性と快適性を高める

新ビルでは、地上1階と地下階に広場を整備します。地下広場は博多駅地下街を通じて博多駅と直結し、地上とは大階段、エレベーター、エスカレーターで接続。駅利用者や周辺ワーカーがスムーズに行き来できる回遊空間を形成します。
広場には緑やパブリックアート、ベンチも配置される予定です。単なる通路ではなく、待ち合わせや休憩、イベントにも使える滞在空間として計画されている点が特徴です。博多駅前のオフィスビルでありながら、建物内部に閉じたワークプレイスではなく、街に開かれた広場を持つ構成となっています。
オフィス部分では、屋上に入居者専用のルーフトップラウンジを整備し、各フロア南東側には専用バルコニーを設けます。駅前立地の利便性に加え、外気や緑を感じられる共用空間を用意することで、働く人の快適性やリフレッシュ環境を高める次世代型オフィスを目指します。
「博多コネクティッド」と「グリーンボーナス」を同時認定、環境性能も重視

今回の計画は、福岡市の「博多コネクティッドボーナス」と「グリーンボーナス」の同時認定を初めて取得しました。博多コネクティッドは、博多駅周辺で老朽ビルの建替えや歩行者ネットワークの強化を促す都市再生施策で、グリーンボーナスは都心部の緑化や環境配慮を後押しする制度です。
博多新三井ビル建替計画は、単なるオフィスビルの更新ではありません。容積率緩和を活用しながら、都市機能の高度化と緑化を同時に進めるプロジェクトと位置付けられます。
環境性能の面では、オフィス用途部分で「ZEB Ready」認証、「CASBEE福岡Aランク」の取得を目指します。さらに、広場の軒天井や大階段・ベンチには木材を活用し、省エネルギー性能、緑化、木質化を組み合わせた環境配慮型ビルを計画しています。
博多駅前の再開発は、建物を新しくするだけの段階から、緑、回遊性、滞在性、環境性能を組み込んだ都市空間づくりへ進みつつあります。今回の同時認定は、その流れを象徴する動きといえます。
床面積拡大から「緑・広場・働く環境」重視へ

博多駅は、新幹線、在来線、地下鉄、バス、空港アクセスが集まる九州最大級の交通結節点です。その駅前一丁目で進む今回の建替計画は、単に老朽ビルを新しいオフィスへ更新するだけのものではありません。
博多駅に面した立体的な緑化、地上・地下広場、地下街との直結、ルーフトップラウンジ、専用バルコニー、ZEB ReadyやCASBEE福岡Aランクの取得目標。これらを組み合わせることで、駅前の景観、歩行者の回遊性、働く人の快適性を同時に高める計画となっています。
建設費が高騰し、オフィス市場の競争も高度化する中で、これからの都心ビルに求められるのは、単なる床面積の確保だけではありません。街に開かれた低層部、緑を感じる外装、滞在できる広場、快適に働ける共用空間。博多新三井ビル建替計画は、博多駅前のビル更新がそうした方向へ進んでいることを示すプロジェクトです。
2028年、博多駅前に新たなランドマークが誕生へ
博多新三井ビル建替計画は、地上13階・地下2階、延床面積約22,100㎡という規模だけを見れば、超高層ビルではありません。しかし、博多駅前という立地、立体的な緑をまとった外装、地上・地下広場、地下街直結、入居者向けアメニティ、環境性能を組み合わせた計画内容は、駅前景観に大きなインパクトを与える可能性があります。特に、博多駅に面して垂直に広がる緑の外装は、完成後の博多駅前の印象を大きく変える要素になりそうです。建物そのものが都市の背景ではなく、街の顔として機能する。今回の計画は、そうした新しい駅前オフィスビルのあり方を示しています。
2028年、博多駅前には、福岡市の都市再生戦略、民間開発の投資判断、環境配慮型オフィスの潮流が重なった新たなランドマークが誕生することになります。
出典元
・三井不動産株式会社/株式会社三井住友銀行「博多新三井ビル建替計画 初の『博多コネクティッドボーナス』・『グリーンボーナス』同時認定を取得」2026年6月3日・TNCテレビ西日本「“立体的な緑”で新たなランドマークに 博多駅前の『博多新三井ビル』建て替え計画 2028年完成予定 地上と地下に広場も 福岡」2026年6月3日
・建設通信新聞「福岡市の博多新三井ビル、鹿島の設計施工に」2026年6月4日
・読売新聞オンライン「『博多新三井ビル』建て替え、博多コネクティッド認定受け2028年完成を目指す…すでに現ビルは解体開始」2026年6月4日
・福岡市「博多コネクティッド」関連資料
Visited 60 times, 60 visit(s) today
