2025年6月17日、英エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が発表した「世界住みやすさ指数2025」で、デンマークの首都コペンハーゲンが初の1位に輝きました。過去3年連続で首位だったオーストリア・ウィーンは2位に後退。日本からは大阪が7位にランクインし、アジアで唯一のトップ10入りを果たしました。
このランキングは、世界173都市を対象に、安定性・医療・文化・環境・教育・インフラの5つの分野にまたがる30以上の定性・定量的な評価指標を用いて、各都市の生活のしやすさを総合的にスコア化したものです。
コペンハーゲンが首位に浮上 ウィーンは安定性低下で後退

出展:https://www.cunard.com/ja-jp
コペンハーゲンは、安定性・教育・インフラの3項目で満点の100点を獲得し、総合98点で世界一に。高い治安、整備された都市インフラ、教育制度の充実が評価され、長年トップだったウィーンを初めて追い越しました。
一方、ウィーンは2024年に発生した爆破予告事件などの影響で安定性スコアが低下。それにより、スイスのチューリヒと並び2位となりました。5位以内には、ジュネーブ(スイス)やメルボルン(オーストラリア)も入り、上位は依然として西欧・オセアニアの都市が強さを見せています。
アジアで唯一のトップ10は大阪 評価の安定性が強み

大阪は総合スコア96点で7位にランクイン。安定性・医療・教育の3項目で満点を獲得し、インフラでは96.4点、文化・環境でも86.8点と高い水準を維持しました。
EIUによると、アジア地域全体では地政学的緊張の影響で安定性スコアが低下する傾向にある中、大阪は例外的に高いスコアを維持。都市インフラや生活環境の質に加え、治安や公共サービスの信頼性が世界的にも高く評価されました。
タイムアウト・アジアでは「東京よ、どいてくれ。2025年、日本で最も注目される都市は大阪だ」と報じられるほど、今回の結果は国際的な評価の転換点となりました。
地域ごとの動向:中東の躍進と北米・欧州の苦戦
出展:https://www.saudiarabiaimmigration.org/
中東では、サウジアラビアのアル・コバールが前年の148位から13位へと大幅に上昇。医療・教育の急速な改善が評価され、UAEと並び中東地域の都市環境が劇的に向上しています。一方で、北米ではカナダのカルガリーが医療スコア低下により、5位から18位に後退。人員不足や医療体制の逼迫が背景にあり、トロントも12位から16位へと順位を落としました。ただし、米国やカナダの都市の多くは依然としてスコア80点以上を維持し、生活の質は世界的に見ても高水準です。
下位は依然として政情不安の影響が色濃く
出展:Wikipedia
ランキングの最下位は、シリアの首都ダマスカス(173位)。バッシャール・アル・アサド政権の退陣後も、長年の内戦の影響から立ち直れていません。続いてリビアのトリポリ(172位)、バングラデシュのダッカ(171位)、パキスタンのカラチ(170位)、**アルジェリアのアルジェ(169位)**が並びました。ウクライナの首都キエフも165位と低迷しています。
EIUは今回の調査において、「世界平均スコアは前年と同じ76.1点だが、安定性スコアは全体で0.2ポイント下落。これは地政学的緊張や住宅危機、治安不安などの影響によるもので、今後も都市評価に影響を及ぼす可能性が高い」と分析しています。
世界住みやすさ指数2025 トップ10(EIU)
1位:コペンハーゲン(デンマーク)
2位:ウィーン(オーストリア)
2位:チューリヒ(スイス)
4位:メルボルン(オーストラリア)
5位:ジュネーブ(スイス)
6位:シドニー(オーストラリア)
7位:大阪(日本)
7位:オークランド(ニュージーランド)
9位:アデレード(オーストラリア)
10位:バンクーバー(カナダ)
出典:
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Economist Intelligence Unit(EIU)「Global Liveability Index 2025」
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CNN.co.jp(2025年6月17日)
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Forbes.com「World’s Most Liveable Cities 2025」by Duncan Madden
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CNBC.com「Only one Asian city made it to the top 10. Can you guess?」by Cheryl Teh Seckapan(2025年6月17日)