奈良県香芝市は2025年8月7日、文化・交流機能を集約した複合施設「(仮称)香芝市文化センター」の整備基本構想を公表しました。総事業費は80億円から110億円程度を見込み、2026年度中の着工、2029年度の完成を目指します。本年度中に基本計画を策定し、事業手法は従来型方式に加え、官民連携(PPP/PFI)も検討します。
計画地と規模

整備予定地は、市役所(本町)南側の駐車場を中心とする区域で、総合体育館に隣接しています。計画では4階建て程度、延床面積は約14,500㎡を想定し、省エネルギー性能を高めるZEB化も検討されます。
主な施設構成

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音楽ホール:収容1,000~1,200席、約2,000㎡
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図書館:蔵書約30万冊、約4,000㎡
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博物館:約1,500㎡
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多目的スペース:約500㎡、災害時には市の災害対策本部として利用可能
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商業施設:飲食や物販などを誘致し、にぎわい創出を図る
また、近接する旧モナミホール跡地(下田西3)および中央公民館跡地に、複合施設や体育館来場者が利用できる立体駐車場を整備予定で、収容規模は290~600台程度となります。
背景と統合の必然性

香芝市では、かつて市民文化活動の拠点だった「モナミホール」(収容約1,000人)が老朽化により2022年に閉鎖・除却され、大規模文化施設が存在しない状態が続いています。さらに、現行のふたかみ文化センター(延床8,502㎡、RC一部SRC造地下1階地上3階建)や中央公民館(延床2,634㎡、RC造3階建)も老朽化が進行。
特に中央公民館は築約45年が経過し、屋上屋根の錆劣化が著しい状態で、2025年5月には一部が崩落。安全上の懸念から建物除却の必要性が明確になっています。こうした事情から、市は各施設を個別に改修・建替えするよりも、機能を集約した複合施設の整備によって効率的な維持管理と機能向上を図る方針を採用しました。国からの財政支援(公共施設等適正管理推進事業債)適用のめどが立ったことも、計画加速の後押しとなっています。
今後のスケジュール
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2025年度:基本計画策定
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2026年度中:着工
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2029年度:完成・供用開始
今回の文化センター整備は、市民の文化活動再生に加え、図書館・博物館・商業機能・防災機能を一体化することで、平時の交流拠点と有事の災害対応拠点の双方を担う複合的な都市基盤整備となります。老朽施設の課題解消と、中心市街地の活性化を同時に実現する事業として位置づけられています。
【出典元】
→香芝市複合施設整備基本構想