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奈良県立医科大学附属病院「新A棟」計画、特に古いA棟を移転新築する512億円プロジェクトが始動!新キャンパス・新駅計画の連動戦略とは?



 

奈良の地域医療を守る最後の砦。奈良県立医科大学附属病院は、奈良県における医療機関の中心として、県民に「安全で質の高い先進の医療を提供する」という使命を担っています。

この使命を果たし続けるために、同院は老朽化が進む外来棟(A棟)の建て替えに踏み出しました。総事業費512億円を投じる「新A棟基本計画」は、単なる建物更新ではなく、地域医療を再編・強化するための大規模プロジェクトです。

整備の背景

現A棟は建設から数十年が経過し、老朽化に加えて学部定員の増加や診療科の拡大により、手狭で機能不足が課題となっていました。こうした状況を解消し、県民に安心して利用してもらえる医療環境を整えることが、新A棟整備の第一の目的です。

さらに、教育・研究部門は2025年4月に畝傍山新キャンパスへ移転しましたが、附属病院は橿原市の現キャンパスに残留します。新A棟は「現地で医療の最前線を強化する拠点」として整備されます。

新A棟整備の狙い

新A棟は、地域医療の質をさらに高めるために複数の狙いを持って計画されています。


  1. 患者サービスの向上
    患者総合支援センターを新設し、入退院手続きや相談窓口を一元化します。外来機能も整理され、わかりやすい導線で安心できる診療環境を提供します。

  2. 高度急性期医療の強化
    既存棟の改修とあわせて手術室を増室し、ICUを拡充します。救命救急を担う医療体制をさらに強固にし、重症患者への対応力を高めます。

  3. 感染症への備え
    新型コロナで明らかになった感染症医療の重要性に対応し、指定感染症外来・病棟を新A棟に移設します。パンデミックにも柔軟に対応できる体制を整備します。

  4. 効率的な医療提供
    デイサージャリーセンター(日帰り手術センター)を新設し、患者の早期社会復帰を支援します。

 規模と機能

新A棟は、地上7階・地下1階、延床面積約39,000㎡で建設され、地震に備えた免震構造を採用します。これにより、安全性と快適性を兼ね備えた先進的な医療拠点となります。

工程と費用

総事業費512億円の内訳は以下の通りです。


  • 新棟建築費:347億円

  • 設計・工事監理費:17億円

  • 既存棟改修費:66億円

  • 医療機器整備費:30億円

  • 除却工事・駐車場整備費:52億円

スケジュールは、2025年度に設計開始、2029年度に着工、2031年度に竣工・供用開始。その後、2032~33年度に既存棟の改修を行う計画です。

 新キャンパス・新駅との関係

教育・研究は新キャンパスに移転し、臨床医療は現キャンパスで強化されることで、奈良医大は「二極体制」を形成しました。

さらに周辺では、近鉄橿原線に**新駅(仮称「医大新駅」)**が計画され、2030年度ごろの開業を目指しています。新駅が完成すれば、患者や学生、救急搬送のアクセス改善につながり、地域医療の利便性が大きく向上します。

一方で、駅西側に計画されている約5,000席規模のアリーナは、医療とは直接関係しないものの、都市のにぎわいづくりや周辺環境の発展に寄与する要素として位置づけられています。

まとめ

奈良県立医科大学附属病院の新A棟建設は、老朽化施設の更新にとどまらず、**「患者に優しい環境」「高度急性期対応」「感染症への備え」**を一体的に整備する取り組みです。

教育・研究の新キャンパス移転、現キャンパスの新A棟整備、そして新駅の設置が連動することで、奈良の地域医療は新たな段階に進もうとしています。
さらに周辺のアリーナ整備は、都市機能の発展という別の側面から、奈良の将来像を形づくることになるでしょう。






出典元

  • 奈良県立医科大学附属病院「新A棟基本計画」資料

  • 奈良県公式サイト「奈良県立医科大学 新キャンパス整備」関連情報

  • 奈良県立医科大学公式サイト「畝傍山新キャンパス」開校情報

  • 日刊建設工業新聞「奈良県立医科大学/付属病院新A棟基本計画案まとめる/概算事業費は512億円」
 

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