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パークハイアット京都と山荘 京大和がシナジーを発揮!「京都東山計画」は街並みに溶け込む新時代の『京建築』だった!

 


2019年10月30日、世界的な観光名所である京都東山で進められた再開発「京都東山計画」が完成し、創業140年を超える歴史を持つ料亭「山荘 京大和」と、日本で2番目となるパークハイアットブランドのラグジュアリーホテル「パークハイアット京都」が新装オープンしました。

計画は、もともと敷地に存在していた老舗料亭「山荘 京大和」を竹中工務店が借地し、敷地内にある伝統建築物や庭園を保存・復元しつつ、新たな「山荘 京大和」と「パーク ハイアット 京都」が作られました。

【出展元】
パーク ハイアット 京都
「竹中工務店>山荘 京大和」と「パークハイアット京都」
→ 京都東山にて料亭とホテル事業の計画に向けて合意 「パーク ハイアット 京都」2019年開業予定

 

 


「山荘 京大和」を運営する京大和は、一部は江戸時代から続く木造建物を所有していました。京都市の歴史的建築物に指定されることになった貴重な建物ですが経年による傷みが進行していました。そこで、竹中工務店は、これまで同社が培った技術により木造建物を保存・復元させ、インターナショナル・ラグジュアリーホテルを誘致する事業化提案を行いました。ホテル運営のパートナーとして声をかけたのがハイアット社で、竹中工務店が事業主となり、京大和とハイアットを引き合わせし、話が具体化しました。

 

 

 

 

 


「京都東山計画」は、ホテルはハイアット社が、料亭は京大和に運営を行い、両社はそれぞれに独立したかたちで共存しています。

一般的にホテルの客室数は、採算性を考える150~200室程度が良いとされていますが、パーク ハイアット 京都は、周辺の景観、京大和の歴史ある建物や庭園に調和するよう、客室数は70室に抑えられました。しかし、国際的なラグジュアリーホテルブランドと老舗料亭の京大和の伝統や文化が融合する、新たな付加価値を加える事で、抑えた客室数でも事業性を確保することが可能となりました。パークハイアット京都の宿泊料金は一泊10万円を超える水準で推移しています。

 

 



 

出展:竹中工務店>「京都東山計画(山荘 京大和・パーク ハイアット 京都)

 

「京都東山計画」は、高低差28mの敷地に建つ、周囲の景観と合わせた瓦屋根の建物と庭を点在させ、回遊動線で繋ぐ計画となっています。地上2階、地下4階という珍しい構造が目を引きます。

建築地は景観条例で建物の高さと建築面積が厳しく制限されている地域である事から、高さを抑えながら、京大和の木造建物や庭園を保存し、かつ新たなホテルを建てるために、従来の地下部分にホテルの床面積の約60%を埋めこむという、京都では前例のない大規模な掘削工事が行われました。

 

 

 

 

敷地東側の斜面が土砂災害特別警戒区域に指定されていたため、長さ61m、高さ13mの擁壁には、最大長さ27.6mの鋼管を埋め込むという工事が行われ、このことで、高さ制限内でホテルを完成させるとともに、特別警戒区域が解除されました。

 

 

 



また、高低差のある地形を生かした既存の庭園に、ホテルをいくつかの棟にわけて配置することで、新しい建物と歴史的な建物が庭園を介して互いに「近景」を作りながら、古都の街並みが「遠景」となる「借景」の関係が計画されました。

 

 

 




公式サイトからお借りした客室の様子です。天井から軒までつながった屋根にはおおらかさがあり、まるで山の上にある邸宅から京都の街を眺めている錯覚に陥ります。庭園側の客室は、軒庇を敢えて低位置に設け、庭園や景色との一体感を創りだしています。世界的な観光地の中心に泊まる。素晴らしいロケーションに最高の客室設備、サービス。唯一無二の体験を得る事が出来そうです。

 

 

 

 


初めて取材したパークハイアット京都。二寧坂に面した街並みや周辺との景観に配慮した低層建築は、古都の雰囲気に馴染むようにしっとりとした優雅さを感じられる外観だと思いました。世界的なラグジュアリーホテルの要素を取り入れながら、近隣地域や訪れる人たちへの配慮が感じられる、まさに最新の『京建築』と言えるのではないでしょうか。宿泊料金は最高級ホテルに相応しく高額ですが、機会があれば宿泊してみたいと思いました。

 



 





 

パークハイアット京都・山荘 京大和

 

所在地:京都府京都市東山区高台寺桝屋町359他
建築主:竹中工務店、京大和
主要用途:ホテル
工期:2017年4月~2019年8月
敷地面積:8,796.47㎡
建築面積:3,723.74㎡
延床面積:14,065.05㎡(既存木造を含む)
階数:地上2階、地下4階
主構造:鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造
インテリアデザイン:トニーチースタジオ+竹中工務店
作庭:北山安夫
外構照明、既存木造棟照明デザイン:内原智史デザイン事務所
アートプロデュース:TAKプロパティ


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